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おすすめの一冊『女性活躍から始める人的資本経営 多様性を活かす組織マネジメント』

こんにちは。紀藤です。今日は、おすすめの一冊をご紹介する「今週の一冊」のコーナーです。

本日ご紹介する書籍は、組織の「女性活躍推進の理論と実践方法」が体系的にまとめられた、こちらの一冊でございます。

『女性活躍から始める人的資本経営 多様性を活かす組織マネジメント 』
堀江 敦子 (著)/日本能率協会マネジメントセンター
https://amzn.asia/d/0fB07uLy

「女性活躍推進」が求められる背景とは

昨今、「女性活躍推進」という言葉は、多くの人にとって聞き馴染みがある言葉になりました。

大きな流れとしては、「労働力不足」です。
戦後日本の人事制度(終身雇用・年功序列)の影響もあり、これまでの働く人の中心は「ミドルの男性正社員」という感覚がありました。
しかし、働く人自体が少なくなっていくなかで、そのようなステレオタイプ的な労働者像だけでは、維持できなくなってきています。パーソル総合研究所が算出した2030年には644万人の労働力が不足する、そんな試算もあります。

また他にも「グローバルのダイバーシティの観点」もあります。日本は政治参画の男女の格差が大きいこと、企業役員も男性中心であるなど、男性型の社会であることは、国際社会の基準、特に先進国の中ではその格差は最下位クラスであることが知られています。

そうした流れも含めてか、2023年に有価証券報告書に「人的資本経営の情報開示」が求められるようになりました。特に東証プライム市場に上場する企業の女性役員の比率を、2030年までに30%以上にする目標等が掲げられています。

私の周りの方(女性)も、社外取締役として声をかけられる人もいて、その方曰く「役員会の過半数が男性であるところに、社外✕ダイバーシティという観点で役割を拝命することも多い」なんて話も聞きました。

P32 ダイバーシティは人的資本の価値向上とリスクマネジメントの間に位置しているようです

「女性活躍推進の理論と実践」が体系的にわかる本

では、実際に「女性活躍推進」を企業で推進する上で、どこに着目して、何を、どのように、どんなステップで進めれば良いのでしょうか?

と言われても、何からすればいいのかよくわからない・・・というのが多くの女性活躍推進の役割を担った担当者の本音のようです。

そもそもこうした取り組みは、自社内で先行事例がないこともありますし、あまり詳細が他社に開示されているものありません。

かつ、社内でそもそもそ課題だよねという、共通課題としての合意を取る自体が難しいことも少なくありません。バイアスの影響があったり、あるいは意思決定者にリアルな現場の声が伝わらない、などなど。
 例えば、日本的な男性社会で、役員会も全員男性だと「別にそんなに急がなくていいんじゃないの?そんなに困った声も聞かないし」と課題の定義が棄却されてしまうというケース。
 しかし、実際はそうした声は届いていないだけで若手からは「旧態然としているから長く活躍は難しそう」と思われてたりする。50代の経営陣の感覚と20-30代の若手の感覚が乖離しており、課題認識が伝わらず、それが間接的に中堅層の離職につながっている、なんて話は、いくつもの会社で耳にします。

その中で、何から始めれば良いのか? 巻き込むためにどういう現状の調査をして、どのように自社の目標を設定して、いかに巻き込んでいけば良いのか? が丁寧に解説されています。

目次と内容

さて、本書の構成は、第一部:理論編、第二部:実践編として、女性活躍推進を実践させていきたい方へのヒントが整理されています。
以下、本書の紹介より引用です。

本書は、経営者から経営企画部、人事担当者まで、歴史的な背景と共に、ダイバーシティ推進の有効性、実践方法までを本質的に理解できるよう理論・実践・データの全てをまとめた1冊である。

【理論編】
・なぜ今「人的資本経営」なのか?
・ダイバーシティが組織に与えるポジティブな効果
・日本における女性活躍の歴史
・日本企業で女性管理職が増えない理由


また実践編では、女性活躍推進を本質的に進めていき、女性管理職パイプラインを形成する為の方法を「経営」「現場・人事」「広報」という3つの視点で紹介しながら、最終的には客観的なデータを用いてアクションプランまで構築できるような内容になっている。

【実践編】
・女性活躍推進3つの視点と7つのポイント:現場・人事編
・女性活躍推進3つの視点と7つのポイント:経営・広報編
・実践! 自社のアクションプランの作り方
・先進企業事例(日本アイ・ビー・エム株式会社、キリン ホールディングス株式会社)

社会環境が大きく変化する中で、女性活躍から始めた人的資本経営を行うことが、多様な人材が活躍できる強い組織にしていく第一歩になる。

女性活躍の現状を測るシート

また自社内で現在自分たちの女性活躍の浸透度がどの程度か測るためのチェックシートも紹介されており、現状の見える化をする上でもフレームも複数含まれており、使いやすいと感じます。

他にも「実際に、女性活躍推進をどのように思索として浸透させていくか」を以下のようなフローチャートが紹介されており、こちらも現状と目指す姿をえがきやすいと感じました。

【女性活躍のフローチャート】
ステップ0:採用
ステップ1:意識醸成期
ステップ2:両立実践期
ステップ3:活躍へのシフト期
ステップ4:キャリアアップ期
ステップ5:エグゼクティブ育成期

女性活躍に向けたフローチャート

他にも、実際の企業の事例として、何をどのようすめたのかを「女性活躍推進の3つの視点と7つのポイント」として紹介されているなど、まさに「体系的」と感じさせられます。

女性活躍推進3つの視点と7つのポイント

まとめ

本書は、立教大学大学院 経営学専攻リーダーシップ開発コースの卒業生であり、女性活躍推進の第一線を走られている堀江さんが書かれた著書です。
個人的にもご活躍が大変刺激になりますし、このように理論と実践を体系立てて整理することで、今注目される女性活躍推進を企業で広げていく補助線になると感じた一冊でございました。

女性活躍推進、というキーワードが出ている多くの企業の人事、経営企画の方などに特におすすめしたい一冊でございます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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