244. 未熟児網膜症に対する抗VEGF療法とレーザー治療後の視野

Visual field after anti-vascular endothelial growth factor therapy and laser treatment for retinopathy of prematurity

Obata S, Matsumoto R, Iwasa M, Kakinoki M, Sawada O, Sawada T, Saishin Y, Ohji M. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2023 Sep 6. doi: 10.1007/s00417-023-06227-6. Epub ahead of print. PMID: 37674073.


目的:未熟児網膜症に対する抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)療法およびレーザー治療後の視野を評価すること。

方法:レトロスペクティブ・コホート研究。抗VEGF療法またはレーザー治療を受けた未熟児網膜症の乳児を研究の対象とした。ゴールドマン視野計(輝度、1000asb;サイズ、V4e=64mm2)による8方向の視野を抗VEGF療法群とレーザー治療群で比較した。視力(VA)と等価球面屈折も両群間で比較した。

結果:抗VEGF療法を受けた9眼とレーザー治療を受けた12眼が解析に登録された。全視野、上方視野、鼻上側視野、鼻側視野、鼻下側視野、耳下側視野、耳上側視野は、抗VEGF療法群の方がレーザー治療群よりも有意に広かった(それぞれ、496 vs 416、P = 0.002、53 vs 45、P = 0.008、56 vs 43、P = 0.003、58 vs 39、P < 0.001、55 vs 44、P = 0.01、72 vs 65、P = 0.01、62 vs 56、P = 0.03)。VAは抗VEGF療法眼の方がレーザー治療眼よりも良好な傾向があった(0.01 vs 0.15, P = 0.06)。抗VEGF療法眼はレーザー治療眼よりも近視が有意に低かった(等価球面屈折:-0.72 vs -5.7, P = 0.001)。

結論:抗VEGF療法はレーザー治療と比較して、より広い視野、より良好なVA、より少ない近視をもたらす可能性がある。

※コメント
抗VEGF療法の有効性が続々と報告されてきています。未熟児網膜症の治療選択として今後挙げられていくと思いますが、長期的な全身効果と治療後の管理についてはまだコンセンサスが得られておらず、晩期再発のリスクが依然としてあるようです。

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