マネジャーの強みアプローチを開発する「CSAパフォーマンスモデル」とは⁉ ~書籍『ストレングスベースのリーダーシップコーチング』(10)
こんにちは。紀藤です。本記事にお越しくださり、ありがとうございます。
本日も前回に引き続き「ストレングスベースのリーダーシップ・コーチング」をテーマにした書籍を紹介いたします。
前回のお話はこちら↓↓
第8章:リーダーやマネジャーとしてのストレングスベースのアプローチを用いる
さて、今回ご紹介する章は「リーダーやマネジャーとして、ストレングスベースのアプローチをどのように使うのか?」についてです。
本章のポイント述べられていた【前提】と【アプローチ】を、以下わけて解説をしたいと思います。
【前提】自分自身の考え方を振り返ること
まず、「ストレングスベースのアプローチを用いる前提として、まずはリーダー/マネジャーとしての自分自身の考え方を振り返ること」と述べられています。
たとえば、リーダー・マネジャー自身が「リーダーって生まれつきでしょ。俺の考えは変わんないよ」とか、「強みにフォーカス?そんなこと意味がないっしょ」と思っていたとしたら、ストレングスベースのアプローチを取ることは、当然難しくなります。
では、どんな観点から「自分自身の考え方」を振り返るとよいのでしょうか?具体的には、以下の3つの理論的な観点から「自分自身の考え方」を振り返ることが必要であると述べています。
(1)暗黙のリーダーシップ理論
暗黙のリーダーシップ論とは、「上司(リーダー)とは・・・であるべきだ」という部下(フォロワー)の認識に合致する言動をとる人を、フォロワーはリーダーとして認知するという考え方です。
同様に、上司も部下に対しても「暗黙の部下論」のようなものをもっています。部下に対して、マネジャー・リーダーが、自分の考え方やバイアスを客観的に捉えることは、部下への関わり方に影響していると考えられます。
自分自身の部下に対する信念をメタ認知できることが大事です。
(2)ハッピープロダクトワーカ理論
これは、「ポジティブな人は生産的である」という考え方です。実際には、75人の取締役を対象に、ポジティブな感情と生産性の自己評価尺度を用いた研究では、ポジティブな感情と仕事の満足度の間に有意な相関があり、ポジティブ感情と生産性の間には更に有意な相関があったと言う研究もあります(Zelenski,Murphy and Jenkins,2008)
ポジティブな感情と生産性の関連について、どのような信念を持っているを認識することが必要です(反対意見を持つのであれば開発準備ができていない、となります)。
(3)ポジティブ感情の拡大構築理論
ポジティブな感情がパフォーマンスを含む様々な結果に与える影響を調べるために開発された理論です。ポジティブな感情は、行動や思考を拡大し、自らの資源を構築して、パフォーマンスの向上につながるとした理論です(Fredrickson,2001)。
この理論についても、自分自身の考え方が影響してきます。(この理論をどれくらい信じられるかも影響しているかが、ストレングスベースアプローチを取れるかに関わってくるということ)
※こちらについては、以下参考記事です。↓↓
部下にストレングス・ベースのコーチングアプローチを行う
さて、ストレングスベースのアプローチですが、どのような場合に部下や従に本アプローチを用いることができるのでしょうか? 以下、基本的な考え方や、アプローチを用いるために必要な能力についてまとめます。え
シチュエーショナルリーダーシップ
まず関わり方の一つのポイントが『シチュエーショナル・リーダーシップ(SL)』(Hersey and Blanchard,1977)です。
このシチュエーショナルリーダーシップでは、部下の能力が低い場合は指示型アプローチ、部下の能力が高ければコーチング的アプローチを取ることで部下が自ら変化の選択肢を生み出し、やる気と力を発揮することができるようになる、という考えです。
ここでは、「部下の強みを活用についても、指示型なのかコーチング型7日を考慮すること」がポイントであると述べているようです。
ストレングス型リーダーとしての能力を開発する
次に、ストレングス型リーダー・マネジャー(ストレングスベースのアプローチを用いることができる)としての能力を開発する手っ取り早い方法は以下2つを推奨しています。
1つ目が、「ストレングスベースのコーチングプロセスに身を置くこと(コーチングプロセスを学ぶ)」、2つ目が、「専門家による継続的なメンタリングを受けること」です。
つまり、どちらも、「コーチングをやったり、教わったりして自分で学んでみよ」ということですね(そりゃそうだ)。
その上で、以下が必要になる個別スキルや考え方になると、紹介をしていました。
なるほど、このように整理がされるとわかりやすいですね。
マネジャー自身が、自らの行動をストレングスベースのアプローチに沿うように修正する
次に、上記に通ずる話でもありますが、「マネジャーやリーダーが、自分自身を評価し、コーチングの強みと伸びしろを確認する」(つまりストレングスベースのアプローチをよりブラッシュアップする)ためのモデルとして、あるステップが紹介されていました。以下、紹介いたします。
CSAハイパフォーマンスモデル
「CSAハイパフォーマンスモデル」とはストレングスベースのアプローチについて、マネジャー/リーダーの能力向上に繋がるモデルです。
曰く、コーチングのGROWモデルを拡張し、「行動の観察と理解」「フィードバックの提供」「新しい行動のサポート」という重要なコーチングモデルを含んでいるとのこと(本著書の著者が開発されました)。本モデルのポイントは以下の通りです。
さて、では、具体的にどのようなステップで進めるのでしょうか?
以下準備~5つのステップが紹介されています。引用させていただきます。
とのこと。以下モデルが、CSAハイパフォーマンスモデルの、コーチングの開発サイクルとのことです。
まとめと結論
さて、本章においては、「ストレングスベースのアプローチ」について、より詳しく踏み込んでいました。
ストレングスベースのアプローチの適用には、「部下に対するアプローチの際に基本的なポイント」と、「自分自身のアプローチを振り返る方法」が紹介されていましたが、どちらも適用することで、マネジャーのアクションの補助線となり、部下の能力向上とエンゲージメントの強化の両面において、より大きなリターンを得ることができるだろう、としています。
一方、本記事では触れませんでしたが、以下の点についても触れられていました。
・ストレングスベースのアプローチが「有効な分野」(例:業績評価、キャリア開発、リーダーシップ開発)
・ストレングスベースのアプローチを用いる際に出てくる「反論」(例、時間がない、親しみすぎると舐められるなど)
・ストレングスベースのアプローチについて「まだよくわかっていない領域」(例:ストレングス重視の採用)
なども整理されていました。
また、ストレングスベースのアプローチが勢いを増せば、業績評価や採用など、経営領域の他の要素がストレングスベースのアプローチに影響されるようになっていく、などこの領域の未来についても言及されています。
こうしたアプローチが具体的になるほど、現場での活用もされやすくなります。日本の企業や文化に沿った形で、こうしたアプローチがより使われるようになると、まだ見ぬ可能性や結果に繋がりそうだな、とも思った章でした。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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