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【食×本 読書録】"ゲノム編集食品が変える食の未来"

最先端をひた走れ!
おれはゲノム編集食品を応援するぞ!ジョジョーーーーッ!!

食文化を読み解き、言葉を綴る食作家を目指し、
智慧を育む本との出会い、読解をしたためます。

今回は、前回のフードテック革命の流れを引き継いだかたち、
松永和紀 著 / ゲノム編集食品が変える食の未来
こちらの読書録を紹介します。

先日ニュースでも、
"国内初「ゲノム編集食品」トマト 販売認める"
という報道がありましたが、
日本の「食」産業における技術革新のなかでも、
いまもっともホットな話題ではないでしょうか。
"ゲノム編集による品種改良"
こちらについて、現在の進行状況と課題を説き明かした著書になります。

科学こそが道を作る

今回紹介する著書では、平易に、わかりやすい文章で書かれている印象が受け取れます。

ゲノム編集とは、
CRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)という酵素を使い、DNAを切断。
変異させる場所を事前に決め、そこを狙って遺伝子を変異させる。
というもの。
まさにノーベル賞ものの技術を用いて、食品を好ましいものにデザインしようというものなのですが、お察しのとおり、危ないんじゃないかと懐疑的かつ反発されている現状を綴る面が印象深い。

どの業界においても、現状維持・確証バイアス、最たるものは、メディア・バイアスが技術革新を阻む壁になっています。
こと「食」においては、一度でも安心安全が脅かされると、その技術・団体は地の底まで叩きのめされる。
わたし個人の肌感覚としては、ゲノム編集食品に対してはそこまで風当たりが強いようには見えていませんでしたが、携わる人たちにとっては、認知バイアスの障壁はぶ厚いようです。

この本を読めば、ゲノム編集食品もオーガニック食品も、遺伝子組み換え食品も、自然食品も、すべてに存在する理由と価値があることが分かります。
ことさら是非を喧伝してしまうのは、それこそ危険だと思うところです。

とはいえ、こういった安心のための議論は、いつまで続けるのか。

「わからん技術でわからんことすな!」

消費者の、そんな断交感が技術の進歩を遅らせている。
この突破口は、あるのか。

読みながら思ったのは、
リチャード・ドーキンスの「さらば、神よ」の一説。
「冗談だろ!でも事実だ」
という部分。
わたしは「神に見切りをつけろ」とまでは強気に言えないけれど、
日本人はそろそろ、
「安全地帯(コンフォートゾーン)を抜け出し、勇気をもって、科学と歩む」
ことを選択するべきではないでしょうか。
「昔ながらの自然な食品」もかつては新参。
不確実な自然が育んだゲノム編集食品でもあります。
たしかに人間はミスを犯すし、恣意的で作為もありえます。
安心安全の担保として、ブロックチェーンの技術を用いてもいいはずです。
消費者の心理で進歩が遅れたり頓挫してしまう現状を変えるべきだし、
消費者も、科学やテクノロジー技術、細部は分からないまでも骨子は理解に努めるようにするべきだと思いました。

わたしたちは、往々にしてわからんことに蓋をしがちです。
わたしもゲノム編集のゲの字も知らなかった無知者ですが、
無知を自覚し、教えを乞う。それでもよく分からぬ情弱ではあります。
ただ、未来を明るくしようと努めていることは感じ、
「やってみなはれ」と思えました。
やってみた先、日本はちゃめちゃだよ!となっても、
チャレンジした先でのこと。進化を担った歴史に刻まれるはずです。

日本が誇る技術をもって、
ワクワクさせてくれる食材が現れる未来を、期待しています。

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