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研修の3つの場面で使える「ファシリテーション実践のテクニック」

こんにちは。紀藤です。先日より読み解いている『研修ファシリテーションハンドブック』(中村文子、ボブパイク/著)本日も続けてご紹介させていただければと思います。

今日のテーマは「ファシリテーションの実践」について。
一般的に「実際の研修当日どのように、参加者にワークの説明や、質問をするのか」という、具体的なアプローチを解説されている、実に活用しやすい章です。ということで、概要をご紹介させていただければと思います。

それでは早速まいりましょう!(昨日までのお話はこちらからどうぞ↓↓)

研修ファシリテーションの実践テクニック

効果的な研修には、「研修前の準備(デザイン)」が重要であることは、これまでもお伝えした通りです。

ちなみにもっと言えば、効果的な研修は「研修前の準備」より更に前の「課題の特定」から始まります。ビジネスのインパクトを与えるには、研修までに8割決まっている、といえるでしょう。

しかし、研修前の十分に準備したことでも、的確に参加者に届けることができなければ研修効果は限定的になります。ですから、「事前にデザインしたアクティビティやディスカッションを効果的に運営する」ことが大事になるわけです。

それが「研修ファシリテーションの」です(一般的に「ファシリテーション」という言葉から連想される講師の行動です)。では一体、具体的にどのような点に気をつければ、上手なファシリテーションができるのか?

こちらのポイントをいくつか見ていきましょう。

(1)アクティビティ前のファシリテーション

ファシリテーションの1つ目が、アクティビティ前に行う「インストラクション(=説明)」です。

アクティビティやディスカッションの前に「インストラクション(=説明)」を行いますが、これがうまく伝わらないと、参加者が右往左往して、準備したワークが適切に機能しないことが起こります。

ではどうするか? インストラクション(説明)における8つのポイントがあり、これらに気をつけることで、参加者が受け取りやすく理解しやすい説明になるとされています。以下、ご紹介いたします。

<インストラクションの8つのポイント>
1,結論を先に伝える
(例:これからペアになって、1on1のロープレを行います)
2,ゆっくり、はっきり、ていねいに伝える
(わかっているだろう、は禁物。初めて聞く説明として伝える)
3,「たとえば・・・」と求めている方向を示す
(例:これまで出会った上司で良かった言動を挙げてください。例えば、私の場合・・・)
4,一度に大量の説明をしない
(前半と後半にわけてもよい)
5,参加者が講師に注目してからインストラクション(説明)を始める
(参加者が注目するまでは話さない。重要な点は2回説明する)
6,ていねいな表現で、笑顔で言い切る
(例:「では、始めてください」「ポストイットに書いてください」)
7,参加者の理解を確認する
(例:「始める前に確認したいことがある方はいますか?」)
8,軌道修正が必要なチームがあってもすぐに介入しない
(まずは全体を見て回る。全体で同じ状況になっていたら、全体でストップして軌道修正をする)

引用・参考『研修ファシリテーションハンドブック(中村 文子, ボブパイク著)、P164~P172

なるほど、言われてみればその通り、ですね。

ちなみに、上記のポイントは、実際にやってみないと、インストラクションが機能するかはわかりません。そのため、「リハーサルをやってみる」ことが大切なポイントである、と強調されていました(本当にその通り)。

また、研修のアクティビティを進める前には「リーダーは固定せずランダムに決める」こともおすすめされています。それによって、参加者の主体性を発揮されること、発言者が固定されず日ごろの関係性(上司など)が現れづらくなる、などでおすすめであるとされています。
(リーダーの決め方は、アクティビティの開始前に「起きた時間が一番早い人」「通勤時間が一番短い人」「最近飛行機に乗った人」など聞いてテアが上がった人が一時リーダーとする、などがよいです)

(2)アクティビティ中のファシリーション

次に、アクティビティやディスカッション中に講師がどのように「ファシリテーション」するのか、についてです。
アクティビティをしている最中に、講師も会場を見て回ったりするのですが、その時に、どのような動きをすればよいのでしょうか?

以下、ポイントを3つにまとめてお伝えいたします。

●1、ワークの時間設定は「やや短めに」

長いよりも短いほうが記憶に残りやすい。もうちょっと話したい、ぐらいで終わるのがちょうどよいとされています(ザイガニック効果という)

●2、基本は「介入せず見守る」

基本的な姿勢は、参加者に介入せず、見守ることが原則です。
たとえ、否定的なコメントが聞こえてきたり、こちらが想定していたプロセスと異なるプロセスで進めるときも、基本は「参加者の選択」を重視することがポイントになります。
とはいえ、以下のような場面では介入が必要と考えられます。

<講師の介入が必要な場面>
1.インストラクションの内容を誤解している様子のとき
2,明らかに間違った方向に進もうとしているとき
3,明らかに他のチームよりも進行が遅いとき
4,全体にシェアすると良さそうなことが聞こえてきた時

P185

●3、研修を予定どおりに進める5つのポイント

研修時間の延長は、絶対に避けるべき、と言われます。
理由としては、参加者の学習効果が著しく下がるためです(まだ終わらないのかな、と必ず思う)。
よってアクティビティやディスカションも予定通りに進める事が重要となりますが、どのような点に気をつければよいのでしょうか?

以下、5つのポイントが紹介されています。

<研修を予定どおりに進めるための5つのポイント>
1,分担する(例:チームごとに取り組む課題を分担する)
2,ペースの違いを予測したデザインにする(例:必須の課題と、余裕があったら取り組む課題をわける)
3,タイマーを見えるようにする
4,残り時間を予告する(例:「残り3分です」とアナウンスする)
5,完璧を目指さない(例:「できているところまでで結構です」「途中までで問題ありません」等伝える)

P179~188

また、本書においては、オープニング、クロージングでも、どのような点に気をつけるべきかが詳しく解説されています(この記事では割愛いたします)。

(3)アクティビティ後のファシリテーション

次に、アクティビティ後にどのような関わりを講師がすればよいのか、についてです。全体の場で、参加者に意見を聞いたりするわけです、
その際に、どのようなポイントで関わればよいのか、以下5つのポイントでお伝えいたします。

●1、ディスカッション後の発言を促す
リーダーから発表してもらう。発表するチームの順序も講師は指定や指名をせず、主体性を引き出すことがポイント
(例:「最初に発表してくださるのはどのチームでしょうか?」)

●2、全員の発表を求めない
必ずしも、発表は毎回全チームが行う必要もないため、6チーム中3チームだけ発表してもらう、など行うようにします。また「各チーム1分で」「出た意見の中で1つずつ」等伝えると、他のチームと重複することなく、全体のシェアができるようになります。

●3,発表後の講師の対応 ー4つのポイントー
ポイント1:評価しない
(すべての発言に「ありがとうございます」と御礼を述べる)
ポイント2:受け止める
ポイント3:考えを促し、導く
ポイント4:まとめない

●4,参加者からの質問を引き出すポイント
1,言い換える(例「次に進む前に確認しておきたいことはありませんか?」)
2,質問ボードを用意する
3,チームで講師への質問を考えるアクティビティを行う

●5,参加者の質問に答えるポイント
STEP1:質問に対して御礼を言う
STEP2:質問内容や意図を確認する
STEP3:答える
STEP4:3の答えで解決したかを確認する
(難しい場合は後日回答することを約束する)

まとめ

一つ一つは小さなことのようですが、その講師の言葉から、参加者は発言しやすくなったり、黙ってしまったりします。

ワークの後の意見の促しでも「なにかありますか?」だとオープン過ぎることに対して、「次に進む前になにか確認しておきたいことはありますか?」のほうが具体的で、質問の焦点がわかりやすい、とか

または「良い質問ですね」と答えると、「良くない質問がある」と質問が出づらくなる影響があるため「ご質問ありがとうございます」と御礼と受け止めに徹底したほうがいい、などです。

改めて、研修をファシリテーションする上で、自分自身の一挙手一投足を考える事が必要ですし、それらがわかるように事前の練習が大変重要になるのだろう、そのように思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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