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こつめ怪談

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怪談話を書いた記事まとめ
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#怪談

犬は不可です猫は可です①

 これは私の知り合いのTさんが教えてくれた話です。  数年ぶりに地元に帰って来たTさんは某県のとある繁華街に近い土地でひとり暮らしのため物件を探していました。  「どこか安くて手頃なアパートでもないだろうか」  不動産屋を巡っていると、立地も家賃も希望通りのアパートが見つかりました。  そのアパートは少し妙な造りで、一階にあたる部分が大家さんの息子さん夫婦が使うガレージ。本来ならば二階となる場所が【101号室】息子さん夫婦の住まい。そしてその上の三階が【201号室】。これか

犬は不可です猫は可です②

前回のお話はこちら  異変が始まったのはTさんが入居してから間もなくのことでした。  リビングでひとりゲームをしていると紙袋の中に適当にまとめたスーパーの袋が弾けて飛び出す。寝室のテーブルに綺麗に積み上げたDVDが突然音を立て崩れる。水切りかごに入れた食器がガチャガチャガチャガチャと音を鳴らす。  まるで映画や怪談話によくあるポルターガイストのようなものが頻発したのです。  「幽霊が出る部屋だったんだな」  Tさんはその数々の現象に始めはびっくりしたものの、音を立てたり

犬は不可です猫は可です③

前回のお話はこちら  Tさんが変わった物件に住み始めて2〜3ヶ月ほど経過し季節は夏。ポルターガイスト現象は相変わらずでしたが何も気に留めず、彼はその日の夜も素足にハーフパンツという涼しげな部屋着でTVを観ていました。  トイレに行きたくなり立ち上がりリビングのドアを開けようとしたそのときTさんの足を異様な触感がすり抜けていったのです。  柔らかい毛がぬるりと滑る、けれど彼の足にそれをぐいぐいと押し付け甘えているかのような感覚。  まるで飼い主に気まぐれで足に擦り付く猫のよ

それはカラスです…①

 私の知り合いで不思議な体験ばかりするTさん。  これはそのTさんの彼女、Mさんが体験したお話です。  前回ちょっと変わった物件に住んでいるとこちらの記事でも紹介したTさんですが  その後も気にせず住み続け2年になるかというとき、その頃付き合って間もなかった彼女のMさんが家に転がり込む形でTさんと同棲を始めたそうです。  彼曰く付き合ってまだ日も浅かったこともあり、自分の家にあげること自体が今回の同棲で初めてだとか。なんでも彼女は極度の怖がりらしく、それは心霊系の映像・映

それはカラスです…②

前回のお話はこちら  その日は日曜日だったそうです。  たまたま休日が被った二人は、どこに出掛けるでもなく家でゆっくりと休みを満喫していました。  お昼過ぎになりTさんはリビングでTVを、Mさんはというと多少の警戒心はあったものの隣の部屋にTさんがいるという安心感からか、寝室で横になりうたた寝をしていたそうです。  Mさんがウトウトとしているときでした。突然 コンコンコンコンコンコンコンコン  部屋の一周するかのように、何かが壁を叩く音が鳴り響きました。  驚いて跳ね起