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なぜ地域と農のデザインを、仕事にしてるの?
「奇跡的なご縁があったからです」
と、いつもお答えしています。
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こんにちは、
コトリコのブランドデザイナー江藤梢です。
今回は、よくいただくこの質問を、
15年目の歩みと共にここに残したいと思います。
※5000字ほどあるのでお急ぎの方は【4】からがおすすめです
こんなデザイナーです
地域や農業界隈の
クリエイティブ関連の仕事をしています。
独立して15年目、法人化して8年目です。
お仕事は公式サイトにまとめていますので、
よろしければご覧ください。
▼株式会社コトリコ
基本的な考えかた
もっとも大切にしてきたのは、
”クライアント様の「仕事の歩幅」を合わせて
デザインする”です。
目の前の方の歩幅を知り歩幅を合わせなければ
小さな気持ちや気づきを
取りこぼしてしまうように感じて、
いつしかこのスタイルになりました。
ブランディングは、農家さんの畑仕事に似ているかもしれません。インタビューなど、情報収集や分析は『土壌調査』、経営戦略やブランド作りのプランニングは『土作り』、商品や事業の開発は『品種の選定と植え付』。販促計画の進行管理は『栽培管理』、商品や事業、販促品の完成は『収穫、商品やサービスの公開は『出荷』といった具合です
▼コトリコの仕事スタイルの詳細はこちら
【1】なぜ地域と農のデザイン?
使命感の芽生え
この仕事を始めるまで
農業にも地域にもまったく
興味がありませんでした。
そんな20代後半に農の魅力に圧倒されて、
大転機が起きました。
江藤さんは、都内のデザイン会社にデザイナーとして勤務していました。しかし、デザインが“大量生産・大量消費”される現状に疑問を感じ、退職。その後、農業に関心を持ち、様々な農家でアルバイトを経験し「これが天職だ」と思ったそうです
(中略)
「面接で『ロゴを作ってくれないか』と言われて、収穫作業に携わりながら、ロゴマークを制作することになりました。これが農業デザイナーとして初めての仕事でした」
▼コトリコのストーリーはこちらから読めます
この時に、
「地域と農の現場と価値が
生活者に届いていない課題の解消に
デザインを活かしたい!」
という強い使命感が生まれました。
【2】使命感を「仕事」にするために
「価値を届ける」をイベント化
はじめに取り組んだのは、
15組の地元事業者さんを紹介展示する
イベントプロジェクト「東京みずほ学校」の
立ち上げと開催でした。
▼イベントプロジェクト「東京みずほ学校」
内容:地元瑞穂町内の生産者さんと職人さん15組の
商品紹介展示およびミニイベント(30分から1時間、1日1,2回)
開催:2008年8月
会場:同年に開店した地元ホームセンター
参加:地元瑞穂町内の生産者さんと職人さん15組
後援:瑞穂町商工会、ジョイフル本田瑞穂店
主催:江藤梢
▼こんな感じのイベントです
「参画してくれた15組の皆さんの”価値”を
もっと多くの方に知ってほしい!」
その想いは、
「”地元だからこそ生まれた技を持つ仕事人が、先生!それを楽しみたい大人と子供が、生徒!そんな知的興奮を地元地域で味わえる学校”をコンセプトにしたイベントプロジェクトのゲリラ開催」
に形を変えました。
▼当時はこんな時代でした
・2008年4月にTwitter日本版サービス開始
・2008年5月にFacebook日本版サービス開始
・2009年9月に青山ファーマーズマーケット開始
アイディアを思いついた5月頃から、
企画立ち上げについて
東京の茶工房西村園さんに
何度も通ってご相談をさせていただき、
結果、
まったくの初対面だった
地元の15組の方々と膝を突き合わせ、
ミニイベントを共に企画して
イベント全体を創り上げることができました。
「3ヶ月の準備期間で受けた全ての感動と
皆様の歴史と価値とアイディアを
カタチにしたこのイベントが
認められなかったら、
たぶん社会がおかしい。
だから大丈夫!」
という、初々しさと自信たっぷりの初日を迎えました。
▼他にもこんな準備をしていました
・西村さんや役場に、町内生産者さんや職人さんを紹介してもらう
・店舗やお祭りなどで地元事業者さんの数々の商品をチェック
・15組全てのお仕事場の取材撮影をさせていただく
・展示商品や内容について15組の皆様とアイディアを練り合い、準備
・「ついでにミニイベントもしませんか!」とご一緒に企画内容を練り合い、準備
・母校というだけの理由で、学校の机と椅子を展示用に各学校からごっそりお借りする
・ホームセンター責任者様と企画内容や運営などについて都度調整
・開催会場の展示物と販促物を制作
・皆様のアイディアで生まれた「開校式」を計画・告知し、準備
結果、集客的にも話題的にも
とても良かったように思います。
イベント集客率やお一人の滞在時間も
想像以上でした。
個人的にとても感激したのは、
15組の皆さんが期間中に
展示用の商品を想像以上に
大量に毎回持ってきてくれたり、
イベント担当日ではないのに
何回も応援に来てくれたり、
イベントに参加してくれたり
お手伝いに来てくれたことでした。
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終わった後にも、
「ずっと何かやりたかったのだけど、
どうしていいかわからなかったんだよね」
「こういう場があってよかった」
「またやりたいです」
というお声もいただけました。
「私の信じていたものは間違ってなかった…良かった…」
と、人生ごと胸をなでおろしたのを覚えています。
(もちろん当時は開催においてたくさん課題も生まれ、今振り返っても「ああもっとさ、こう…」と頭を抱えてしまう点もたくさんありますが、当時はそう思っていました)
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後日、
「イベントのお客さんが
自分のお店に来てくれたんだよ」
「新しく支店を出すことにしたの!」
などの報告もいただけて、飛び上がりました。
15組の皆様、ご協力・応援いただいた皆様、
来てくれたお友達、ミニイベント参加者さん、
ご来場者さん、そしてホームセンターさん…
改めて、本当にありがとうございます。
これ以降も、ここで出会った皆さんと不定期でマルシェ出店や和菓子職人体験イベント、試食直売イベント、畑での農ベントなどを共に企画し、継続していました。
点が、線が、面になる
予想外の出来事に、当時は
”自分の経験の全てを活かす機会を得る”と
こうも人生が変わるのか!
と、一人驚きを噛み締めていました。
▼当時の私の経験はこんな感じでした
デザイン専門学校:発想の転換方法の授業
デザイン会社:全ての業務と取材撮影経験
造形施工会社:空間設計現場経験
施工、搬入搬出経験
一般企業:総務経験
ライブ:あらゆるライブイベントの企画構成方法
スタッフさんの客の捌き方
フライヤーやマーチャンダイズのデザイン
バンドマンの千差万別の生き様、考え方
一人旅:地域の成り立ちや歴史、起源への興味関心
両親 :徹底的なDIY精神、愛される独自性
イベントでの出会いで
点が、線が、面に変化していきました。
あらゆるご縁が連鎖的に生まれていきました。
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そのひとつに、のちの
東京NEO-FARMERS!があります。
また別の大きな物語が生まれていきました。
(よろしければ公式サイトやメディア記事などをご覧くださいませ)
▼東京NEO-FARMERS!公式サイト
【3】「仕事」をデザインする
「地域と農のデザイナー」の広がり
このイベントを機に
デザインの仕事をいただくようになり、
地域仕事の領域と現場に
どんどん潜入できるようになりました。
▼かつての仕事が掲載されています
それはいつしか、
地元から他市町村へ、23区へ、
関東圏へ、地方へ…と
領域が広がっていきました。
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「もっと売上向上していただける
デザイン技術を身につけたい!」
新しく生まれた想いはブランディングや
マーケティングの学びに繋がり、
段階的に仕事に取り入れるようになりました。
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そのうちに
「農業にもデザインが必要」という考え方が
全国でもメディア中心に広がりを見せ、
私自身もメディアにたびたび掲載されるようになりました。
▼一部を紹介します
独立して10年目の年、の仕事のきっかけをつくってくださった西村園さんとなんと表紙を飾れました。めちゃくちゃ嬉しかったです!
個人事業から株式会社へ
「私にとってデザインは”仕事”」
という姿勢を体現するため、法人成りしました。
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登記など必要な手続きは、
専門家さんの手を借りつつも
ほぼ全ての資料作成・申請を自分で進めたので、
直に変化を経験できた、いい体験でした。
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また、見える景色が全く異なるため
しておいてよかったと思っています。
「海外」のデザイン
モンゴルと南米の生産者さんへ向けた
デザインの仕事に恵まれました。
現地に出向いたり
翻訳家さんを通して魅力を紐解く経験は、
私の視野をぐぐっと広げてくれました。
▼モンゴル:養蜂を国家産業にしようと盛り上がっています
▼南米:歴史と環境から生まれた商品の独自性の高さに驚きました
海外の生産者さんとのやりとりで
特に驚いたのはこの3つでした。
デザインやブランド化の需要と役割は、
まだまだ無限にあると感じました。
1.抱える「課題」が
日本の生産者さんととても似てる
2.生産者さんがデザイナーに依頼する時の、
障壁の高さ
3.生産者さんにとっての、
デザイナーの仕事の認知の低さ
その中で、日本とは違う
各国特有の価値観や
仕事の向き合い方に触れた上で
デザインアプローチを考えるのは、
最高にクリエイティブでエキサイティングな体験でした。
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特筆したいのが、
実際に事業を運営していらっしゃる皆様の
細かな調整と大きな責任を背負っての推進力です。
始終頭が下がる思いでした。
改めてお礼をお伝えしたいです。
その中で私自身の行ないが
少しでも貢献できていればと願うばかりです。
「キャリア」をデザイン
個人的な事情によって
仕事を前に進められていない課題を
クライアント様に教えてもらうたび、
悔しい想いをしてきました。
なぜならその課題は、
これまで私の行なってきた
ブランディングやマーケティング、デザインでは
解決は不可能だからです。
そんな想いから
キャリア課題に寄り添う国家資格
「キャリアコンサルタント」を
2019年に取得しました。
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自分の特性や経歴を理解した上で、
今とこれから、どんな一生を送りたいか
キャリアコンサルタントとは、
一人一人の幅広い悩みに対し、
自分で自分と向き合い、気づきを得て
行動を起こしていただくための相談と助言を、
あらゆる形で行なう専門家です。
人生100年時代において、
生涯の心のセーフティネット的な
役割を持っています。
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取得してからは
主催した「農福連携ブランドセミナー」で
福利的に技術を活かしたり、
個人事業や自営業の方中心に相談支援をするようになりました。
この一連の学びがデザインにも想像以上に活かせているので、自己研磨を欠かせないこの資格に出会ってよかったと思っています。
【4】地域と農のデザインを仕事にする理由
ここまで読んでくださり
ありがとうございました。
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ここに書ききれないほどたくさんありますが、
地域と農のデザインを仕事にする理由は
奇跡的なご縁があったからです。
それが今もたまたま仕事として続いています。
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私が大切にしてきた、
「歩幅を合わせながら、
共にあたらしい未来を見据えるため
あたらしい未来の関係性をデザインする」
「クライアント様の”価値”が
社会に新しい気づきを与え、
”より良い社会を創造する存在”として
認知していただけるようデザインを設計し、
羽ばたく姿を見届ける」
これらを実現するため、自ら学び、心から面白がり、虜になり、冷静にデザインと向き合う__そんなことをただただ繰り返してきました。
15年間の多くの体験と尊い壮大な寄り道があり、今があります。
ご一緒させていただきました皆様に、この場を借りてお礼をお伝えさせてください。本当にありがとうございます。
【5】「人生をデザインする」
「自分で人生をドライブできるよう、
自分で自分の人生をデザインしなさい」
専門学校でこの言葉に出会いました。
私は15年間、
その教えとは反し、流れ流されたことで
とても多くのあらゆる経験を得る機会を
いただいてきました。
だからきっと、
流されるのも悪くありません。
ただ、そろそろ、
そうしてもいいのかもしれないなと
思うようになりました。
そのひとつがこのnoteです。
(今まで言葉にしてこなかったことを
少しずつアウトプットしていけたら)
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私の力は小さいですが、
デザインは大きな影響力を持ちます。
それを忘れずに、
これからも向き合っていきます。
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最後までお付き合いくださりありがとうございました。
おいしい農産物でお別れです。またの機会にお目にかかります。ありがとうございました。
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