TOP__note_後編

「組織そのものがプロダクトだと思ってます」|cotree × emol のプロダクト対談:後編

cotree編集部のたにぐちです。

感情を記録してAIロボと会話するアプリ「emol」を中心にサービスを展開するemol株式会社のCEOであるちかみさんと弊社COOのひらやまとの対談の後編です。

ここまでお互いのサービスへの素朴な疑問をぶつけ合い理解を深めた二人そこから話題は「プロダクトとはなにか?」というより大きなテーマに移ります。

画像1

画像2

プロダクトってなに?

画像3

——ここまでのお二人の話を聞いていて、「プロダクトとはなにか?」という疑問が浮かびました。例えばcotreeだと、「マッチング診断」のような一つの機能として具体的に示せるプロダクトもあれば、サービス全体の設計のような「これです」と指し示しにくいプロダクトもある。そういった観点から”そもそもプロダクトとはなんなのか”についてお二人にお聞きしたいです。

ひらやま:「何をプロダクトだと言いたいのか」かもしれないですけどね。

ちかみ:難しい質問ですね。

ひらやま:まあcotreeなら、基本的にプロダクト=WEBサービスでいいんだと思います。でも、それとは別に思想的な話もいくつかあって。

例えば、cotreeはこれまでの運営の中で、たくさんの「良いもの」が見つかったり、生まれてきたと個人的には思ってるんです。でも、その中でまだまだ表現しきれていない部分がたくさんある。

そうした時に「良いこと」は、新しいメンバーが入ったらそれぞれの「できること」によって表現されていく。デザイナーが入ったら、ぐいぐいデザインがきれいになっていくとか、グロースハッカーが入ったら、どんどん伸びていくみたいな。

そう意味では、cotreeメンバーの一人ひとり、そして組織そのものもcotreeというプロダクトだと思ってます。

画像4

まあ、それを言い出すとかなり面倒くさいので、普段そこまで言わないですけど(笑)。

あとは、プロダクト至上主義にもなりたくないですね。「プロダクトを良くするために寝ないで働くんだ!」みたいなことは、やっぱり体感的には「違う」と思ってしまうので。

だからまずは、cotreeメンバーがプロダクトに関わることで、成長したり生きがいを感じてくれると一番嬉しい。その事と、届けられる人を増やしたり、サービス体験の質が上げたりすることは「どっちもやるべきじゃね」と思ってます。

ちかみ:確かにオンラインカウンセリングサービスで「何がプロダクトなの?」と言われたら、サービスにまつわる一連の流れということになりますよね。emolだと「アプリがあります」っていう感じなのでわかりやすいですけど。

ひらやま:そうした観点から広く捉えると、SNSで「cotree」って言葉を見かけるところからプロダクトの体験は始まってるんじゃないか、と個人的には思ったりもします。

最初に「良さそうなサービスだ」と思うか「超胡散臭いな」と思うかで体験の質が全く変わるので、そういうブランディングまで含めてプロダクトの価値なんじゃないかと思います。

「タイプ診断」の裏話

画像9

——こうした話を踏まえた上で、cotreeの「マッチング診断」はちかみさんにとってどのようなサービス体験でしたか?

ちかみ:「タイプ診断」が面白かったですね。マッチングをするのはよくわかるんですけど、「あ、性格診断からやるんだ」と。

画像5

でも、確かに最初にそういう診断があると、カウンセラー側にとっても、ユーザー側にとっても「はきはきしゃべるタイプ」なのか「自分に自信のないタイプ」なのかとか、どのような態度でカウンセリングに臨めば良いかがなんとなくでもわかるから話しやすいよなと思って。

あと、なんとなくですけど、カウンセリングって一回行ってやめちゃう人が多いんだろうなと思っていて。周囲でも「全然合わなくて色々探してる」って話も聞きますし。

そういう意味で最初にマッチングしてくれると、やっぱりユーザー的にも楽なのかなと思います。だって、自分に会うカウンセラーを探すのって普通に大変じゃないですか。そこでくじけちゃう人もいっぱいいると思うんですよ。

そうした時に、「マッチング診断」や「タイプ診断」があると、ユーザーにとっても楽だったり、安心できるし、カウンセラーにとってもカウンセリングの心構えできるので、お互いに良さそうだなと思いました。

ひらやま:実はタイプ診断がついたのは最近なんですよ。

ちかみ:そうなんですか。

——「そもそも、なぜcotreeにはマッチング診断があるのか」「なぜ、タイプ診断を付け加えたのか」伺っても良いですか。

ひらやま:マッチング診断があるのは、ちかみさんの言っていた通りユーザーが選びやすくするためですね。

cotreeに登録してくださっているカウンセラーさんって80人以上いるんですけど、「好きな人選んでください」って言われてもどう考えても選べないですよね。仮に選べたとしてもかなり時間がかかってしまうと思いますし。

仮に知恵と時間が無限にあって、全カウンセラーのプロフィール見られればそれが一番正確かもしれないですけど、もうちょっと早く、かつ自分で選ぶよりもまあまあ正確に選べる、という状況を作りたくてマッチング診断は存在してます。

その上で、すごく当たり前なんですけど、マッチングのロジックが改善していけるような仕組みも同時に作らなきゃいけない。

そこで、もちろんユーザーさんが選びやすくするためもありますが、どんな人とどんな人がマッチングをしてどういう体験になったかをきちんと計測するためにもタイプ診断をつけたって感じです。

——マッチング診断だけではその計測はできなかった?

ひらやま:年齢や性別は一応はわかるんですけど、「どういうタイプか」を付け加えることで、もうちょっと計測しやすくした、というイメージですね。

あと、cotreeを3〜4年運用してきて、「このタイプの人にはこういう人が良いんじゃないか」というノウハウが自分たちの中にたまってきたから作れたという部分もあります。

初めから「タイプ診断を作って」と言われても、本当に正しいかどうかもわからないものをユーザーにはぶつけられないので。

どこを見るのか、なにを大事にするのか

画像6

——個人的に「アルゴリズムで最適なカウンセラーが決まってしまうこと」への抵抗感が少しあるんですが、実際にそういった反応はなかったんでしょうか。

ひらやま:多分、始めた時はなくはなかったんだと思います。ただ、なんだろ。言葉が難しいんですが「どこを見ているか」だと思っていて。

例えば、カウンセリングの倫理を守るためのサービスなのか、ユーザーに良い体験を届けるためのサービスなのか、カウンセリングの倫理を守りながら、ユーザーに良い体験を届けるためのサービスなのか、で話が変わると思っていて。

カウンセリングの倫理を守るだけなら「カウンセラーさんがNOって言うならやりません。以上」で良いんだけど、それだけだと変化が起きないと思うし。

あるいは、対面が一番いいのはわかってるけど、「じゃあ、ずっとリアルなカウンセリングルームでやるのか?」とも思ってしまう。

もちろん、それでもいいんです。でも、地方にはあまりカウンセリングルームがないので、物理的にカウンセリングを受けられない人もいる。

だから、そういう諸々の「それでいんだっけ?」を踏まえながら、最終的には「ユーザーさんにどういう体験を提供するのか」を軸にしているんだと思います。やっぱり、倫理を守ることはゴールにはしていない。

ただ、一方でチャレンジングなことは、僕たちの「このようなものが良さそうだ」という意志と、カウンセラーさん側の倫理を共有しつつ、きちんと議論して進めるようにしています。

そうしてお互い、良い、悪いを話し合えてるからマッチング診断のような試みはできているのかなと個人的には思います。カウンセラーさんは意思の強い方も多いので。

画像7

ちかみ:わかります。私も最近お話しにいく時は、その方がどのような観点を持っているのかを気にするようにしています。過去に「AIでそんなの」とか「え、誰が使うのこんなの」みたいな反応をされたこともやっぱりあったので……。

ひらやま:ですよね。

ちかみ:でも、だからといってずっとアナログのやり方でやっていくのか、そこで挑戦しないと良くならないんじゃないかと思うんですよね。

実際、日本って心の調子を崩して病院に行くのに抵抗感のある人が多いじゃないですか。その状態のままで良いとは思えなくて。

やっぱり、ちょっとでも手軽にできる方が良いと思う。

確かに最初は「信憑性はあるのか」とかいろいろ不安があるのもわかるんですけどね。でも、そういうところも一つずつやっていけた方がいいんじゃないかと思います。

ひらやま:そうですね。あと、この話で難しいのは「オンラインの方が良い」「アプリの方が良い」と必ずしも言い切れないことだと思っていて。メッセージもチャットもいいけど、話してわかることも沢山あるし、対面は対面でやっぱりいい。

ただ「対面カウンセリングがいくつかの理由でできないんだけど、使いたい気持ちはずっとある」みたいなニーズに、適切な形で答えることは大切なことだと思うんです。

そういった意味で、オンラインでのサービスは選択肢を増やす意味合いが大きいんじゃないかと思います。

なので、cotreeが絶対に良いかと言われれば、全くそんなことはない。リアルなカウンセリングルーム行った方がいい人もいるし、病院行った方がいい人も間違いなくいる。

だったらむしろ、僕たちがユーザーの「何を選べば良いか」の期待をきちんと受けきった方がいいんじゃないかなと思っています。

そこには「cotreeだと難しいのでごめんなさい」と言う勇気も必要だし、emolだとどうしようもないから他に紹介するってこともあった方がいいかもしれない。

だから、うん。やっぱり、自分たちが絶対に良いとは別に思ってないですね。

立ち止まる時間を持つために

画像8

——お二人の課題感は似ているように思うのですが、なぜその方法としてAIやオンラインカウンセリングといった違いが生まれたのでしょうか。

ひらやま:違いね。

——例えば、なぜ、人と人とをつなげるサービスと、人とAIとをつなげるサービスという違いが生まれたのか。

ちかみ私はAIっていうところにかなりこだわりがありますね。

ひらやま:そうなんだ。

ちかみ:これは私の性格も関係してると思うんですけど、人に何でも正直に話すって難しいことだと思ってるんですよ。「言われたことに素直に応えられないかも」「こんなこと言ったら嫌われちゃうかも」とか考えちゃって。

だったらいっそのことAIなら、人目を気にせず正直に話せるんじゃないかと思ったんですね。AIなら本当の自分の気持ちを伝えても、否定もしないし、気分も害さないし、不安にもならないので。

そういう「AIなら安心して人が話せるんじゃないか」っていうのは結構こだわっている部分で、あえてAIを選んだ大きな理由だと思います。

その意味ではcotreeと逆になっちゃうんですけど、人と人とをできるだけつなぎたくないなって思っているところもありますね。もちろん人相手だから話せることもあるので、使い分けが大事だとは思いますが。

あとは性格の違いもありますよね。当たり前ですけど「人と話したい!」っていうユーザーさんは、AIよりcotreeの方が合うと思いますし。

でも、「カウンセリングであっても人と話すのが怖い……」みたいなユーザーさんもいると思っていて。そうした時にemolが「とりあえずAIで練習してみよう」「まずはAIに話して、自分の考えをまとめてみよう」という選択肢になれればと。

私自身もAIが合う側の人間だったので、そういう意味でもAIを選びました。

ひらやま:なんかこう、課題へのソリューションって無限にあるので、他の似たサービスも含め、創業者の原体験によって全く違うモノになりますよね。

ちかみ:そうですね。

ひらやま:たぶんcotreeは人と人がつながることもなんですけど、自分について考えられる「立ち止まる時間を持てること」を大事にしてるんだと思います。

cotreeに来る人にもいろんなニーズがあると思うんですよね。「カウンセラーに話をしたい、以上」みたいな人もいれば、カウンセラーに相談することで自分の心理的な問題を解決したい人もいる。でも、いずれにせよ考えるための時間を求めてくるんだと思うんです。

だから、もしかしたらカウンセラーじゃなくてもよいかもしれない。カウンセラーっぽい雰囲気の友達でもいいかもしれないし、恋人でも、家族でもいいかもしれない。

ただ、自分のために時間を作ってあげやすい形が、カウンセリングだったりコーチングだったりするんじゃないかなと。

そういう意味でcotreeとemolのやろうとしていることは、やっぱりすごく近いんじゃないかなと思います。

————————————

「プロダクト」をテーマとしたこの対談は、「プロダクトってどうやって作るんだろう?」という疑問をきっかけに始まりました。そして、こうして記事を作っていく中で、その疑問に対しての自分なりの答えが出せたように思います。

プロダクトを作り、育てていく中では多くの選択が求められます。そして、その選択には正直なところ正解はない、それどころか何が正解かを自分たちで決めなければならないことさえあります。

そうした答えのない状況の中では失敗や泥臭いこともあるでしょう。しかし、そうした中でもプロダクトを作り続けられるのは、「やっぱり、こういうものがあった方が良いと思う」というブレない信念を持っているからのように感じました。

この対談はこれで終わりですが、プロダクトは続きます。疲れたり、悩んだりした時、自分に立ち止まる時間を与える機会として、ぜひcotreeやemolをご利用いただけると幸いです。


最後までお読みいただき、ありがとうございます🌱 オンラインカウンセリング: https://cotree.jp/ アセスメントコーチング: https://as.cotree.jp/