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いつも優しかったあなたへ¦1人のために

1人のためにシリーズ、第2弾。
今回はマルタで出会ったあなたへ。

マルタの寮に到着した時、不安とワクワクでいっぱいだった私をあなたが優しく出迎えてくれた。

たどたどしい英語で勇気をだしてWiFiのパスワードを聞いた時、
「そう言えば全然案内していなかったね」
と、キッチンとバスルーム、近くのスーパーについて教えてくれた。

それでもキッチンの使い方が分からず、初日はサンドウィッチを買って、冷たいまま部屋で食べたけど。

私がリビングにいると、いつも話しかけてくれた。
「日本では何をしているの?」
「今日はどこへ行った?」
「友達はできた?」
「Youの名前、難しくて覚えられないよ」(ジャニーさんみたいになっちゃった)

あなたはたぶん、私のお父さんよりも少し若いぐらいで、一緒にどこかに出かけたりすることはなかったけれど、
一緒にリビングで勉強したり、
お話したり、
そういう小さな日常が私にとってはすごく嬉しいものだった。

「紅茶が好きなんだ、こつも好きに飲んでいいからね」
と、私が勉強をしていると紅茶とスナックを置いておいてくれた。

お別れの時には、
「気をつけて、日本に着いたらマスクをするんだよ」
「その前に旅だね、良い旅を、気をつけて、良い人生を」
「Enjoy, Nice to meet you.」
と。

バタバタしちゃって
「Nice to meet you too, thank you.」
と、握手を交わすことしかできなかった。

パリのホテルに着いて、すごく後悔している。
もっと伝えたいこと、伝えられたらよかったと。
InstagramもFacebookも交換していないから、たぶんもう二度と会うことはないのだろう。

ひとりぼっちの旅が始まって、それを実感して、ひとりでポロポロ泣いてしまった。
書いている今も泣いている。

優しくしてくれて、ありがとう。
たったの3週間の旅の中で、出会ってくれてありがとう。

こつより

―――

きっと、この文章をあなたが読むことはないでしょう。
noteなんて知らないと思うし、日本語だし。

だけど、3週間しか一緒にいなかったあなたのことを私は忘れることはないし、忘れたくなかったから書いてみました。

半年間も留学しているあなたはきっと、たった3週間しか一緒にいなかった私のことを、いつか忘れてしまうのだと思う。

もしも私がトルコへ行って、何かの偶然で出会ったら、あなたが覚えていなくても、私が声をかけるよ。

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