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「第63回 北上・みちのく芸能まつり」(その2) |2024.08.03 おまつり広場


8月3日 おまつり広場

さくらホールでの【源流の足跡 郷土芸能の探求〜みちのくの民俗芸能が集う 舞・踊の源流を訪ねて】をじっくり見終えてから宿に行きチェックインを済ませる。

移動中の車の外気温が40℃を指していて、なかなか蒸し風呂のような暑さで心身火照っているところに宿の部屋の冷房。うっかりお尻に根っこが生えてしまいそうでしたが、見たい芸能にチェックを入れているパンフレットを見つめて気合いを入れ直し、出発。

おまつり広場での芸能、鹿踊に鬼剣舞の大群舞を見ないとみち芸に来たという気がしない感もあるので、どんどんテンションは上がっていきました。

パンフにチェックを入れながらもまだまだ迷っている箇所もあって、ギリギリまで悩む。でも、やはり移動を考えるとあまり動かないでいる方が良いので、やはりチェックしいていた計画通りにする。

チェック入れているパンフ

お目当ての場所までおまつり広場を闊歩していると、示し合わせも無いのに、仙台げいのうの学校や、仙台鬼剣舞同好会の面々と各々会う。やっぱりみんなお好きですね。

今回の動画は全部まとめて一本にして、芸能毎にチャプター別けしているので是非じっくりみてください。

チャプター別けする方が繰り返し機能も使えて自分的には便利だなぁと思うので、最近は長編編集してチャプターを分けるスタイルになってきています。

各芸能の記事のところにもそのチャプターに飛べる直リンも貼っておきます。(でも、都度埋め込んだ方が見やすいのかな。よければコメントなどでご意見願います!)

更木石名畑神楽(北上市):神楽「権現舞」大群舞

更木石名畑神楽 権現舞

動画リンク:https://youtu.be/fsaEx2s6Fqo?t=0&si=SPC8Zx1m_ReHtLqV

神事から始まり、踊りなら獅子の支度をし舞い始める。大乗神楽系の権現舞いかなとじっくり見ていると急に

「ぴぃぃぃぃぃぃぃーーーー!!」

という音?声?が響き渡る。
始めは見ている子供がびっくりしてか、ふざけてか悲鳴を上げているのかなと思っていたけれど、何度も何度も聞こえてくる。

もしや、、、
獅子が鳴いている!?

注意して見ていると、やはり獅子が鳴いている。道具か何かを獅子頭に仕込んでいるのだろうか。こういう風に鳴く獅子舞は初めてでしたし、あやし役の方の踊りがまたハッピーな感じで、思わず一緒にハッピーになって笑ってしまいそうになりました。

更木石名畑神楽について笠原信男さん著書「明治維新と宮城の芸能」には

神楽名
更木石名畑神楽

系統
異伝系

旧領
旧南部藩

所在地
北上市更木・石名畑

備考
現在は権現舞のみ

引用:明治維新と宮城の芸能 p106 岩手県における法印神楽系の神楽(奥州市以外) 

と、法印神楽、大乗神楽系の図の中に書いてありました。

他にネットでは北上市更木に伝わる郷土芸能の石名畑神楽、ということ以外は出てこず由来など詳しいことは調べられず。情報求む!

また、この大鳴きする獅子とハッピーな踊りを今度は神社仏閣でやるであろう地域の行事、祭典で見てみたいです。

岩手県立北上翔南高等学校(北上市)

岩手県立北上翔南高等学校 鬼剣舞部 刀剣舞の狂い

動画リンク:https://youtu.be/fsaEx2s6Fqo?t=957&si=ZU1q5Y-yrZ0ESF6q

岩手県立翔南高等学校(note)

仙台鬼剣舞同好会Kさんの母校でもある翔南高校の鬼剣舞部。

「きっとOB、OGもめっちゃいるよ」

と、Kさん。父兄だけではなく先輩たちからもしっかり見られている現役高校生達。Kさんもきっと現役時代はそうだったんだろうな。

前奏が始まり、刀剣舞の狂いから演目スタート。初めて生で翔南高校の鬼剣舞を見させてもらったけれど、やっぱり動きとキレが凄いなぁ。若さ、といのかな。

一人加護、膳舞、そしてカニムクリとトリッキーな演目が続いて最後は三番庭の狂い。お祭り!という感じの勢いのある内容でした。

鵜住居虎舞(釜石市)

鵜住居虎舞 笹喰み

動画リンク:https://youtu.be/fsaEx2s6Fqo?t=1954&si=PmDGuwTJdXRcO6qV

鵜住居虎舞は、江戸時代中期に岩手県沿岸上閉伊郡より伝わったとされます。当地の祭礼に奉納される太神楽の拍子を取り入れたように思われる趣きを持ち、虎頭は優雅で「雌虎」といわれます。

また、手踊りの演目が多いのが特徴です。鵜住(うのすみ)神社に奉納する舞であり、鵜住神社祭典には御神輿の御供として参加しています。昭和中期頃まで「若者會」により継承していましたが、その後「鵜住居青年会」が継承しています。

引用:三陸国際芸術祭

以前、石巻市で行われた「民俗芸能Now」というイベントで、一度見させてもらったことがあり、是非また見たいと思っていたのでとても嬉しかったです。
今年の大槌町郷土芸能祭で大槌3団体、釜石1団体の虎舞も見ていたので、虎舞の雰囲気、流れはまだ記憶に新しく感覚が残っているのでその上で見るのもまた楽しみ。

岩手三陸沿岸の虎舞で多く見る締太鼓を平打ち、その脇に宮太鼓を横置きにして一人で2台の太鼓を打つスタイル。宮城県内の獅子舞や虎舞(加美町中新田)では(僕は)見たことが無いのでいつ見ても新鮮です。大槌や釜石は釜石型っていうのでしょうか。あ、そういえば大槌の大神楽もこの太鼓のスタイルのもあった。

よく見ると篠笛も大きい。どの調子を使っているのかな。大槌で見てきた虎舞と比べるとピッチは低めで柔らかい音の印象。

またこうやって鵜住居の虎舞を見ることができてとても嬉しい。

口内鬼剣舞(北上市)

口内鬼剣舞保存会 三人加護

動画リンク:https://youtu.be/fsaEx2s6Fqo?t=2905&si=_FS4K2wuKVqWvxKM

【由来】1968年(昭和43年)に初演の後、1986年(昭和61年)岩崎鬼剣舞から相伝された。また、2000年(平成12年)には、滑田鬼剣舞より4演目伝授の認定書を受けた。

引用:北上観光コンベンション協会 きたぶら

口内鬼剣舞保存会(X)

口内鬼剣舞保存会の皆さん。今年3月に仙台鬼剣舞同好会のメンバーで稽古に見学(参加)させてもらい、すっかり口内のファンであり、そして師匠。

始まりの演目は膳舞からで、先刻翔南高校のを見ていたので違いが見れてとても面白いです。

次に二番庭(かな?)。初めて見る演目でした。シームレスな演出で続いて三人加護。さくらホールで谷地鬼剣舞の三人加護を見てきたばかりだったので、これまた違いが見れる楽しさ。

そういえば、口内は岩崎っぽいなという印象だったのですが、三人加護の滑田系の演目だとさくらホールで覚えてきたばかり。

先ほどネットで口内の由来を探していたら、岩崎から相伝されて、滑田から4演目伝授されたというハイブリッドな保存会だったのかぁ!こりゃ、凄いなぁ。
浜の法印神楽で例えると本山派も羽黒派もしっかり伝授されてますよ的なことなのかな。

奥山行山流増沢鹿踊(奥州市):鹿踊大群舞

奥山行山流増沢鹿踊

動画リンク:https://youtu.be/fsaEx2s6Fqo?t=3975&si=-vO4MA-_0WR5i8sN

増沢鹿踊の由来は「江刺の芸能」他より

「文政10年(1827)8月、伊手村二渡(現奥州市江刺伊手)地ノ神の師匠吉衛門から伝授された。現在11代目が受け継ぎ増沢郷土芸能保存会の鹿踊部として活動している。」

引用:祭りの追っかけ”奥山行山流増沢鹿踊「礼庭」@2022えさし藤原の郷公演

奥山行山流増沢鹿踊(Instagram)

鹿踊りの大群舞。今年は増沢鹿踊さんの見物。
ザンチキザンチキ ザンザンチキ・・・と太鼓の音を響かせ行進。演舞位置まで行進してくる時に、7名だったのでもしかして一人欠けてしまったのかな。
僕らが座っていた位置は後ろ側だったみたいでしたが、演者の目線の近くで見れるのはこれまた面白い感覚でした。

岩手県奥州市(江刺)も鹿踊がとても盛んな場所で毎年5月の「江刺甚句まつり」と8月の「江刺夏まつり『みちのく盂蘭盆まつり』」で「百鹿大群舞」という100名の江刺の鹿踊の方々で踊るというイベントもあるそう。

新平そそりさんさ(北上市)

新平そそりさんさ

動画リンク:https://youtu.be/fsaEx2s6Fqo?t=5210&si=HuCXsHHZ2_w1mq7-

日平駅家の里に住む先人達が作業唄として地元の若衆達の暮らしぶりを唄と踊りに描写したものです。農作業や馬の世話をしながら過ごしたり、小作人や若衆達が仕事の区切りがつき作業から解放された「おおっきり」(休日)や大雨等で仕事ができない日に酒を酌み交わし、解放を味わった光景でもあります。 

この唄と踊りは人数が多いほど様になりますが、俗語では「ビッキおどり」とも言い、みんなで酒を飲みながら男たちが唄い、女たちが「ビッキ」(蛙)のように飛び跳ねて踊りだし、盛り上げる様子を表わしています。「そそり」とは士気をかき立てることで、そそのかすという意味でもあります。 

時代の変貌と生活環境が変わったことで中断されていましたが、次の世代に残していこうと地区が一体となり復活させたものです。

引用:えづりこ散策マップ

これも初めてみる芸能。「さんさ」と名が付いているので、盛岡のさんさ踊りのような笛太鼓を持ってみんな踊るものや、去年見た下藤根さんさ踊りみたいな全明寺盆踊り系統をイメージしていましたが、また違う感じ。
というかお囃子が三味線と太鼓、チャンチキ(当り鉦)に唄で、お座敷のような雰囲気で明るく踊る感じでした。

上記のえづりこ散策マップのページの引用を読むと、さんさ踊りの系統とはまた違う文脈でできた芸能みたいで、当時の暮らしを表現し鼓舞するものみたいですね。

「さんさ」の意味についても調べてみると

「さんさ」って、どんな意味?

さんさ踊りの「さんさ」の語源は、 『日本民謡事典』によれば、「サンサヨー」というはやし言葉からきた名称であろうとしています。 『日本民謡集』を著した町田嘉章も、「さんさ」が近世において囃子詞(はやしことば) として慣用されてきたところからの名称としており、これが通説となっています。

他にも、さきの三ツ石伝説に由来して、

“鬼退治の喜びに手に笹を持って踊った ところから笹踊りとなり、さんさ踊りとなった(本来、笹には悪魔を寄せ付けないという言い伝えがある)”

“ある寺の和尚が修行中の坊主たちを集めて皆踊れ、サーサと声を掛け始めたことからさんさ踊りになった”

“南部の殿様が老若男女がサッコラチョイワヤッセと囃して踊っているのを見て大変喜び、 「サァサ踊れ、サァサ踊れ」と自らも踊りの輪に入って楽しまれた。その時のサァサに由来する”

“当時の曲数が三十三種類あったことからさんさ踊りと呼んだ”

などなど多くの俗説があります。

引用:さんさ踊り豆知識

という感じで、さまざまな意味で「さんさ」という言葉が囃子言葉として唄や踊りで使われているみたいです。
あ、そういえば民謡の「南部牛追唄」や「外山節」にも「さんさぁぁ〜〜〜〜えぇええ」って入ってた。

さんさも沼が深そうだ。

口内鬼剣舞(北上市):鬼剣舞大群舞

鬼剣舞大群舞 口内鬼剣舞保存会 一番庭

動画リンク:https://youtu.be/fsaEx2s6Fqo?t=5900&si=JAmxQbsUCnvMQCrC

おまつり広場のトリはお馴染みの「鬼剣舞大群舞」
また口内鬼剣舞保存会の舞を見させてもらいました。今年のお囃子は「二子鬼剣舞保存会」。去年も思いましたが、様々な団体が別の団体の囃子でも踊れるのは本当純粋に凄いなぁと思います。

演目はこれぞ鬼剣舞の基本!の「一番庭」と「刀剣舞の狂い」

後ろの方で小さい子(多分、保存会の方のご家族?)が衣装を着けて見て真似て踊っている姿がなんとも微笑ましい。さっきの口内鬼剣舞の公演の時に膳舞の時にマイお膳を持ってそこでも真似て踊って、最後には礼までしっかり合わせてやっていて本当素晴らしい。
一番庭ももう身体に入っているような動きで、きっとこのまま鬼剣舞を受け継いでいくんだろうなぁと思うとこれまた胸が熱くなります。

そういえば去年の大群舞で北藤根鬼剣舞を見ていた時に浴衣を着た小さい女の子達がしっかり反閇で一緒に踊っていたけれど、彼女達もまた踊っているのかな。

(つづく)

(前回記事)


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