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日本語の使い分け「せっかく vs わざわざ」

使い分けを検証するときする私たちが必ず行うのが「比較」です。比較とは「類比」・「対比」すること。国語でも算数でも理科でもなんでも、このような見方・考え方が意識してできるようになると、子どもの考える力が育つと。昔、補習校時代の校長先生が朝礼かなにかで言っていたのですが、当時妙に響いてストーンと私の中に入ってきたんですよね。大事だことだな〜、日本語の世界も同じだな〜なんて思ったのかもしれません。今週のnoteはMr. Iwatsukiの中級日本語で、お題は「せっかくvsわざわざ」の使い分けです。(KW)

せっかく vs わざわざを例文で検証してみよう!

<例文1>
・せっかく作ったから、全部食べていってね。
・わざわざ作ったから、全部食べていってね。

<例文2>
・せっかく誘っていただいたのに、行けなくてすみません。
・わざわざ誘っていただいたのに、行けなくてすみません。

例文1から見てみましょう。「せっかく」の場合、心の中は「一生懸命作った」というのもあるけど、それより「いっぱいあるよ~。好きなの食べてね~。残したらもったいないから全部食べてね~!」という思いが強いような気がします。

一方の「わざわざ」には「みんな来るっていうから、頑張って朝5時に起きて作ったんだよ。残したら許さないからね!」という気持ちがあるかも。

次に例文2。「行きたかったけど、予定があって行けない。いい機会だったのに活かせなくて残念」という気持ちのとき、「せっかく~のに」が使えそうです。相手が私のためにいろいろ調べたり、段取りを整えての誘いに対して、相手の努力を無駄にしてしまうときは「わざわざ」を使います。

<例文3>
・せっかくの休みだから、のんびり休もう。
・わざわざの休みだから、のんびり休もう。(?)

今日の休みはいい機会だからゆっくり休もうという意味で、「せっかくの」を使っています。「わざわざの」は非文です。

じゃ、「わざわざ」を使いたかったら、どんな文にすればいいでしょうか。「わざわざ休みを取ったんだから」「わざわざ取った休みなんだから」とかですかね。

でも、「わざわざ休みを取ったんだから」だと、なんだか印象が悪いですね(というか、若干こわい!?)。なんでしょう、このこわさ・・・。

「わざわざ休みを取ったんだから」「雨の中わざわざ来たのに」「わざわざお金を払ってまで」などのように自分の行為に対して使うと、「しなくてもいいんだけど、頑張ってしてやった感」が全面に出ます。

また、チラシを見て某有名回転ずしチェーン店に行ったのに、「そのキャンペーンは来週からです」と言われたら、「わざわざ来たのに」と言いたくなります。自分の行為が無駄足だったという苛立ちを表現したいのであれば「わざわざ」ですね。

もちろん「せっかく来たのに」も言えますが、こちらは機会が失われたほうに気持ちが向いているんじゃないでしょうか。「せっかく」のほうがソフトに聞こえるのはそのためですね。

「せっかく vs わざわざ」のまとめ

「せっかく」も「わざわざ」も「何かを行なうこと」を表します。

せっかくは「ちょうどいい機会だからついでに・・・」、わざわざは「他のことのついでではなくその目的のためだけに・・・」と覚えておくと、迷わないかもしれませんね。

ただ、「わざわざ」はときに注意が必要です。「わざわざありがとう」でも、場面によってはプラスのイメージに働く場合と、マイナスのイメージを与えてしまう場合があるからです。相手に不愉快な印象を与えてしまいかねませんので、お気をつけください。

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