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2020年公開、心に残った映画たち

2020年に劇場公開された映画は例年よりも少なめ。
そんな中でも劇場に足を運んで、新しい映画たちを観られたことが本当に幸せだ。

本当は2020年中に\今年のベスト映画/的な感じで紹介したかったんだけど、何せ怠惰なもので…🙃

劇場公開された映画の中から、心が震えた作品を今更ながら紹介しちゃう。

his

春休みに江の島を訪れた男子高校生・井川迅と、湘南で高校に通う日比野渚。二人の間に芽生えた友情は、やがて愛へと発展し、お互いの気持ちを確かめ合っていく。しかし、迅の大学卒業を控えた頃、渚は「一緒にいても将来が見えない」と突如別れを告げる。

出会いから13年後、迅は周囲にゲイだと知られることを恐れ、ひっそりと一人で田舎暮らしを送っていた。そこに、6歳の娘・空を連れた渚が突然現れる。「しばらくの間、居候させて欲しい」と言う渚に戸惑いを隠せない迅だったが、いつしか空も懐き、周囲の人々も三人を受け入れていく。そんな中、渚は妻・玲奈との間で離婚と親権の協議をしていることを迅に打ち明ける。ある日、玲奈が空を東京に連れて戻してしまう。落ち込む渚に対して、迅は「渚と空ちゃんと三人で一緒に暮らしたい」と気持ちを伝える。しかし、離婚調停が進んでいく中で、迅たちは、玲奈の弁護士や裁判官から心ない言葉を浴びせられ、自分たちを取り巻く環境に改めて向き合うことになっていく――。(公式サイトより)

ちょうど1年ほど前にも観てきたよnoteを書いたのだけれど今でもhisの登場人物たちが心の中に存在し続けているような、そんな強い作品。
今泉監督が描く人たちはどこか生きづらくて、はたから見たら「大丈夫かなあ」って思わず心配したくなるような人たちばかり。言えない気持ちを秘めていたり、言わなくていいこと言っちゃったり。
だからこそなのか、自分もそのままそこにいていいんだよと肯定される気持ちになる作品。

最近知ったのだが、これドラマの続編らしい。
続編と言ってもキャストは違う。そっか、「13年後」だもんね。

ラストレター

裕里(松たか子)の姉の未咲が、亡くなった。裕里は葬儀の場で、未咲の面影を残す娘の鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の案内と、未咲が鮎美に残した手紙の存在を告げられる。未咲の死を知らせるために行った同窓会で、学校のヒロインだった姉と勘違いされてしまう裕里。そしてその場で、初恋の相手・鏡史郎(福山雅治)と再会することに。
勘違いから始まった、裕里と鏡史郎の不思議な文通。裕里は、未咲のふりをして、手紙を書き続ける。その内のひとつの手紙が鮎美に届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎(回想・神木隆之介)と未咲(回想・広瀬すず)、そして裕里(回想・森七菜)の学生時代の淡い初恋の思い出を辿りだす。
ひょんなことから彼らを繋いだ手紙は、未咲の死の真相、そして過去と現在、心に蓋をしてきたそれぞれの初恋の想いを、時を超えて動かしていく―――(公式サイトより)

第一声は「何この透明感...!!!」私が岩井俊二の世界にうっかり足を踏み入れてしまったきっかけとなった作品。沼です。
とにかく森七菜ちゃん演じるユウリが可愛い。美少女とか、そういう可愛いではなくて(もちろん美少女だけど)どこまでも透き通っていて、笑いかけられたら一瞬で恋に落ちてしまうような、そんなチャーミングさがある。
恋あたで森七菜ちゃんちょっと気になった人は絶対に観たほうが良い。イチコロ。
他にも、回想シーンは神木隆之介さん、そして広瀬すずさんが登場している。青くて、瑞々しくて、鼻の奥がツンとする感覚。

本当に画が美しすぎる作品。イチ押し。

タイトル、拒絶

それぞれ事情を抱えながらも力強く生きるセックスワーカーの女たちを描いた群像劇。劇団「□字ック」主宰の山田佳奈が、2013年初演の同名舞台を自らのメガホンで映画化した。雑居ビルにあるデリヘルの事務所で、華美な化粧と香水の匂いをさせながらしゃべる女たち。デリヘル嬢たちの世話係をするカノウは、様々な文句を突きつけてくる彼女たちへの対応に右往左往している。やがて、店で一番人気のマヒルが仕事を終えて戻って来る。何があっても楽しそうに笑う彼女がいると、部屋の空気は一変する。ある日、モデルのような体型の若い女が入店したことをきっかけに、店内での人間関係やそれぞれの人生背景が崩れはじめる。2019年・第32回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門に出品され、主演の伊藤沙莉が東京ジェムストーン賞を受賞した。(映画ドットコムより)

これはまだ劇場公開中の作品。
強くて弱くて危うい女の子たちが鮮やかに描かれている。
なんで"そんなところで"笑っているの?って問いかけたくなるのもつかの間、マヒルは自分かもしれない、カノウは自分かもしれないって彼女たちの痛さを他人事とは思えなくなってしまった。
かっこ悪くて、ヒリヒリして、美しさなんてくそくらえ!!なスタンスにぐっと心をつかまれた。
前述の『ラストレター』とは真逆の世界観。

ミッドナイトスワン

草なぎ剛演じるトランスジェンダーの主人公と親の愛情を知らない少女の擬似親子的な愛の姿を描いた、「下衆の愛」の内田英治監督オリジナル脚本によるドラマ。故郷を離れ、新宿のニューハーフショークラブのステージに立つ、トランスジェンダーの凪沙。ある日、凪沙は養育費目当てで、少女・一果を預かることになる。常に社会の片隅に追いやられてきた凪沙、実の親の育児放棄によって孤独の中で生きてきた一果。そんな2人にかつてなかった感情が芽生え始める。草なぎが主人公・凪沙役を、オーディションで抜擢された新人の服部樹咲が一果役を演じるほか、水川あさみ、真飛聖、田口トモロヲらが脇を固める。(映画ドットコムより)

これもまだ劇場公開中。ロングランというのだろうか。
これはダメだ...。観終わった瞬間そう感じた。きっと生涯忘れられない。
一果と凪沙、一果とりん、何も持っていなかった(ように見える)一果に与えられる月と太陽のようなふたり。
サンテグジュペリの星の王子さまの有名な一節を思い出した。

だけど、もし君がぼくと絆を結んだら、ぼくたちはお互いを必要とすることになる。
君は、ぼくにとって、世界でたった一人の友だちになるんだ。
そして、ぼくは、君にとって、世界でたった一人の友だちになる…

お互いがお互いを必要としていて、強いようで弱くて弱いようで強くて。どうしても幸せになって欲しいって私たちでさえ思わざるを得ない登場人物たち。きっと一果、凪沙、りんは双方に強く強くそう思っているんだって、想像しただけで胸が締め付けられる。

いたたまれない情景もあるけれど、バレエのシーンが限りなく美しい。
誰に観てほしいかなあ。
愛する強さと弱さを知りたい人、音楽が好きな人には観てほしいな。

小説版も読みたい!!

おまけ ー インセプション

多くの人が知っている映画だと思うんだけど、TENET公開記念でIMAXバージョンが劇場公開されていたので観てきた。

鬼才クリストファー・ノーランが国際色豊かなキャストを率いて、世界各地、さらに夢の中へと観る者を誘うSFアクション大作。ドム・コブ(レオナルド・ディカプリオ)は人の心が無防備な状態、つまり夢を見ている間に潜在意識から貴重な秘密を盗み出すスペシャリスト。その特異な才能は産業スパイが暗躍する世界で重宝される一方、そのために彼は最愛のものを奪われ、国際指名手配されてしまう。そんな彼に失った人生を取り戻すチャンスが。そのためには「インセプション」と呼ばれる、アイデアを盗むのとは逆に相手の心に“植え付ける”、およそ不可能とされる任務を成功させる必要があった。もしコブと仲間たちが成し遂げたなら、それは完全犯罪を意味する。だがいかに綿密に計画し、様々な特殊能力があったとしても、行動がすべて相手に読まれていては太刀打ちできない。そんな強敵が現れる予感を、コブだけが感じ取っていた。(公式サイトより)

夢か現実か、それってそんなに大切なことなのかな。
たとえ一生目覚められないとしても、夢の中で幸せならば、それがその人にとっての現実なんじゃないかって。現実に取り残された周囲はしんどいけれど。
現実ってなんだろう、想うってどういうことだろうを考えた作品。
純粋に面白い。


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