はじめての方の「論文の読み方・探し方」おすそわけ勉強会 #2(探し方編)
前回のお話の続きです。今回の記事では「どうやって論文を探すのか?」(論文の探し方編)をお伝えいたします。
「論文を読む」といっても、「最初に論文を検索して、お目当ての物を見つける」ことが必要になります。では、具体的に何を使って、どのように論文を検索をすればよいのでしょうか?
本日はその方法について、初中級向け(一般~大学院1年生向け)に書いてみたいと思います。
前回の話はこちら↓↓
(論文を読む際の「心構え」をまとめています。はじめての方はこちらからお読みいただくと、論文を読むイメージがつくと思います)
論文の探し方
STEP1:「GoogleScolar」を開く
まず、論文の探し方ですが、どんな方でもできるのが、「GoogleScolar」で検索をすることです。(以下、画像をクリックするとサイトに飛びます)
こちらにお目当てのキーワードを検索します。日本語で検索をすれば、日本語の論文が出てきますし、英語で検索をすれば、世界中の英語で書かれた論文が出てきます。
日本語の論文の方が読み易いのですが、英語で検索すると日本では研究されていない論文がたくさん見つかります。たとえば、私は「強みの活用(character strength intervention)ついて調べていますが、日本語ではあまり出てきません。しかし英語だとバリバリでてきます。
STEP2:キーワードを入力する
検索窓への入力の仕方は「入力するキーワードの選び方」です。
理由は、”論文ならでは”でのキーワードで入力する必要があります。
たとえば、自分が持つ「強み」について調べたいと思ったとします。しかし、「Strength」と入れると、筋肉のお話や物理学の話がどどーっと出てきて、コレジャナイ感の前に立ち尽くすこととなります。この場合、「Stregnth」ではなく「Character Strength(性格特性的強み)」というキーワードを使うほうが私の目的には合っているわけです。
あるいは「新入社員を受け入れる際の考え方の全体像が知りたい」と思ったとします。これをそのまま「新入社員 受け入れ 全体像」と検索しても、なかなか目当てのものにたどり着かないかと思われます。
そうした時に「新入社員の受け入れ」→「新入社員 組織社会化」という概念を用いた方が目指すものが出てきやすいでしょう。(こうした用語は、ある程度勉強する必要があるかもしれません。組織行動について言えば『組織行動論の考え方・使い方』(服部泰宏/著)が全体像を示されていると思います。その他、ChatGPTに聞いてもいいかもですね。困ったときのChatGPT!)
また、個人的なオススメは「テーマ」✕「サブ」で検索するのもいいです。
メインのテーマの上に聞きたいことにより詳しく聞きたいことを、サブとして付け足して聞くのです。たとえば、「強み」というメインテーマが知りたいなら、そこに対してサブとして
・その概念のこれまでの全体像を知りたければ「review(レビュー)」
・研修などの施策を知りたければ「intervention(介入)」
・その概念についての評価方法を知りたければ「Scale(尺度)」、
と掛け合わせて聞くことで、お目当てのものにたどり着きやすくなります。このあたりは、有名どころはメインテーマを入れると予測変換で出てくるので、それを活用してもよいですね。ほんと、便利なもんだ。
STEP3:読む論文は引用数が多いものから
そんな風に検索をすると、ずらーっと論文が出てくるわけですが、どれを選べばよいのでしょうか・・・。非常に悩むところです。
これは正解があるわけではないのですが、個人的な優先度としては「引用数が多いもの」をまず見ています。
まず「引用数が多い」のは、他の研究者の論文に数多く引用されているわけで、その論文に信頼がおける可能性が高い、と思うからです。
ちなみに付け加えると、「PDFがあるもの」も個人的に優先度を上げています。というのも概要を読み進めて行って、おお、これは面白そう!と思ってもいざPDFがないと読み進められず悲しい気持ちになるからです(涙)。学生であれば学内のデータから手に入れられるのでしょうが、一般だと手に入れられない論文もあります。ゆえに、もしPDFで公開されている論文と、ない論文であれば、PDFがある方にアンテナを立てるようににしています。
じっくり読む論文をどう選ぶか
そして、論文を実際に腰を据えて読むとなると、それなりに時間もパワーもかかります。なので、実際にしっかり読むかどうかは、以下のように判断しています。
1、一覧を見る(タイトル・引用数・PDF有無をチェック)
2,論文の概要を読む
という流れです。
「1、一覧を見る(タイトル・引用数・PDF有無をチェック)」については、お伝えした通りです。
「2,論文の概要を読む」ですが、その論文をクリックすれば、概要(Abstract)なる論文の背景・目的・研究方法・結果を400文字くらいでまとめているものが出てきます。その部分だけ読むのは30秒もかかりません。よって、その部分を読み、自分が興味があるものかどうか、読み進めて得られる物がありそうかを判断します。
ちなみに、英語で論文を読むときは『DeepL』(ディープエルとよみます)なる翻訳ツールがオススメです。
このツールは英語が読めなくても、PDFごとこのソフトに入れるだけで、まるごと日本語に翻訳してくれます。無料プランでは1ヶ月に3本までPDFを無料翻訳してくれます。また、このツールをGoogle拡張機能に追加すると、マウスで文章を選択&右クリックで、すぐに翻訳してくれるので、とても便利です。
あとは、その場で読まなくとも、とりあえず「PaperPileで保存する」と、後で読むことができます。このお話については、次項でお伝えいたします。
論文整理の王道ツール「PaperPile」
興味がある論文をストックし、整理するための必須ツールは文献整理ツール『PaperPile』です。論文などの文献を集め、ジャンルごとに整理でき、メモやハイライト機能を通じて、学んだポイントも記録しておくことができる優れモノです。
この「PaperPile」をGoogleの拡張機能に追加すると、GoogleScolarの検索結果に「PaperPileボタン」が出現します。気になったものをポチっとするだけで、論文をストックしていくことができます。
ちなみに、「PaperPilerに集めたものを、どうやって分類したら良いのか?」という質問を、先日大学院の在校生向けに行った勉強会にて、参加者の皆様から頂きました。こちらについても、私なりの見解を少しだけ。
当然、ストックした論文がある程度数が溜まってくると、整理したくなります。しかし、その領域における概念・理論は、ある程度「論文の旅」を続ける中で全体像が見えるものだと感じます。ゆえに一定数の論文を読み続けて(20~30くらい)、全体像が見えるまでは、焦って厳密に整理をしなくてもよいのかな、と思っています。(私も「強み」について論文を集めていますが、とりあえず「ストレングス」という一つのフォルダに入れ続けております)
まとめ(探し方編)
さて、今日のお話は、「論文の探し方」について、一つの例として、私のケースを紹介させていただきました。
まとめると
・論文検索は「GoogleScolar」を使う。
・検索キーワードは「テーマ」✕「サブ」で探してみる。
・読むかどうかは、「タイトル・論文引用数」を参考にしつつ、論文の概要をささっと読んで決める。
・集めた論文は「PaperPile」で集めておく。
というお話でした。
とはいえ、本記事でお役に立つところが1つでも2つでもあれば嬉しく思います。論文の旅で出会った町人Aのお話として、参考いただければ幸いです。
次回は、「自分の言葉でまとめる」という話について、もう少し突っ込んで「論文の読み方編」についてお届けしていきたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
次のお話(論文読み方編)はこちら↓↓
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