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「チームにおける7つの役割」を果たすと仕事満足度が高まるという話 -論文レビュー-

こんにちは。紀藤です。さて、今日は論文のご紹介でございます。
内容は「チームの役割と仕事の満足度と天職の関係」についてです。

ポジティブ心理学によると「チームにおける7つの役割」があり、それらを果たしていると仕事満足度と天職と感じる度合いが高くなるという実証研究で、実に興味深い内容でした。

以下、本日ご紹介の論文です。それでは、早速参りましょう!

『現在のチーム役割と理想的なチーム役割:仕事に対する満足度やコーリング(天職)との関係』
Gander, Fabian, Willibald Ruch, Tracey Platt, Jennifer Hofmann, and Timon Elmer. 2018. “Current and Ideal Team Roles: Relationships to Job Satisfaction and Calling.” Translational Issues in Psychological Science 4 (3): 277–89.


ポジティブ心理学からの「チームの役割」

チームワークの成功は、組織レベルでも個人レベルでも、良い結果をもたらすための重要な要素です。チームメンバー全員がそれぞれの長所を発揮し、チーム内に目標達成のための知識やスキルが揃っているのであれば、きっとそれは良い結果をもたらすことは想像できそうです。

そんなチームについて、ポジティブ心理学の観点から開発された7つの非公式な役割からなるチーム役割モデル」が提案されています(VIA-Team-Role Inbentory(Ruch et al., 2016)。

それが以下の7つとなります。

アイデア創造者 (Idea Creator) 新しいアイデアを生み出す役割です。クリエイティブな思考を持ち、革新的な解決策を提案します。

情報収集者 (Information Gatherer) 必要な情報を収集し、チームに提供する役割です。リサーチ能力が高く、正確なデータを集めることができます。

意思決定者 (Decision Maker) チーム内で意思決定を行う役割です。分析力があり、最適な決断を下す能力を持っています。

実施者 (Implementer) 決定された計画を実行に移す役割です。実行力があり、計画を着実に進める能力があります。

影響者 (Influencer) 他のメンバーに影響を与え、モチベーションを高める役割です。コミュニケーション力が高く、チームを鼓舞します。

エナジャイザー(Energizer) チームにエネルギーと活力を与える役割です。積極的でポジティブな態度を持ち、チームの士気を高めます。

関係管理者 (Relationship Manager) チーム内の人間関係を管理し、良好な関係を維持する役割です。人間関係構築力が高く、チームの調和を保ちます。

研究の内容

概要

上記で示した「チームの役割」に対して、「現在のチームの役割」と「理想と思うチームの役割」をそれぞれ答えてもらい、「仕事満足度」や「コーリング(天職)」との繋がりを検証しました。

調査方法

・342人の被雇用者のサンプルを分析(18~77歳。英語圏でアメリカが約半数)
・オンラインの自己報告式質問票
・調査項目:
「現在のチーム役割(※)」「理想的なチーム役割」
「仕事満足度」(Job Satisfaction Quetionnaireを利用)
「コーリング(天職)」(Work Life Quetionnaireを利用し、仕事を「仕事・キャリア、天職」どれと捉えてるかを調査)

※補足:「現在のチーム役割」の評価の方法は、以下の役割の簡単な説明を読み、各役割の「能力」「楽しさ」を、リッカート1(強くそう思わない)~7(強くそう思う)で回答をしました。

<アイデア創造者の場合>
●能力( 2項目:「現在のチームでは 、アイデアを出すときに最高の力を発揮できる」、「現在のチームでは、優れたアイデア創造者になれる」)、
●楽しさ(2項目:「現在のチームでは、アイデアを創造することを楽しめる。「チーム内でアイデアを創造するのは 気分がいい」の2項目)
●エンゲージメント/フロー(1項目:「現在のチーム内でアイデアを出すとき、活力に満ちた集中感がある)

結果

わかったことは以下の通りでした。

わかったこと1:現在のチーム役割は、仕事満足度と正の相関があった

「現在のチーム役割」は、7つの役割全て(アイデア創造者 (Idea Creator)、情報収集者 (Information Gatherer)、意思決定者 (Decision Maker)、実施者 (Implementer)、影響者 (Influencer)、、エナジャイザー(Energizer)、関係管理者 (Relationship Manager))が、仕事満足度と正の相関があることがわかりました。
(一方、理想のチーム役割は、一部を除いて、仕事満足度には影響がないことがわかります)

わかったこと2:現在のチーム役割の評価は、仕事を「天職」とみなすことと正の相関がある

また同様に仕事を天職(コーリング)とみなすかどうかについても、現在のチームの役割について、情報収集者(IG)以外は、正の相関があることがわかりました。

まとめと感想

ポジティブ心理学の観点で「7つのチームの役割」が定義されていましたが、まずこの定義された役割が興味深く感じました。

7つのどの役割であれ、自分がその役割に対して「能力と楽しさ」を感じているとき、仕事満足度も天職と感じることも高くなるという事実は、個人が自分にあった貢献できる役割を見つけることで、チームの成功だけではなく、自分自身も満足できるという結果を裏付けているように感じました。

実行する人もいれば、情報を集める人もいてよい。
関係を構築する人も大事だし、活力を与えることも大事。
こうした役割お互いがもって、補い合えるとよいのだろうな、そんなことを思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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