「難しい参加者」に研修講師はどう対応すればよいのか? の答え
こんにちは。紀藤です。先日より『研修ファシリテーションハンドブック(中村 文子, ボブパイク著)を題材に、学びのまとめを記事にさせていただいております。本日で5本目、本書については最後となります。
今日のテーマは「ファシリテーションにおける難しい場面への対応」について。
上記参考図書の4章からの学びを共有させていただければと思います。それでは早速まいりましょう!
(これまでの記事は以下マガジンをご参照ください)
難しい状況にどう対応するか
研修は「ライブ」だ!、なんてと言われたりします。
集まった人が生み出す空気感が、研修に影響を与え、それが学習の成果に、良くも悪くも反映されます。
なので同じプログラムでも、「ポジティブ&積極的に発言して、周りに好影響を与える人がいるとき」と「ネガティブ&消極的で離席したり寝ていたりして、周りに悪影響を与える人がいる研修」では、結果が違ってきます。
そのライブとしての空気感が「参加者の研修評価」にも現れてきます。
なので、研修講師としては、その空気をできる限り、上手にマネジメントしたいもの。その中でも、特に気をつけるべきは「対応が難しい場面」「対応が難しい参加者」への対策です。
たとえば、研修では、以下のような「難しい状況」があります。
なるほど。
共感しすぎて、首がもげそうです(笑)
ではこれらの状況に対して、どのような指針で対応すればよいのか?
この点について、以下書籍より、まとめてみたいと思います。
「対応が難しい”場面”」への対策
対応が難しい場面には、いくつかのパターンがあるようです。
以下、それぞれの場面別の対処法が紹介されていました。
Q、ディスカッションが活発でない、対話が進まないときどうするか?
A、(対策1)設定時間を短くする
→ディスカッションの設定時間が長いとだれてしまうため、意識的に短く設定することで、集中力を高めるようにする。
A、(対策2)メンバーや人数を変える
→同じメンバーだと一部のメンバーのみ発言したり、発想が広がりづらくなる可能性がある。そのため、メンバーを固定せずにグループを変更したり、グループ規模を5~6名→2~3名に変えるなど変化をつける。
A,(対策3)問いかけの質を上げる
→抽象的な問いすぎる、深い自己開示を求める問いである、オープンすぎる問いである、、、などによって答えづらくなっている可能性がある。そのため、グラウンドルールを設けて「守秘義務」を伝える、あるいは質問を答えやすいものに変えるなどする。
Q、反応がなく、講師が空回りしているようなときどうするか?
A,(対策)特定の個人ではなく、全員を巻き込むファシリテーションに変える
→誰かを指名して答えさせる、ということをやっていると、参加者が受け身になっていく(おすすめしていない)。そのため、チームリーダーをランダムに選ぶ(=発表する役割をグループに設ける)→ 事前にチーム内で話をして全体に発表することを伝えておく、など行い、巻き込むような工夫をする
Q,話が盛り上がって時間がオーバーする。どうするか?
A,(対策1)アクティビティを適時調整する
→時間が余ったら加えるアクティビティ、足りなかったらやめるアクティビティを設定しておく
A,(対策2)人数を変更する
→5~6名でのシェアを、時間的な余裕がないときはペアにして調整をする。
A、(対策3)タイマーや残り時間を伝える
→タイマーを全体に表示する。また途中で「残り◯分です」などとアナウンスをしたり、それでも遅れているところがあれば、個別に声かけをする。
などが紹介されていました。
小さな工夫ですが、とても大事ですね。
「対応が難しい”参加者”」への対策
さて、次に考えたいのが「難しい参加者」への対策です。
本書では対応が難しい参加者を、以下のように定義しています。
参加者には様々な方がいます。
会社や上司との関係性、事前の研修内容の告知の仕方、仕事の状況(多忙等)、参加者個人の特性などで、研修にネガティブな姿勢で取り組まれる方も、何割かは存在するケースが多いと感じます。(むしろ「研修大好き!」のほうが珍しい)
かといって、ネガティブな姿勢の方(難しい参加者)は、周りにも影響を与えるため放置するわけにもいかない・・・。
そんなとき、どのように対応したらよいのでしょうか?
以下、それらの対処方法について述べられていました。
●前提:対応が難しく見える言動の背景を考慮する
まず大切なのが、無表情、参加に対して積極的ではないようにみえる人も、その背景となることを推察し、考慮することです。
たとえば、「元々表情に出づらい」「腕を組んで考えるクセがある」「仕事が忙しすぎて睡眠不足」「業務でトラブルがあった直後である」などの可能性もあります。
そうした可能性を検討することで、参加者に対してネガティブなレッテルを貼らず、ニュートラルに対応しやすくなります。(「あなたの態度、ダメです」的にアプローチされたら、ますます難しくなってしまう可能性が高いです)
●事前対策:対応が難しい参加者を、生まない工夫をする
そもそもですが、実際に難しい参加者が生まれてから対応するのは、なかなかハードルが高いものです。よって、「事前に対応の難しい参加者をうまない工夫をする」ことが重要です。
たとえば、以下のような工夫が挙げられていました。
確かに、これらのことを行っていれば、難しい参加者が生まれる可能性は低くなりますね。
●事後対策:その参加者の近くにいく
さて、事前対策で難しい参加者が生まれないようにできれば望ましいです。
しかし実際に、難しい参加者が研修中にいたときに、どのように接すればよいのでしょうか?
たとえば、「隣の人と喋っている」「メールなど他のことをしている」「寝ている」「発言しない」「関係ないおしゃべりやディスカッション中に脱線する」「否定や批判が多い」などです。(良くわかります苦笑)
そのときの基本的な対応としては、「その人の近くにいく」ことで間接的なメッセージを送ることが一つです。また、ディスカッションのチームリーダーに指名するように促すなども効果的でとされていました。
講師はその存在だけで、何かしらのメッセージを放つのです。
まとめ
本章を読みながら、あるある!と思わず頷いてしまいました。
そして、『研修ファシリテーションハンドブック』は、世界15万人の講師に向けたトレーニングとのことで、世界共通であることも、非常に興味深く感じました。
そして、研修中にできることとして改めて大事だと思ったことは「講師が参加者一人ひとりと関係をつくる」こと。
たとえ否定的・批判的に感じることはあれど、参加者の方それぞれには、そう思う背景や理由があるわけで、その点を尊重することができれば、基本的には大人な対応をしてくれる、、、そう信じたいと思いました(結果がどうなるかは置いておいて、立場としてはそうありたい)。
研修前、開始時、休憩中、あらゆるところに気を貼ることが重要だな、と改めて思った次第でございます。私も、改めて気をつけたいと思いました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?