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トーキョー・トラジックOL

「ホットのティーラテ1つ、持ち帰りで」
店員さんが出してくれたティーラテを片手に、地下道を歩き地上へ。
荘厳な東京駅の赤レンガが見えてホッとした。

植木周りのコンクリートに腰掛け、この日の為に作ったプレイリストを流した。まずは、雨のパレード「Tokyo」。

暗くなった空に、伸びたビルの光が星柱のように降り注ぐ。
ぽつりぽつりと消えるのを見つめたり、流れ星のように動くエレベーターの光を目で追ったりした。

ホットを頼んで良かった。外はまだ少し冷える。



東京駅は、寂しくて優しい。
行き交う人はみんなここの人ではなくて、それぞれのバックグラウンド、悩み、想いがあって、でもそんなものはこの大都会の雑踏にすぐのまれてしまう。

よく、夜行バスや新幹線でここに来た。
暗くなってからの東京駅は、いつも私を「早く帰れ」と急かしていた。



ボーカルが歌う。
『行き着いた東京 彩るネオンサイン
埋め尽くすニューソング
ここで僕らは 夢を見てる』



そう、夢を見ている。



私はここで、まだずっと夢を見ている。
今はもう、夜行バスや新幹線は私を待っていない。帰る街はここなのに、それなのに、どうしてこんなにも悲しく、遠く感じるのだろう。



冷えてしまったティーラテと、一色になった空。


こんなにも悲しいのに、東京駅は優しい色を絶やさない。

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