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Har Mar Superstar / Roseville (2021) 感想

※2021/3/29追記
Har Mar Superstarが複数の女性から過去のセクハラ等の被害を訴えられました。本作を聴いた時の純粋な個人的感想としてこの記事は残しますが、その行いは決して許されるものではありません。

とにかく明るい

 デビュー当時の、半裸で煽りまくるオジサンというイメージが強すぎて未だにネタキャラ/飛び道具感が拭えない彼ですが、5年振り7作目のアルバムは極上のシティ・ポップ作です。もはや初期のイメージは足枷でしかないでしょう(以下、当時の写真ですので初心な方はご注意ください)。



 これですからねぇ。NSFW、お世辞にもなかなか人にHar Mar Superstar好きなんだよねとは言いにくい…。因みに最近のアーティスト写真はこんな感じです。漂うジゴロ感。安心して人に勧められます。遠いところに来たものです。まあそれでWiki見てみると出てくるのは半裸の写真なんですが。

じんわり変態

 元々は怪しいエレクトロ・ビートのごった煮R&B、ヒップホップをやっていた人ですが、そうした作品群が船頭多くして何とやら、に陥りがちなのに比べ、クラシックなソウルに振れた「Bye Bye 17」(2013)や本作のように、特定の方向性/ジャンルに振り切った時にこそ驚くほどの実力を発揮します。一曲目からゴキゲンでブリージンな風が吹いています。前作から今作までの間に婚約したそうで、激前向きな歌詞もいいですね。

自殺しようとしたことはないけど/そのギリギリまでいったことは認めるよ/その時突然君が天使の羽と光をまとってやって来た

 と言いつつ、個人的にはスイートなバラードと同郷のPrince愛溢れる密室ファンクが融合した3."Another Century"や5."Sleight Of Hand"といった、洒脱なシティ・ポップに収め切ることができない変態性が滲み出ている曲が好きです。ブリーフおじさん魂百までって感じで。
 後者の終盤にダンサンブルなジャムっぽくなるところなんて、あと5分続いてもいいくらい気持ちいいんですが、驚くほどアッサリ終わるのがまた堪りません。モテるオトコは引き際を心得ています。

 本作は自主制作でフィジカルを作るにも予算がなくて大変だったそうですが(今月デジタルで先行リリース)、5月のリリースを前に予約等でほとんど回収できたとインタビューで誇らしげに語っていたのが印象的でした。例の「Bye Bye 17」を機に、パフォーマーとしてではなく皆んながもっと音楽の方に興味を抱いてくれたとも。
 「君は1人じゃない」というタイトルの曲で締め括られる本作。昨年の前半はパンデミックにより茫然自失で何もできなかったそうですが、復活したHar Mar Superstarの前途は明るそうです。

点数

8.1

 ツアーができなくなり、最近は日銭を稼ぐ為に郵便配達の仕事をしているそうです。Har Mar Superstarから郵便を受け取ってみたいような、みたくないような。

(参考記事)

https://m.startribune.com/the-new-har-mar-superstar-sober-engaged-and-employed-by-the-postal-service/600030245/

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