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添削杯Vol.7 メタゲームブレークダウン

今回も大会前に、武漢氏に現状のヴィンテージ環境の解説記事を作成、寄稿いただいた。

折角なので、同記事内において氏が分類されたデッキタイプの種類に従って、添削杯Vol.7のメタゲームを紐解いてみよう。早速だが結果は以下のようになった。


まずパッと目を引くのは「Tinker」の多さ。だがこれには少しからくりがあり、エスパー(白青黒)・ジェスカイ(白青赤)・ディミーア(青黒)などが混合されて計上されているという点がある。ヴィンテージは1枚のカードが強力であるが故に、デッキの大部分は共通の構成で、数枚の差異でデッキタイプが分かれるということも多い。メタゲームの変遷でデッキが融合していくと、細かな分類を行うのも難しいという状態になっていく。

なお、地平線ではTinker逆説を別デッキタイプと扱っていたが、本記事においては一まとめにしてTinkerと扱う。
後者の主流がJewel Shopとなり、青アーキタイプとしての逆説は激減してしまったこと。またTinkerの方も、指輪に合わせてデッキリストを最適化していく過程で、逆説デッキタイプと合流の傾向が見られる

ヴィンテージの誘いより

それでもTinkerデッキ自体が一つ上のランクにいるのは間違いない。対峙したときは相手の色にも着目し、対戦相手は《紅蓮破/Pyroblast》を持っているのか、《四肢切断/Dismember》は用意しているのか、などといった差を見極めることが、特にGame2以降は大事なポイントとなるであろう。


さて、Mr.添削杯デッキと言えば「墓荒らし」。しか今回はその数を減らした。依然十分な勢力であるのだが、これまでの占有率からみると大きくシェアを譲ったのは否めない。
だがこのデッキの持つ《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》の力は決して侮ることができない。《ウルザの物語/Urza's Saga》《一つの指輪/The One Ring》と環境がよりアーティファクトに拠るようになった中で、たった1枚で戦線を停滞させてしまうこのカードは、メタゲームとしての優位性を相変わらず保ち続けている。


一方目を引いたのが《Bazaar of Baghdad》の多さ。特に純正Dredgeの勢力拡大であろう。デッキリストに記された「[土地] 4 バザー」は単純に目を引く。メインボードは相変わらず最強であり、勢いに乗ってしまえば他のデッキの追従を許さない。
また《Bazaar of Baghdad》というカード自体の魅力度も非常に高く、ヴィンテージに参入するならここから、と心に決めているプレイヤーも多いであろう。今回はその影響も出たのではないかと考える。


武漢氏によってメタゲーム的に良い位置につけていると評された「Doomsday」と「Jewel PO」は共に四名ずつ。こちらはコンボデッキであることからある程度の習熟性が必要となるため、爆発的に数を増やす、というタイプのデッキではない。
実際「Doomsday」は添削杯Vol.6において3人が使用と大きな差はない。
一方で「Jewel PO」は僅かに1人だった。もっともそのころは「Jewel PO」というアーキタイプ事態がそこまで認知されていなかったというのも確かではあるが、それでもこの増加はそれだけの魅力を持つデッキであることの証左であり、脅威と言っても良さそうだ。


大会前の生配信にて、冬宮みはる氏は添削の質問を受けて次のように答えた。「Oathの立ち位置ですか?悪くないと思いますよ」
かねてより愛好家の多いOathデッキ。今回は使用者4名と、Vol.6から倍増させている。「オースから呼び出すクリーチャー選手権」の現王者は《偉大なる統一者、アトラクサ/Atraxa, Grand Unifier》。歴代のチャンピオンはアドバンテージか、破壊力のどちらかに重きを置いていた。しかしこの統一者はそのどちらにも無尽の力を見せる。使用者が増えるのも頷ける。


最後に、青・Workshop・Bazzarの三大勢力に割って入る形で、直近のメタゲームに大きく影響を与えた、武漢氏が「主役」とまで語るイニシアチブデッキを見ていこう。
内訳は白単が3人、白青が4人。本家たる白単よりも、それを意識した白青が勢力として上回ったというのが実に印象的な結果。
いずれにせよ合計7人と考えると、Tinkerデッキに次ぐ第二席を確保。「ヴィンテージはクリーチャーが弱い環境」などといった表現はもう遠い昔のものになってしまった。


結論としては、Tinkerが頭一つ抜け、それ以外の状況は横一線。どのデッキも満遍なく使用されており、何れのデッキにも勝ち目があるという状況だと思われる。
ヴィンテージの大会として他に負けない規模を誇るようになった添削杯。ここで生まれたメタゲームが、これからの環境に影響を及ぼしていく。