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【「Adobe VS Canva論争」を見て】歴20年デザイナーのCanvaのリアルな感想

みなさまこんにちは。
Canva、使っていますか?

この記事を読んでいただく方はクリエイターさんが多いと思うのですが、ここ最近デザイン業界界隈でたびたび「Adobe VS Canva論争」が起こっていますね。

私は今年からCanvaを始め、これまで500枚以上制作している歴20年以上のデザイナーなのですが、「圧倒的に使いやすい」という理由でクライアントワーク納品物以外でCanvaをたくさん活用しています。さらに普段のアプリケーションでおこなっていた作業が段々とCanvaにすり替わっていて「Canva恐るべし…」とさえ思っています。

この記事では、デザイナーにはお馴染みの各種クリエイティブツールとCanvaを実際に併用してみた体験談がお読みになれます。
Canvaが気になっている方、「Canva、実際どうなの?」と思っている方にはご参考となるかなと思っています。

[MEMO]
▼Canvaって?

 誰でも簡単にデザインができる無料ツール「Canva」
https://www.canva.com/ja_jp/free/
▼Canvaでつくれるデザイン例はこちら
 ノンデザイナーがCanvaでつくったデザイン各種サンプル集
https://note.com/cotocotocotocoto/n/n658f943bcf2c

ぜひお好みの目次からご覧ください!


<前提>私はこんなデザイナーです

私は完全toBのデザイナー兼ディレクターで1人会社経営者です。行政や法人などのほか、地域の自営業者さんや個人事業主さんなどへのデザインサービスを国内外で提供しています。農業/地域振興業界が多めです。最初はCanva無料版を使っていましたが、現在は有料版、そしてそろそろチーム版に移行しようかと考えています。https://www.cotoricozue.com/

私がCanvaを使う理由

もう、ここがすべてと言っても過言ではないかもしれません…!

1)素材(イラスト/写真/映像など)をCanva内で検索・活用できるのが、想像以上に手間が省けて便利すぎる
2)プロツールと同じショートカットをガンガン使える
3)実際に、本業の仕事の提案の質とスピードが上がった
4)素材やテンプレが今後より増えていくとのことで期待

その詳細は以下です。


<Canvaに移行の可能性も?>使用ツールとの比較

ズバリ、「もしかしたらこれらがCanvaに取って代わる未来が来るかもしれない…」と思ってしまった、私の普段使っているツールが以下です。

1)Adobe CC
 ・Illustrator
 ・Photoshop
2)BlackmagicDesign
 ・Davinci Resolve(映像制作)
3)Google
 ・スプレッド
 ・ドキュメント
4)Microsoft Office
 ・Word
 ・Excel
 ・PowerPoint
5)素材サービスサイト

ひとつひとつ解説します。


1)Adobe CC

▼普段の使い方
主にIllustratorとPhotoshopをクライアントワークで使用
▼Canvaに移行した部分

・クライアントワークでない制作物
・認識共有のためのラフ
▼Canvaを使うシチュエーション
 「たたき台資料」の作成時によく使っています。
 例えば、自分が企画やディレクションを担当する案件で、複数人が関わり制作する場合に完成イメージの「認識共有」のための内部資料作成時に使っています。
▼どこが便利?
 Canvaの「アップロード」タブに内蔵された膨大な素材から直接、検索/利用できるのが本当に便利です。たたき台段階では納品時と同じ素材でなくても良いので、とにかく素材が必要になります。その場合、イラレだと他素材レンタルサービスなどから素材を検索/ダウンロードして配置して、その素材を該当するフォルダに収納しておく必要がありますよね。Canvaでは、Canva内の「素材」タブページで検索して配置するだけ。これが便利すぎるのです(私がCanvaを使う最大の理由はここにあります)。
 また、ショートカットもAdobeにかなり寄せていて驚きました。これは便利。

2)Blackmagic Design

▼普段の使い方
・映像制作/各種調整/編集をする「Davinci Resolve」をクライアントワークで使用(Adobeでは「premierPro」「After Effects」の位置づけです)
▼Canvaに移行した部分

・クライアントワークでない制作物
・認識共有のためのビデオコンテ
▼Canvaを使うシチュエーション
 これもAdobeと同じく、自分が企画やディレクションを担当する案件で完成イメージの「認識共有」のための内部資料作成時に使っています。
 映像制作時にはこれまでイラレで絵コンテをつくっていましたが、提案形態が「絵コンテ」指定ではない時にCanvaでビデオコンテをつくっています。このタイミングでは素材がたくさん必要になるのでまさにCanvaの出番です。
 もちろん早期段階でラフを「絵コンテ」ではなく「素材映像」で見せるのはイメージの固定化に繋がってしまうリスクはありますが、スピード感の優先度が高い案件とは相性が良いかなと今のところ思っています。
▼どこが便利?
 前述同様、膨大なテンプレと素材の検索/利用/保存が1つのページで完結できるのが大変便利です。

3)Google

▼普段の使い方
・主にスプレッド、ドキュメントをチーム内で使用
▼Canvaに移行した部分
・チーム内でのオンラインミーティング時の議事録でお試し中
・チーム内でのオンラインミーティング時のホワイトボード的利用でお試し中
▼Canvaを使うシチュエーション
 共有リンクをチーム内で共有すると、同じページをリアルタイムでお互いがデータの加筆修正ができます。これがとても便利で、とにかく議論スピードが速くなります(この機能はGoogleにもあります)。
▼どこが便利?

 現段階で「お試し中」なのは、GoogleやMicrosoftの同機能と比べるとまだまだ使いにくいです。特に文章打ち込み部分。でも先日のCanvaアップデートの発表では今後オフィス系にかなり力を入れるとのことなので、今後を見ての判断かなぁと思っています。

4)Microsoft Office

▼普段の使い方
・主にExcel、Word、PowerPointをクライアントワークで使用
▼Canvaに移行した部分
・チーム内でのオンラインミーティング時の議事録でお試し中
・チーム内でのオンラインミーティング時のホワイトボード的利用でお試し中
・内部プレゼンテーション資料でお試し中
▼Canvaを使うシチュエーション
 PowerPointの類似機能はExcelとWordの類似機能よりも一歩先を行っている感があります。特に録画モードでは自分の顔をリアルタイムでテレビのワイプ的に表示できるのですよね。これはパワポにはないんじゃないかな?
▼どこが便利?

 前述同様、膨大なテンプレと素材の検索/利用/保存が1つのページで完結できるのが大変便利です。

5)素材サービスサイト(写真、イラスト、映像など)

▼普段の使い方
・複数の有料素材サービスサイトをクライアントワークで使用
▼Canvaに移行した部分
・クライアントワークでない制作物のための素材活用
・認識共有のためのラフのための素材活用
▼Canvaを使うシチュエーション
 前述同様。特にラフなどのように納品物と同じ素材を使う必要がなく、また多くの素材が必要な場面ではかなり重宝しています。
▼どこが便利?
 前述同様、膨大なテンプレと素材の検索/利用/保存が1つのページで完結できるのが大変便利です。

[結論]

1)クライアントワークの納品物のための制作には使っていない
 理由は大きく2つ。
 ひとつは私のサービス上の問題で、数と量を重視する案件より根幹部分の構築や質を重視する案件の方が多いので相性が良くありません(私のメインサービスはブランディングデザインなので、独自性が必要です)。
 もうひとつは物理的な問題で、Canvaで紙媒体のデザインも作れるものの、一般的な印刷会社さんなどではCanvaデータは現時点でほとんどが入稿に対応していません(Canvaから印刷や製造が注文もできますが、現時点ではクオリティ担保できないと判断)。
2)案件を遂行する「過程」での活用はとても便利!
 膨大なテンプレと素材の検索/利用/保存が1つのページで完結できるので、スピード感と提案力がとても高まりました。クライアント様からもかねがね好評です。

ということで、いちデザイナーとしての結論は…
「本業を後押しするツールとして、とても便利で、良い!」


<デザイナーの未来>予測と想い

このままCanvaの機能が日々改善されていくと予測すると、Canvaを使うプロデザイナーさんの現場でも使用する場面が増えていきそうですね。

一方、時間や予算を大きくかけられない事業者さんや行政さんなどノンデザイナーさんにとっても、Canvaはうってつけのツールです。かつて「いらすとや」さんが日本を席巻したように、Canvaでも似た現象が起きると予想しています。

最近、とある業界の職人さんから販促物デザイン相談の依頼がありました。その方はすでにご自身でもOfficeで販促物を制作している方でしたが、ご了承の上Canvaをお勧めしたところなんともサクサクと使いこなし、その出来栄えとスピード感にとても驚いていました。そんな職人さんを見て私もびっくりしました。

そんな未来を見越した上で、その領域で仕事を遂行してきたデザイナーは今後何ができるのでしょうか?AIの発展も相まって、デザイナーの存在意義が改めて問われているように感じます。

私は、デザイナーには「可視化し社会に放つ技術」があると考えています。

デザイナーは言葉にできない、言葉にならない課題や欲望、感情、ニーズ、将来像などを読み取り、感じ取り、形にして、新しいコミュニケーション方法をアプローチできます。ここはツールやAIが発達しても、人間と代替えできない部分です。この技術は、クライアント様の経済活動はもちろんそのカルチャーやユーモア形成なども後押ししています。

つまり、
デザイナーの「可視化し社会に放つ技術」を、
これからの未来に向けて新しい形に再定義すること。
自分自身の仕事自体もよりクリエイティブに創り上げること。

そんな役割が求められていくように感じています。


面白くなってまいりましたね!(震えながら)

でも、よりクリエイティビティを高めることに注力できるようになるのは、とても良いことだと思っています。



最後までお読みいただきありがとうございました。
”小さなトリコ”を大切にしたい地域と農のブランドデザイナー、コトリコ江藤梢でした。


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