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「ジャスト6.5 闘いの証」満足度3.8!

あらすじ

街にあふれる薬物依存者の多くはホームレス。薬物撲滅警察特別チームの一員であるサマドは、薬物売人の頂点に立つ大物ナセル・ハグザドを追っている。あの手この手の操作を繰り返したあげく、ついにナセルを彼のペントハウスに追い詰め刑務所に収監する。しかしそれは、ほんの始まりに過ぎなかった・・・。(公式ホームページ参照)


まず冒頭の逃走シーン。
かなり走る!逃走シーンって長尺で必死に走ることによってかなり臨場感というかリアルさが際立つんだなぁと意外な発見をした。

そして、イランという知らない文化圏の人々の捲し立てる喋りがよりものすごい迫力で緊張感がある!

前半は非人道的だけれど、犯人逮捕に一心不乱な刑事の奮闘劇で、その危うさ、綱渡り的な捜査にハラハラしながら物語に引き込まれる。

そしてなんと言ってもイランからの密輸で日本に薬物が入ってきているのが衝撃的であった。
日本では薬物が高価に買取されるため、日本に薬物を密輸するジャポネと名乗る売人がこの物語でいるのにも日本の薬物とイランの関わりが伺える。

そして麻薬王逮捕後徐々に物語の視点は刑事から麻薬王へと移る。

最初は刑事を買収しようとしたり、留置所で他の囚人に偉そうにしたりと嫌な人物であるが、留置所にいた子供を気にかけたり、子供の殺人容疑に涙して無実を訴えたり、家族にいい暮らしをしてほしくて麻薬のビジネスをしたりと決して100%の悪人でない人の刑の執行までを描く。刑を決める人の早さにはびっくりする。前半とは全く違うテンポとストーリーテリングで物語が進んでいく。

この映画の中で印象的なのは人の密度。
ほぼホームレスで形成されたシャブ中だらけの集落。逮捕されたあと、裸にされてギュウギュウの状態で入所させられたり、留置所も人が座れず立ったまま押し込められる。留置所からの解放シーンもまた大勢の人がひしめき合うなど、人の密度で迫力あるシーンが多用されている。

前半はハラハラさせられ、後半は儚いのに、淡々としている物語の緩急が魅力的な作品だと思った。文句なく面白い!

あと、宇多丸さんのラジオ曰く、邦題は「ジャスト6.5」だが原題の翻訳は「ただ650万になっただけ」的なものらしく、イランの薬物使用者の数を表しているらしい。

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