見出し画像

限築杯 観戦記事 準々決勝 KSK vs Baocky 〜湧き出るゴブリン、そしてストロサス〜

スイスラウンド7回戦を終え、ついにトップ8が出揃った限築杯。
珠玉のデッキリストもすでに公開されているので、ぜひご覧になっていただきたい。

それではここからは準々決勝の一戦をお送りしていこう。
プレイヤーは予選ラウンド3位、クローシス・コントロールを操るKSK。環境を考え尽くしたその構築は、しっかりと決勝ラウンドまで残っている。この対戦でも理論に裏打ちされたプレイを見せてくれるだろう。

そして対戦相手は予選ラウンド6位のBaocky、デッキはトレンチ・コントロールだ。メタゲームブレークダウンでも上位に食い込んできた強力なデッキを手に、スイス順位の下克上を狙う。

コントロール同士の静かな熱戦、ぜひ楽しませてもらおう。

Game1

スイスラウンド上位のKSKが先手を取り、土地を並べる。《氷/Ice》を挟んで《ファイレクシアの憤怒鬼/Phyrexian Rager》を呼び出すと、これで決勝ラウンド最初のダメージを刻む。

対するBaockyも土地を並べながら、《排撃/Repulse》でクロックを排除。その後は盤面に何かを追加することはなく、ゆっくりとした時間が流れる。

お互いに土地を並べ、迎えた7ターン目。7枚目の土地を置いたKSKは《貪欲なるネズミ/Ravenous Rats》で再び相手のリアクションを伺う。
Baockyは《除外/Exclude》で応じてみるが、《蝕み/Undermine》をさらに重ねるKSKによりネズミが戦場に降り立った。

しかしここでBaockyはデッキ名を冠するカード、《ゴブリンの塹壕/Goblin Trenches》を設置することに成功する。
KSKはこれにより、明確な時間制限を突きつけられた。ターンが経過すればするほど、自分が不利になっていくのが明らかだからだ。

画像6

強力なスペルも、場合によっては見逃される

《ファイレクシアの憤怒鬼/Phyrexian Rager》、2匹目の《貪欲なるネズミ/Ravenous Rats》とクロックを並べ、相手の《嘘か真か/Fact or Fiction》は無視し、自身のネズミを狙う《火/Fire》は《禁制/Prohibit》で許さず愚直にライフを狙う。

逆に時間さえ稼げば有利になるBaockyは、《嘘か真か/Fact or Fiction》のアドバンテージを活かしながらゴブリンを生み出し、戦場をにらみ合いへと持っていく。

KSKの起死回生を賭けた《虚空/Void》も《吸収/Absorb》し、ライフも10点まで引き上げた。このまま行けばBaockyの優位は揺るがない。

しかしKSKは諦めない。《火/Fire》の連打や追加の《虚空/Void》をねじ込み、ギリギリのライフを残してBaockyへと《ウルザの激怒/Urza's Rage》を打ち込み残りライフは7。

最後のトップデッキで土地を引ければ《ウルザの激怒/Urza's Rage》キッカーにより《吸収/Absorb》の上からでもBaockyを焼き尽くせる盤面まで持っていくことはできたのだが。

画像6

ゴブリンの軍勢が途切れることはない

KSKが見たのは、12枚目の土地ではなく大量のゴブリンが自身を襲う光景だった。

KSK 0-1 Baocky

Game2

念入りなサイドボードを終えて、ゲーム2が始まった。
序盤はゲーム1と同じようにお互い土地を並べ・・・たかったはずなのだが、KSKが3マナで土地がストップ。4枚目はなんとか引けたが、5枚目は引けない。

《調査/Probe》で無理やりにでもと引きにいくが、その隙を見逃すBaockyではない。《嘘か真か/Fact or Fiction》で自身もアドバンテージを取りに行く。
KSKはここが勝負所と、1マナ支払われるのは承知の上で《撹乱/Disrupt》も重ね、一気に4枚ライブラリを掘りすすめるが土地が引けない。

もう一度《調査/Probe》を行うと、Baockyからは《吸収/Absorb》。KSKは自身の《調査/Probe》に《撹乱/Disrupt》を打ち込み、1ドローを行なった上で《吸収/Absorb》を対象不適切に追い込む。

画像7

様々な使い方ができる、Draw a Card の一文


この攻防により、ついに土地を引き当て始めたKSK。次の行動はBaockyへと《予言の稲妻/Prophetic Bolt》を2連打。流石に2枚目を打たれると訝しげな反応を見せるBaockyだが、貴重な打ち消しを使うほどでもないと気にせずライフを削られて行く。

Baockyのライフが12まで減ったのち、KSKは次の言葉を発した。

「コンバットフェイズに入ります」

自身のコントロールするクリーチャーはいない。しかし明確に戦闘の意思を示した。その真意は---

画像1

サイドボードからの必殺技

《大釜のダンス/Cauldron Dance》、そして墓地には序盤の《調査/Probe》により送り込まれた《むさぼり喰うストロサス/Devouring Strossus》。

画像2

突然死の恐怖

ダンシング・ストロサスと呼ばれる一撃必殺のコンボ。Baockyは温存していた《吸収/Absorb》で事なきを得る。

KSKの狙いが明確になれば、それに対抗するのは容易だ。《嘘か真か/Fact or Fiction》でカウンターを探しに行き、《撹乱/Disrupt》を手にするBaocky。

KSKは気にせずさらに《大釜のダンス/Cauldron Dance》を打ち込む。《撹乱/Disrupt》、《回避行動/Evasive Action》、さらに《撹乱/Disrupt》を重ねて躱すBaocky。

だが息つく暇もなくKSKは3枚目の《大釜のダンス/Cauldron Dance》!

画像3

3度目の正直

墓地で眠りについていたストロサス、そして手札で出番を待っていたストロサスが一気にBaockyへ襲いかかる。KSKが一撃で第2ゲームを奪い去っていったかに見えたが・・・

画像4

インベイジョンブロックの最上級火力

Baockyは貯めに貯めたマナから《ウルザの激怒/Urza's Rage》をキッカーで。ストロサスのうち1体はウルザの怒りの前に沈み、なんとかライフを残すことができた。

しかしKSKは諦めない、まさかの4枚目の《大釜のダンス/Cauldron Dance》を叩きつける。
墓地に眠るストロサスが、最後のライフを狙いにBaockyへと最後の攻撃を行うが、
Baockyの手札からは2枚目の《ウルザの激怒/Urza's Rage》がリプレイのようにストロサスを打ち取っていった。

この4連打に全てのリソースを注ぎ込んだKSKは、もはやBaockyの《ゴブリンの塹壕/Goblin Trenches》に抗う気力は残っていなかった。

KSK 0-2 Baocky