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キラキラの表参道にて、我思ふ

LOWからHIGHへ、一気にギアをあげてみる。タンメン屋を出て向かった先は表参道。別に用事があったわけではない。華やかそう…ただそれだけだ。東京メトロの薄暗い階段を上がると、空気が違っていた。もちろん、空気なんてどこも同じだけれど、両側を固めるハイブランドショップ、本気みなぎるクリスマスディスプレイ、歩く人たちの高揚感も相まって、キラキラ成分があきらかに濃い(ITベンチャー企業が開発したキラキラ★アプリとかで計測できたりしそう。知らんけど)。

原宿方面に向かってぼんやり歩く。ゴージャスなショウウィンドウや紅葉が残るケヤキ並木道を撮影してみるも、iphoe12のレンズではまったくその良さは反映されない。ブランド店を冷やかす勇気もないし、トイレを借りようと入った表参道ヒルズの導線の悪い通路をうろうろしてみる。服やバッグは無理でも香水ぐらいなら買えるかもと、地下で開催されていたイベントに潜り込んでみたけれど、欲しい品は軒並みsoldout。ノベルティの鏡セットをもらい、すごすごと退散した。

これまた当たり前だけど、福岡に比べて体感1時間くらい日の入りが早い。夕陽に照らされた歩道橋の上から、行き交う人や車を眺める。イルミネーション点灯には、もうしばらくかかりそう。その途端、無性に切なく、いや、悲しくなった。

大都会で一人たたずみ、孤独感に苛まれる…のそれじゃない。なんというか、手を伸ばせば、足を伸ばせば、たくさんの刺激が得られる東京で、別段行きたいところも食べたいものも欲しいものもないってどうよ。己の感性の鈍りというか、好奇心の欠如っぷりに落胆した。もちろん、近年はすっかりアウトドアに傾倒し、東京で行きたいところねぇ…ガレージブランドの店と高尾山ぐらいかねぇ…であるにせよ、こんなんでいいのか、私。

ガイドブックを片手に渋谷へ新宿へディズニーへ街中を駆け回っていた20代、一眼レフを首から提げて美術館や洒落たカフェ巡りに精を出した30代、そして40代も終盤に差し掛かった今…。年を重ね、興味が移ろうことはむしろ当然のことであり、それは単なる老いではなく、老成(経験・年功を積んで達する円熟)に値することだと分かっていても、ああ、遠くに来てしまったんだなぁ…と胸がキュッとなった。

歩道橋の真ん中でそんなことを考えていたら、細い通路を行ったり来たりしながら、懸命にカメラのベストアングルを探す若い女性がいる。私がここにいては、絵面的にも邪魔だろう。結局、原宿駅方向には向かわず、表参道駅方面に引き返す。滞在時間1時間。凸凸凸つもりが凹凹凹…。表参道に申し訳ない気持ちもしたが、そんなことなんて瞬時に消えてなくなるほどのキラキラが街中にあふれていた。


<追伸>
キレイな写真が撮れず腹が立ったので、最新のiphone14pro買ってやったぜい


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