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「人が変わる」ために必要な3つの要素

こんにちは。紀藤です。先日の記事で、『なぜ人と組織は変われないのか――ハーバード流 自己変革の理論と実践の著書から、変化を阻むメカニズムを示した「免疫マップ」のお話をご紹介させていただきました。

本日は、そのお話の続きです。

今日は「人が変わるために必要な3つの要素」について、本書の内容から、皆様に学びを共有させていただければと思います。

それでは、どうぞ!


「人が変われない理由」とは

本書の『なぜ人と組織は変われないのか』で語られているポイントとは、”「人が変われない理由には自分が掲げた『改善目標』に対して、『裏の目標』があるからだ”、と述べました。

どういうことかというと、例えば「部下に仕事を任せる」という『改善目標』を掲げたとします。しかし、できない・・・。
 その深層心理を見ていくと『裏の目標』として、「自分が最も仕事ができる人間でありたい(自分がスペシャリストとしての能力が一番でありたい)」があった、というような話です。
 そして、更に見ていくと、その『裏の目標』の更に奥には、「プレイヤー仕事ができるマネジャーじゃなければ、部下の信頼を得られない」という『強力な固定観念』があったりするのです。

この状況を、「アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態」と比喩し、それが人が変われない理由だ、と著者のキーガン氏らは述べました。

実は、これはよくある話で、他にもたくさん例があります。
たとえば、「ダイエットしたい」という『改善目標』に対して、「退屈したくない(手持ち無沙汰がイヤだ)」という『裏の目標』があり、ダイエットできない人もいる。
その他にも、「周りから勧められた食事は断りたくない(断りたくない)」という『裏の目標』の人もいるかもしれないし、「男や女(恋愛の対象)と見られたくない(だから痩せたくない)」という”『裏の目標』の人もいたりします。

おなじ「ダイエットができない」という課題でも、人によりその『裏の目標』は千差万別ということです。

では、どうすればよいか、というと「変わるため」の第一歩としては「自分の『改善目標』を阻む、『裏の目標』が何かを自覚すること」が大切と述べています。

「人が変わるために必要な3つの要素」とは

・・・とはいいつつ、この「免疫マップ」を作って、『裏の目標』や『強力な固定観念』を紐解いたら、100人が全員変われるか?といえば、どうやらそういうわけでもないようです。

本書では、数千人の免疫マップを作成し、その上で「変わることが成功した人」がどのような特徴があったのかを「3つの要素」として、以下紹介していました。

確かにそうだよね・・・と思うものが多く、納得しました。
(同時に、難しさも覚えました)

ということで、3つの要素を見てみましょう。

要素1:心の底 ー心から成し遂げたいと思っている

まず、人が変わるためには、「努力を開始し、継続し、目標を成し遂げたいと心から望んでいなくてはならない」と述べています。

この「心の底」とは、改善目標を掲げた時に「きわめて重要」「重要」と1~5段階評価で、5や4をつけるレベルよりも、もっと強いものだ、と述べています。つまり、その目標を達成することが「絶対不可欠」だと感じているレベル(!)と述べられています。

いいかえれば「本能レベルの危機感」です。その自分の変革を成し遂げなければ、自分の愛する人や大切なものが危険にさらされるという感覚・・・これがなければ、なかなか努力を継続するのは難しい(!)、とのこと。

「ちょっと、そりゃハードル高いよ・・・」と思われた方も、きっと私と同様にいるのではないかと想像します(汗)。でも、それも確かに現実。
人は必要に迫られなければ、変わろうと思えない生き物という切なさも感じるお話です。

また、現実には「変革にはタイミングが必要」というのもある、ということなのでしょう。この「乗り越えなければ後がない」という状況は意図して作れるとは限りません。
(特に、この免疫マップの裏には「知性の発達」とい壮大なテーマが流れており、このことは、変化することも「縁」と言っているようにも思えます)

(補足)
一方、「変わる」ための別パターンとして、「1,目標の達成に自信がある」「2,そのための方法がわかっている」ことができれば、本能レベルの危機感がなくとも変革は可能、とも言っています。(こちらのほうが現実的ですし、気になるところですね)

要素2:頭脳とハート ー「思考と感情」の両面に働きかける

次に、人が変わるには「頭で理解すること(思考)」と「心からそう思うこと(感情)」の両面が必要である、と述べています。

思考と感情の両者は、相互に影響をし合っています。
「どう感じるか」は「どう知っているか」と切っても切れない関係にあります。
”思う”&”感じる”が揃うから、行動への原動力になるわけです。

たとえば、「他者に権限を与えるリーダーシップ」を実現したいと思っても、「それが良いものである」と”理解している”ことがなければ、良いものであると”感じる”ことはできません。そしてどちらかが欠けていると、どこか引っかかりを感じて行動に移すことが難しくなります。

なので、「良いリーダーシップを定義し直す(成果を出すだけではない)」とか「自分の前提を疑う(本当にその考えは正しいのか)」という思考へのアプローチを行い、思考と感情、どちらにも働きかけることが必要とのことでした。

要素3:手 ー思考と行動を同時に変える

そして、最後の要素は「行動」です。

当然と言えば当然ですが、「行動」をしなければ、何も変わりません。
どんな小さな行動でも、アクションするから、免疫マップを克服することができるわけです。(これを、「One Big Thing(一つの大きなこと)」と呼んだりします)

改善目標に対して、何かしらの行動を取ること。

そのための第一歩として、『「改善目標を阻害する行動」を観察し、自分の「裏の目標」と「強力な固定観念」に自覚的になること』が述べられています。
いずれにせよ、免疫マップを記載して、自分自身を客観的に認識することが重要になります。

まとめ(免疫マップ活用のポイント)

また、免疫マップを作成する上で、「裏の目標」の書き方の工夫等、いくつか紹介がされています。

「裏の目標」の書くポイントは「私は~のことを恐れている」という書き方、すなわち「自己防衛」のような性格を持つ内容になるのがポイントとなります。(「不安ボックス」という比喩がよい、とのこと)

■「不安ボックス」 
私は以下のことを恐れているー
・例:間抜けに見える
・例:ものごとをコントロールできなくなる
・例:大きな失敗を犯す

また、「強力な固定観念」を乗り越えるために、正しいものか検証するためのアクション方法も紹介されていました。
(例:その実験は安全か?そ、の実験により「強力な固定観念」の妥当性を検証するための材料を得られるか?など)

これらのことから、具体的に免疫マップを活用して、自己変革をするためのポイントがよりイメージがつくように感じます。

Kegan&Lahey(2009)/池田訳(2013)『なぜ人と組織は変われないのか』.英知出版. P343


以前読みましたが、改めてこうして見返すと、色々と発見があり、面白いなあ、と感じた次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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