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夢幻 ~間違った努力

中学に進んだ自分は迷わずに野球部へ入部
パフォーマンス力は相変わらずだったのだが・・・

そんなわけで当然ながら下級生時で日の目をみることもなく
主な練習は全体でのランニングとグラウンド隅で中腰姿での
「ゼ―!ゼー!」という謎の声出し そしてグラウンド整備

ただ意外と挫けることはなかった
それは自分にとってはあくまでも「甲子園」がゴールであり
中学野球は「通過点」だと考えていたからかもしれない
だから体力をつけようとわざわざ硬式用のバットを購入し家に帰ってから
もくもくと素振りに励んでいた

が それが良くなかった
部活が終わり 家に帰るのが夜7時ぐらいになる
そこから素振りを「1日100回」するのだが終わらないのだ
自分で納得いったスイングのみを「1回」とするルールを課したものだから
重いバットでそれはなかなかなもので 結局毎日終わるのが夜10時過ぎる
それから筋トレ・ストレッチを始める
これも素振りと同様のルールだから終わるときにはほぼ毎日日を跨いだ
そしてようやく食事や風呂といった日常生活ができる
親はかなり心配していたようだがこちらに気も遣ってくれていたのだろう
好きにさせてくれていた
自分はといえば終わったあと なんの達成感もなくただ苦しさからの解放
毎日心が破裂しそうなくらいの疲労と先が見えない恐怖に苛まれ泣いていた
今思えば あの頃は狂っていたように思える

中学3年 ようやく自分たちの代に入り少しは何かが変わるか?
いや そんなことはまったくなく相変わらず「出番のない」日々
それどころか重いバットでの素振りがフォームを更に崩していたようで
以前にも増して「空ぼて君」(空振りとぼてゴロばかりの奴)になっていた
「「努力は裏切らない』なんて嘘だ 所詮は才能だ
種のない畑を耕したところで花が咲くわけない そうなんだよ!
この世界は結果がすべてだ 
結果が出ないなら努力とか頑張りなんかになんの価値もない
むしろ無駄な時間と労力を費やして惨めで哀れなだけだ」
そんな価値観がこのころできあがったのかもしれない
(今ではちょっと違う
努力には「実を結ぶ努力」と「間違った努力」がある
ただの思い込みで何も考えずひたすら闇雲に力む「間違った努力」
その都度 冷静に現状を検証しやり方を修正しながら理想へ近づける
それが本物の努力
が 当時はそれを理解することはできなかった)


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