「チームにおける7つの役割」を果たすと仕事満足度が高まるという話 -論文レビュー-
こんにちは。紀藤です。さて、今日は論文のご紹介でございます。
内容は「チームの役割と仕事の満足度と天職の関係」についてです。
ポジティブ心理学によると「チームにおける7つの役割」があり、それらを果たしていると仕事満足度と天職と感じる度合いが高くなるという実証研究で、実に興味深い内容でした。
以下、本日ご紹介の論文です。それでは、早速参りましょう!
ポジティブ心理学からの「チームの役割」
チームワークの成功は、組織レベルでも個人レベルでも、良い結果をもたらすための重要な要素です。チームメンバー全員がそれぞれの長所を発揮し、チーム内に目標達成のための知識やスキルが揃っているのであれば、きっとそれは良い結果をもたらすことは想像できそうです。
そんなチームについて、ポジティブ心理学の観点から開発された「7つの非公式な役割からなるチーム役割モデル」が提案されています(VIA-Team-Role Inbentory(Ruch et al., 2016)。
それが以下の7つとなります。
研究の内容
概要
上記で示した「チームの役割」に対して、「現在のチームの役割」と「理想と思うチームの役割」をそれぞれ答えてもらい、「仕事満足度」や「コーリング(天職)」との繋がりを検証しました。
調査方法
・342人の被雇用者のサンプルを分析(18~77歳。英語圏でアメリカが約半数)
・オンラインの自己報告式質問票
・調査項目:
「現在のチーム役割(※)」「理想的なチーム役割」
「仕事満足度」(Job Satisfaction Quetionnaireを利用)
「コーリング(天職)」(Work Life Quetionnaireを利用し、仕事を「仕事・キャリア、天職」どれと捉えてるかを調査)
※補足:「現在のチーム役割」の評価の方法は、以下の役割の簡単な説明を読み、各役割の「能力」「楽しさ」を、リッカート1(強くそう思わない)~7(強くそう思う)で回答をしました。
<アイデア創造者の場合>
●能力( 2項目:「現在のチームでは 、アイデアを出すときに最高の力を発揮できる」、「現在のチームでは、優れたアイデア創造者になれる」)、
●楽しさ(2項目:「現在のチームでは、アイデアを創造することを楽しめる。「チーム内でアイデアを創造するのは 気分がいい」の2項目)
●エンゲージメント/フロー(1項目:「現在のチーム内でアイデアを出すとき、活力に満ちた集中感がある)
結果
わかったことは以下の通りでした。
わかったこと1:現在のチーム役割は、仕事満足度と正の相関があった
「現在のチーム役割」は、7つの役割全て(アイデア創造者 (Idea Creator)、情報収集者 (Information Gatherer)、意思決定者 (Decision Maker)、実施者 (Implementer)、影響者 (Influencer)、、エナジャイザー(Energizer)、関係管理者 (Relationship Manager))が、仕事満足度と正の相関があることがわかりました。
(一方、理想のチーム役割は、一部を除いて、仕事満足度には影響がないことがわかります)
わかったこと2:現在のチーム役割の評価は、仕事を「天職」とみなすことと正の相関がある
また同様に仕事を天職(コーリング)とみなすかどうかについても、現在のチームの役割について、情報収集者(IG)以外は、正の相関があることがわかりました。
まとめと感想
ポジティブ心理学の観点で「7つのチームの役割」が定義されていましたが、まずこの定義された役割が興味深く感じました。
7つのどの役割であれ、自分がその役割に対して「能力と楽しさ」を感じているとき、仕事満足度も天職と感じることも高くなるという事実は、個人が自分にあった貢献できる役割を見つけることで、チームの成功だけではなく、自分自身も満足できるという結果を裏付けているように感じました。
実行する人もいれば、情報を集める人もいてよい。
関係を構築する人も大事だし、活力を与えることも大事。
こうした役割お互いがもって、補い合えるとよいのだろうな、そんなことを思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!