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脳の認知プロセスからUXUIをデザインする

認知科学博士であるジョン・ウェイレン氏著書「脳のしくみとユーザー体験」の内容とその周辺知識 / 他書籍と共に考察を書き記します。

『脳のしくみとユーザー体験』は、認知科学がデザインとどう関わっているのかを掘り下げて、脳の働きがどのように私たちの日常の体験と直結しているか、そしてその知識をどのようにして効果的なデザインに応用できるかを中心に説明している書籍です。

体験のシックス・マインド

ユーザー体験における「シックス・マインド(六つの脳)」の概念(以下図)は、視野と関心、空間認識、言語、記憶、意思決定、感情の6個の領域で構成されており、ユーザーがUIをどのように認知されるかを表しています。

ざっくりシックスマインドの各項目について要約。

視野と関心:ユーザーがどのように情報に注意を払い、何に注目するかをこのセクションでは考察している。重要な要素をどのように配置して、ユーザーの視線を引き付け続けるか。例えば、広告やアプリのデザインでは、人々が一番見るであろう場所に大切な情報を置くことが重要。

空間認識:ユーザーがサイト内のどこにいて、どう移動すれば良いのかを理解すること。ナビゲーション設計、レイアウト、ユーザーインターフェースの空間的な配置に、この原理が使われる。

言語: 言葉はコミュニケーションにとって超重要です。アプリやウェブサイトで使われる言葉は、簡単でわかりやすいものでなければなりません。これにより、ユーザーが混乱せずに情報を理解できます。

記憶:私たちがどう情報を覚えているかについてのセクションです。例えば、アプリを使っている時に、「このボタンを押すと何が起こるんだっけ?」とならないように、直感的で使いやすいデザインが必要です。

意思決定:これは、私たちがどのように決断を下すかについてです。良いデザインは、ユーザーが迷わずに、必要な選択を簡単にできるように助けます。

感情:感情は私たちが物事にどう感じるか、例えばアプリを使って楽しいと感じるかどうか、についてです。デザインはユーザーがポジティブな感情を持つように作られるべきです。


読んでみた感想なんですが、ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」の中で述べられているシステム1に該当する部分(無意識に人間が判断する直感に対しての反応)に関連しているなという印象でした。
それに関して詳しくはこちらを。

人間の脳には、感覚器官を通じて得た情報を一瞬で近くできる能力があり、この自動的なプロセスは眼球の裏にあるニューロンから始まって、脳梁→後頭葉→側頭葉→頭頂葉に届きます。
Webプロダクトでは、ユーザーの認知バイアス(この画面ではこの情報があるはず等)を考慮した情報設計が重要になってきます。

ある目的を持ってページを訪れたユーザーは、その目的達成のために操作対象物を探す。裏を返せば、目的とは関係ない要素はほとんど視界には入っていません。(厳密には入っているが上述したシステム1での無意識状態では脳にインプットされていない)


例: UIデザインの情報を見つけようとしているモードのイメージ

情報探索の理論モデル

この理論は、情報設計系の書籍で多く紹介されており、O'Reillyから発売されている「デザイニング・ウェブインターフェース」の 「02: ナビゲーションを理解する」の情報探索で、ウェールズ大学の教授であるDavid Ellis氏が提示した情報探索の理論モデルではこう述べられています。(26ページあたり)

開始:目的に見合った情報源を見つける。
連結:最初の情報源にある新たな手がかりを辿ったり、関連付けたりする。
閲覧:情報源が他にも見つかれば、そのコンテンツに目を通して目的との関連性を確認する
分別:それぞれの情報源がどれくらい役に立つかに応じて、取捨選択と評価を行う。
監視:目的の関連分野について、常に最新情報をチェックする。
抽出:選んだ情報源から、目的とする情報を体系的に入手する。

デザイニング・ウェブインターフェース「情報探索の理論的モデル」より

Webプロダクトは、ユーザーの課題を解決するためのツールです。
課題を持ってアクセスしたユーザーは、課題を解決するための「何か」を見つけたいはずです。それを画面のどこに配置するのか、どの程度のレベル感で見せるのか、情報設計する上での大きな要素になります。

ここまでは、ある目的を持ってページを訪れたユーザーに絞って述べましたが、情報を探索するモードには様々あります。

既知項目検索モード

何が必要かを分かっていて、それを言葉で表現でき、時にはどこから探し始めれば良いかも知っているモード。あらかじめキーワードが分かっているため検索機能が用いられやすい。ナビゲーションによって目的の項目を探す場合もある。

調査探索モード

ニーズは何となく分かるのに、それを言語化できないパターン。どう対処すればよいか分からない場合。このモードでは、見つけた答えが正しいかどうかは判断できても、どこまでその問題について調べればよいのか分からない。

無指向性閲覧モード

ザッピングするような無目的なモード。具体的な何かを求めてはいないが、ある情報との出会いが起こる可能性もある。好奇心による場合が多いそう。

より良い体験のためのデザイナー

ユーザーのインサイトを理解し情報設計を行い、目的を持って訪れたユーザーに直感的に情報を提供する、そしてシステム2で課題を解決できるようなデータを探し出します。(例えばサマリーから詳細画面、一覧を絞り込んだり並べ替えを行なう等)
なぜそのページが必要なのか、そのページでの目的はなんなのか、デザイナー(もしくは情報設計者)が理解し介在して、より良い体験の設計が必要です。
その為にユーザーリサーチが必要で、顧客のメンタルモデルを知る事が情報設計のスタート地点なのではと思いました。

他にも深掘りして解説されているので、よかったら読んでみてください。

まとめ

情報設計やUIとは、プロダクトのコンセプトや戦略・信念が最終的なアウトプットされたものです。
ユーザーは「使いやすい!」と思って利用していませんし、コンセプトまで意識して使っているユーザーは稀です。
ただ、ユーザーの課題や欲望を理解して行なうデザインは、必ずユーザーの便益に資するものだと信じています。そう簡単に実現できるものではありませんが、デザイナーの役割はそれなのかなと思っています。


Snapchatの凋落

(凋落とは言い過ぎかもしれませんが)
ここでSnapchatのUIの改修の黒歴史について少し書きたいと思います。
この話も多くの書籍で歴史話として登場していましたが、snapchatは2016年10月にUIを一新させました。「ディスカバー」というコンテンツを場所を変更した為に、既存ユーザーからの反発からMAUがかなり落ち込んだという話です。

実際のUIの遍歴は調べていただければと思いますが、慣れ親しんだUIからアナウンスもなく唐突に一気に変えたために混乱したユーザーが離れていってしまったという事柄がありました。

アプリ側の狙いや戦略があったのかもしれませんが、結果としてユーザーを失ってしまったので裏目にでたのかなと。
このあたりの話は今後書こうと思っている記事で紹介できたらと思います。

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