人が目標を追求する4つの理由とは? ー「目標の自己一致モデル」よりー
こんにちは。紀藤です。本日もある論文のご紹介をさせていただければと思います。テーマは「目標の自己一致性」について。
先日、強み論文で「強みの活用は、目標の自己一致性を高める」という論文を紹介させていただきました。今日の論文はその元となっている「目標の自己一致性」についてのお話です。
言われてみればそうだなと思うのですが、「本当に大切だと感じる目標だと、持続的な努力ができる可能性が高まる」ものです。これがまさに、「目標の自己一致性」の概念で述べていること。
余談ですが、私も趣味は「マラソン」であり、それなりの努力をしますが「向上心・健康・自尊心」などの価値観を高めるアプローチであると思えるから、継続的に努力ができるとも感じます(ただ走ると気持ち良いというのもありますが)。
そして達成することで幸福感も感じられるし、次への自信もつながると感じています。たぶんこれが、「目標の自己一致モデル」の感覚にかなり近い(気がする)と思われます。
ということで、早速中身を見てまいりましょう!
「目標の自己一致モデル」とは
自己一致モデルと関連する理論
個人的な意図を設定し、追求する人間の能力のことを「コーネーション」と呼ぶとのこと(Caplin, 1985)。このコーネーションプロセスは成果を達成し、ニーズを満たすための努力を引き出します。つまり、人は「自分で目標を決め、それによって様々な心理的・現実的な結果につながる」ということです。
そして「自己一致モデル」は、自己決定理論(Deci&Ryan, 1985)に基づいています。(詳しくはこちら)
その上で、目標を採用し、目標を達成するための時間的な流れの全体を扱い、達成の欲求充足と幸福感への影響をモデル化したものです。
「目標」は自分の興味や価値観に基づくとは限らない
さて、人は自分で様々な目標を決めることができますが、「ある人の目標がその人の心の興味や価値観を表しているとは限らない」ことがある図式で表されています(Sheldon & Elliot, 1998)。
まず、「自己一致した目標」とは、「内発的動機づけ(あるいは同一化された動機づけ)によって追求される目標」のこと。どちらでも、目標は自己と統合されており、根深い価値感から発せられていると考えられます。(図の右半分となります)
一方、「外的な圧力によって追求される目標」や、不安や罪悪感を特徴とする「内発的制裁のために追求される目標」もあります。これらは「統合されていない行動(自己の表現)」から生まれるとされます。(図の左半分となります)
特に「外的」、「内面的制裁」から生まれる目標は”自分が完全に同意していない”と感じられることがあり、自分自身の興味や価値観を代表するものではないため、障害に遭遇すると意志は薄れがちになることもあります。
とはいえ、自己調和的な目標が必ずしも”良い”わけでもなく、必ずしも”自己満足的”でもないものもあります。成熟した自制心の価値観に導かれた目標であり、楽しめるものではないとしても、追求することもあります。(例:勉強や、やるべき仕事を実行するなど)
目標を追求する4つの理由
さて、上記の話をまとめると、人は4つの理由から目標を追求することが考えられます。それが「外発的」「内面的な」「同一化された」「本質的な」理由です。
まとめと個人的感想
今回は、「目標の自己一致モデル」について、その前提となる部分について論文を見てみました。
一つのモデルが示される背景にも、「自己決定理論」や「目標を追求する4つの理由」などがあり、それらの内容が「確かにその通りだな・・・」と実に納得するものでした。いわゆる、会社で半強制的に掲げる目標は「外発的」「環境圧力」で設定した目標になってしまう傾向はあり、どうしても自分の目標との一致度合いが下がってしまうのだろう、と思います。
とすると、会社における目標設定を、自分自身のものにするためにも、「自分の核となる価値観」「自分の興味」がなにかを探求し、自己認識し、そしてそれらと一致させられるように探求することが重要なのかもしれない、、、そんなことを感じました。
実際に後半で、自己一致モデルは、概念モデルのように目標の進捗、達成、幸福感につながることが証明されますが、このお話は改めて。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!