三日月
ザラザラとした
印画紙のような夜に
薄い僕の爪で
ぷすりと穴をあける
爪痕から
明日の昼間の明るさが
漏れ出して
今宵の空の三日月になる
印画紙の夜は
からくて苦い
だから楽なのに
だから乾いて楽なのに
僕の爪痕から
明るい光が漏れ出して
優しい光が漏れ出して
嫌になっちゃうな
希望と
期待と
善良が
ゆるゆると
溢れてく
やり切れないな
正義と
正当は
いつだって強気で
お節介で
僕の背中を
追い回す
銀の糸を買いに行こう
銀の針を買いに行こう
印画紙の夜の破れ目を
しっかりと縫い付けよう
善良に
溺れてしまう前に
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