犬は不可です猫は可です①
これは私の知り合いのTさんが教えてくれた話です。
数年ぶりに地元に帰って来たTさんは某県のとある繁華街に近い土地でひとり暮らしのため物件を探していました。
「どこか安くて手頃なアパートでもないだろうか」
不動産屋を巡っていると、立地も家賃も希望通りのアパートが見つかりました。
そのアパートは少し妙な造りで、一階にあたる部分が大家さんの息子さん夫婦が使うガレージ。本来ならば二階となる場所が【101号室】息子さん夫婦の住まい。そしてその上の三階が【201号室】。これからTさんが住むことになる部屋でした。
外観はアパートというよりも一軒家のようで、そしてTさんの部屋にも大きめなキッチン、しっかりと分けられたトイレ・脱衣所・風呂場があることから、まるで二世帯住宅を想定して建てられたような造りでした。
しかし戸建てで並ぶように建てられたアパートや賃貸契約の一軒家なども世間にはたくさんありますからTさんは気にしなかったそうです。
ただ一つ気になることがありました。
入居条件の
ペット: 犬不可/猫可
の一文。
賃貸は犬はOKだが猫は壁紙を引っ掻いて破いてしまうこともあるためNGとなることも多い。そのため猫も可の物件なら、元々OKの出しやすい犬も当然可でその場合は【ペット可】だけで良いはず。仕事の都合で全国を転々としてきたTさんも真逆の【猫可/犬不可】は聞いたことがない。
これにはTさんも不動産会社の担当に聞き返したそうです。
しかし担当者は理由を話すでもなく
「犬は不可で猫は可なんです」
と同じ答えを返すだけ。
この時ほんの少し違和感を覚えたTさんでしたが、そもそもペットを飼う予定もなかったため結局入居することに決めたそうです。
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※本作品は実話を元にして構成されています。
本作品に登場する人物・地域等は一部フェイクを入れていますが詮索するような質問は受け応え出来ません。
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