233. 小児における焦点調節可能眼鏡を用いた自己屈折による屈折精度と視力結果: 無作為化臨床試験

Refractive Accuracy and Visual Outcome by Self-Refraction Using Adjustable-Focus Spectacles in Young Children: A Randomized Clinical Trial

Zhao L, Wen Q, Nasrazadani D, Cheung NL, Weinert MC, Freedman SF, Silver J, Priestley YM, Congdon N, Prakalapakorn SG. JAMA Ophthalmol. 2023 Aug 24:e233508. doi: 10.1001/jamaophthalmol.2023.3508. Epub ahead of print. PMID: 37615952; PMCID: PMC10450585.


重要性:未矯正の屈折異常は、小児の視力障害の最も一般的な原因である。12歳以上のほとんどの小児は、焦点調節可能な眼鏡(adjustable-focus spectacles)を使用した自己屈折により、20/25以上の視力(visual acuity:VA)を得ることができるが、それより低年齢の小児に関するデータは不足している。

目的:5~11歳の小児において、Adspecs(Adaptive Eyecare社製)焦点調節機能付き眼鏡を使用して自己屈折を行った場合の屈折精度、矯正視力、および20/25以上の視力を達成できない要因について、非調節麻痺下自己屈折および調節麻痺下屈折と比較して評価すること。

デザイン、設定、参加者: 本試験は、2015年9月2日から2017年12月14日まで実施された横断的非劣性試験である。研究は、小児眼科クリニックで実施された。5~11歳の片眼または両眼の未矯正VAが20/40以下であり、20/25以上の最高矯正VAを妨げている全身または眼疾患のない小児が登録された。最高矯正VAが20/25より悪い小児は除外された。試験データは2017年9月から2023年6月まで解析された。

Exposures: 小児たちは、焦点調節可能な眼鏡を使って自己屈折を教わった。

主なアウトカムと測定:試験眼の等価球面屈折異常(自己屈折、非調節麻痺下の自動屈折、調節麻痺下の屈折を使用)とVA(未矯正、自己屈折、非調節麻痺下の自動屈折、調節麻痺下屈折を使用)を評価した。ロジスティック回帰を用いて、自己屈折で20/25以上のVAを達成できない可能性のある予測因子を評価した。

結果:合計127人の連続した小児が登録された。除外後、112人の小児(年齢中央値[IQR]:9.0[8.0-10.3]歳;男児52人[46.4%])が研究に組み入れられた。等価球面屈折力の平均値(SD)は、自己屈折で-2.00(1.52)D、非調節麻痺下屈折で-2.32(1.43)D、調節麻痺下屈折で-1.67(1.49)Dであった。屈折力の平均(SD)差は、自己屈折と非調節麻痺下屈折の間で0.32(1.11)D(97.5% 片側CI、0.11~ ∞D;P < 0.001)、自己屈折と調節麻痺下屈折の間で-0.33(1.15)D(97.5%片側CI、-0.54~ ∞D;P = 0.77)であった。矯正VAが20/25以上の小児の割合は、自己屈折では79.5%(112人中89人)、非調節麻痺下屈折では85.7%(112人中96人)、調節麻痺下屈折では79.5%(112人中89人)であった(自己屈折 vs 非調節麻痺下屈折: McNemar P値=0.27;自己屈折 vs 調節麻痺下屈折: McNemar P値 > .99)。自己屈折で20/25以上の最高矯正VAを達成できなかった人は、乱視が強く(オッズ比[OR]、10.6;95%CI、3.1-36.4;P < 0.001)、年齢が若かった(OR、1.5;95%CI、1.1-2.2;P = 0.02)。

結論と関連性:5~11歳の小児の自己屈折は、調節麻痺下屈折よりも近視度数が高くなる可能性があるが、必ずしも臨床的に重要な程度ではない。焦点調節可能な眼鏡を用いた自己屈折により20/25以上のVAを達成した小児の割合は屈折矯正と変わらなかったが、低年齢の小児や乱視の強い小児では達成率が低かった。

※コメント
日本ではあまり受け入れられない(受け入れない方がいい)眼鏡かもしれませんが、世界視点でいくとこのような眼鏡の利用が好ましい状況もあるかもしれません。
あとはどうやって屈折を自己調整しているのか。球面だけなのか、円柱もなのか、その場合軸の操作の仕方が気になります。本文読めたら読んでみます。

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