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北アルプスへの道⑦ 4日目・・槍ヶ岳〜上高地(やっと終わるよ!)

2021.9.19〜22
一の沢登山口〜常念岳〜大天井岳〜東鎌尾根〜槍ヶ岳〜上高地
Total 42km +3400

<これまでの記事はこちら>
◆ダイジェスト・・・ダイジェスト・・台風、地震ニモマケズ
◆1日目・・・ 1日目・・一の沢登山口〜常念岳+前常念岳(途中まで)
◆2日目・・・2日目・・常念岳〜横通岳〜大天井岳
◆3日目・・・3日目・・大天井岳〜東鎌尾根〜槍ヶ岳!(大本命)

すっかり遠い昔の話のようである。なんならこのままスルーしてもよいのでは……と思ったりもしたが、途中で投げ出す後味の悪さは、もうたいがい味わってきたので、とにかく完走を目指したい。それでは、最終話、お楽しみください。※誰が待っているのか?という疑問が頭をもたげもするが……

一面、灰色……まぁ、しゃーないよね……

3泊4日、長いな〜と思っていたけれど、終わりはきっちり訪れる。昨晩から明け方にかけて、「地震!?」と何度も目が覚めたが、大半の揺れは強風によるもの。地震と強風で石が崩れて山小屋に押し寄せるんじゃないか……まんざらなくもない妄想に苛まれ、またもや眠れなかった。ここまできたら「寝ない」がデフォルトだ。

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外に出ると灰色の綿に包み込まれたような、モヤモヤガスガスの世界……。「ま、最終日。天気が悪くても、しゃーないたい」昨日、槍ヶ岳に登れたことに感謝。本日の悪天候、甘んじて受け止めます、ます。

神さま大盤振る舞い劇場、まだまだ続く!

さくっと身支度を済ませ、山小屋のお兄さんに「また、来ますね!」と挨拶をする。さ、帰ろう。目指すは上高地バスターミナル。ざっと20kmほど。下りとはいえ最長距離を歩くことになる。6時30分スタート。17時30分の最終バスまでに、なんとしてでもたどり着かねば。

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モヤがかかり、眺望はほぼない。ガレ場で足場も悪く、地味にコースアウトしながら下る。坊主の岩小屋〜グリーンバンドに差し掛かろうとした頃だろうか、これまた神さまのサービス精神炸裂!

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重厚な灰色の緞帳(どんちょう)が開くように、目の前の雲がどんどんと流れていく。まさかの青空が広がり、右に大喰岳(おおばみだけ)、中岳、南岳、左に東鎌尾根のU字谷と残雪のカール、連なる尾根は色鮮やかな紅葉で彩られていた。時折差し込む日差しは、さながらスポットライト。霧雨に打たれ消沈気味の登山者たちは一斉に顔を上げ、「わーーーっ、すごい!」と感嘆の声を上げた。ひとときのショータイム。憎いことしてくれる。

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紅葉の写真を撮りながら進む。ぼちぼちぼちぼちぼち……単調で長い。槍ヶ岳へと上がってくる登山客とすれ違うが、みんな一様に死んだ目をしている。地味にきついのだ。槍沢ロッジに到着。「スープでも飲もうか」ってことは、疲れている証拠。長めの休憩で体力を回復させ、さらに下る。

清流・梓川ができるまで

このコースの特徴といえるのが、梓川の成り立ちが見えること。槍ヶ岳付近ではチョロチョロと小川程度の流れだったが、一筋、二筋、三筋……次第に大きな流れへと姿を変えていく。石の模様までわかる透明度よ! 自在に勢いよく流れる様は“生きている”かのよう。成長する梓川を伴走につけながら、徳澤園に到着した。数ある山小屋(もはやそう呼べない)の中でも、群を抜いて素晴らしいと定評のある施設。名物のソフトクリームを食べながら、センスのいいオリジナルグッズを漁る。ああ、お金がいくらあっても足りない。

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行く価値あり! ゴール手前のプラス2km

ここまで来たら、ゴールはすぐそこ。明神館に差し掛かったとき、「明神池方面に行こうや。ちょっと遠回りになるけど」とNくん。遠回り……に引っかかりはしたが、名残惜しい気持ちが勝ったのか、ハイカーズハイなのか、「せっかくやし、行こう、行こう!」橋を渡り、自然探勝路に入った。美しく整備された木道を辿り、樹林帯や湿地帯をめぐる。絵に描いたようなハイキングコースだ。「日本の高原リゾートを背負ってます!」という意気込みというか、本気みなぎる素晴らしいルートだった。プラス2kmしてでも、ぜひ寄り道してほしい。

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「河童橋、まだぁ……」いくら美観とはいえ、やっぱり早く帰りたい。いい加減、疲れた。立派なホテルが見えたな、、、右に曲がったらすぐ、「あ!!河童橋に着いたっぽい!」。すると茂みの中からわらわらとお猿の集団が合流。お猿とともに、河童橋を渡った。

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お猿を引き連れ、ついにゴール!

上高地バスターミナルまであとちょっと。「ビールで乾杯やね〜」とワクワク。そして15時30分、ついにゴール! 予定時間よりやや早いタイムで、無事たどり着いた。感動の乾杯、、、のその前に。「あのさー、今ならもう一本早いバスで帰れるんじゃない?」たしかに! ここでぼんやり2時間は辛い。とはいえ、予約変更の手続きが必要だ。スマホでわちゃわちゃ変更手続きをしていると、わー、時間がない。売店で安売りになったホットドックとビールを両手に持ち、バスに飛び乗る。「間に合ったね〜」3人顔を合わせ、窓の外に目をやると。

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最後は雨でお見送り。神さま、ありがとう!

ざーーーーーーーーっ。バケツをひっくり返したような大雨。「おいおいおい、できすぎじゃないの〜」最初から最後まで、神さまのエッジの効いた演出てんこ盛りの作品(物語)の中にいたようだった。いかんせんポンコツな主人公だったかもしれないが、KちゃんもNくんも、もちろん私も、今回の経験を一生忘れることはないだろう。「あん時の槍ヶ岳はさ〜」なんて、爺さん婆さんになって語り合う……今から楽しみだ。こんなにいい思いをしてしまい、今後の山行が「つまんないなぁ」とならないか心配ではあるけれど、日頃の行いを見ていたwww神さまからのプレゼントだった……ということで。

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長い長い旅、長い長い文章もこれにて・・・・・完

読んでくださったみなさん、ありがとうございます。
あ、送りだしてくれた夫(猫2匹)にも感謝です。

もちろん、Kちゃん、Nくん、ありがとう×100!

<4日目のまとめ・雑感>
・上高地→槍ヶ岳じゃなくてよかった(地味に辛い)
・徳澤園に泊まりたい!
・徳澤園のグッズの買いすぎに注意
・コ○ナ禍ってことで上高地からのバスは予約制
・すっかり油断して、新島々駅(乗り換え)にウォーターボトル忘れる


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