見出し画像

真田紐を帯締めに

家に全く着付け小物がない人が着物を始める場合、悩むのが帯揚げと帯締めです。
帯揚げは「ピンクに始まりピンクに終わる」と言うくらいで、まずは淡い桜色を買っておけば大体それでいけます。普段着なら気に入ったハギレやスカーフなどを使うこともできます。
帯締めは中古品が骨董市やフリマで安く売っていますが、古いものは短いことも多いのでご注意。新しいのを買うなら、平組で、象牙色みたいなのが一番便利です。

普段着の帯締めにおすすめなのが「真田紐」です。
帯留め用に売っている平たい三分紐が真田紐です。幅も何種類かあります。とても締めやすく、何しろ安い。計り売りが多いですが、帯締めサイズに切ったものも売っています。木綿と絹が主流。キュートな色柄がたくさんあります。大正時代には小さな小さな車や小道具類の形を織りだすなど大変凝ったものもありましたが、特殊な織り機が必要で、今は実働している機械がなく作れないのだそうです。

画像1

写真は帯締めにしている平織りの真田紐と自作のモモンガァ帯留め。
さっぱりと軽い雰囲気の紐なので、浴衣に名古屋帯を締めるときにもよく合います。

お店ではメートル単位でないと買えなかったり、何メートルかで切って売っている場合もあります。帯留め用には金具の通る細めを選びますが、普段には幅の広いものが締めやすいです。
帯締め用には150〜180センチほど好みで切ります。端っこが切りっぱなしで解けてきますので、端を数ミリ解いてから横糸をキューっと引っ張って縦糸を小さな房にまとめ、その根元に横糸を巻きつけて縛って留めます。房の長さはお好み。長すぎたらカットします。リボンやレースを貼りつけたりのアレンジにも向いていますし、ブローチをつけるのも気軽です。
ネットショップや織元などの専門店のほか、手芸店、とっとり・おかやま新橋館などでも買えます。

織元すみや http://www.sanadahimo.com/
織元さんのオンラインショップ。見本帳も売っていて、オーダーもできます。手織りや機械織りの映像も見られます。

真田紐師 江南(えなみ) http://www13.plala.or.jp/enami/
京都の織元さん。通販ページあり。時代劇の監修などもなさるようです。今は作れないという大正時代の変わり柄コレクションがとっても魅力的。「真空管」「電柱」柄などがいかにも文明開化時代。http://www13.plala.or.jp/enami/index8.html

伊藤組紐店 http://www.itokumihimoten.com/
真田紐と組紐を扱う京都のお店。オンラインショップには帯締め用にカットしたものや、真田紐のストラップなどもあります。

倉敷 真田紐 https://www.rakuten.co.jp/kurashiki-sanadahimo/
岡山の坂本織物のオンラインショップ。主に木綿の真田紐を買いやすい2m単位で売ってます。

画像2

真田紐は「紐」と言いながら、織物です。袋織と平織りがあります。一般的な帯締めはほとんどが「組紐」で、作り方が全く違います。丈夫で刀や甲冑などに使われ、昭和の頃まではひと束買って家に置いておく実用品でした。茶道具などの桐箱の箱紐でおなじみですが、これは利休が始めたのだそうです。お茶をしている方が「帯締めを忘れたら、お茶碗の箱から紐を抜いて使ったらいい」と言っていました。長さもちょうどいいそうで。真田紐は簡単には作れないので、著名な作家さんやお家元には家紋のような専門の定め柄があり厳格に管理されていて、箱にかかっている紐を見るだけでどこのものかわかり、偽造防止にもなるんだそうです。古い箱紐が汚れていても捨てたりしてはダメなのね。

画像3

写真はさいたまスーパーアリーナ骨董アンティークフェア。祈再開。

大河ドラマ「真田丸」にも出てきましたが、真田家にあやかった名前だと言う説が有名で、実際その人気にあやかって売っていたのですが、その歴史はかなり古く戦国時代にはすでに広く使われていて、紐作りは一般的な浪人の内職だったそうです。実用品なので宮中の記録などがほとんどなく、歴史がよくわからないんですね。大陸から渡ってきた技術ではないかなど、諸説あるようです。しっかり結べるので封印がわりに複雑な飾り結びをしたり、紐の色柄で荷物の中身やなんらかのメッセージを表すといった使い方もあったそうです。そういうところに隠し言葉があるのを想像するとニヤニヤしてしまいます。

月兎耳庵

サポートいただければ嬉しいです!勉強やイベント出展資金にさせていただきます。キモノ沼をもっと深く広く!