【読書】24歳、ラブレターを書きたくなりました。
「手紙は会って話す以上に、書いた人の中身がばれるものである。」
三島由紀夫先生は、著書『三島由紀夫レター教室』にて、
気になる彼にどんなLINEを送ろう…
苦手なお客さんにどんなメールを返そう…
なんてことに日々頭を悩ませている教室生の私にそう教えてくれた。
「手紙を書くときには、相手は全くこちらに関心がない、という前提で書きはじめなければいけません。これがいちばん大切なところです。」
23歳から24歳になったこの1年、
会えない相手とのコミュニケーションが多くなった。
在宅勤務中に自宅から送るビジネスメール、
重要な提案をするWeb商談、
会話を交わすように頻繁に飛び交うLINE、
離れて暮らす家族との電話。
文字があふれる社会になればなるほど、人はその処理に追われ
「物事は端的に、結論ファースト」という考えが必然的に浸透してきている気がする。
想いがきちんと届いているのかもよく分からなくなるほど、
日常に溢れている非対面のコミュニケーションに、少し疲れてしまっている自分がいた。
この本を読んで、登場人物の”手紙の書き出し”に隠れている
読み手への”愛情”や”いじわる心””下心”が、
たまらなく愛おしかった。
みんなすごく人間らしくてまどろっこしくて、
なんだかうれしくなった。
登場人物たちは決まって手紙の書き出しには、
「今どこにいて、どんな景色を見ながらあなたを想ってこの手紙を書いています。」と始める。
読み手に対して、私の日常の中であなたへの想いが溢れるのは、
こんな景色を見ている時なのですよ、と伝える一文が添えられる。
これほどまでに相手への愛を語る最高の喋り出しは他にないのでは、とさえ感動してしまった私。
私の日常には、こんなに相手を想って言葉を選ぶ時間は存在しているのだろうか…
どんな便せんにどんな切手を貼って、どんな字を書いてどんな長さで、
1つの想いを伝えようとする人なのか。
確かに先生の仰る通り、これまで見えてなかったあの人の人となりが見えてきそうですね。
24歳、少し照れくさいですが、離れて会えないあの人たちに
”ラブレター”を書いてみようと思います。
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