304. ダウン症における角膜全屈折力と形状

Total corneal refractive power and shape in Down syndrome

Asgari S, Mehravaran S, Fotouhi A, Makateb A, Hashemi H. Eur J Ophthalmol. 2021 Jan;31(1):69-77. doi: 10.1177/1120672119883594. Epub 2019 Oct 21. PMID: 31635486.


目的:10~30歳の非角膜症のダウン症患者および健常者の1~8mm角膜ゾーンにおける全角膜屈折力と8mmQ値を測定すること。

方法:ダウン症患者203人(平均±標準偏差:17.0±4.7歳)と、年齢・性別をマッチさせた健常者189人(17.1±4.5歳)の右眼データを比較した。抽出された主なペンタカム指標は、steepとflat軸の角膜全屈折力、1-8mmゾーンの角膜全屈折力の平均値および差(角膜乱視)であった。

結果:1-8mmゾーンの角膜屈折力の平均値は、Down群で45.17-45.74D、正常群で42.91-43.52Dであった(いずれもp<0.001)。中心から周辺にかけての角膜屈折力の変動係数は、両群で同程度であった(p = 0.855)。平均全角膜屈折力のいずれも年齢と有意な相関はなく、すべて女性で有意に高かった(p < 0.001)。これらのゾーンの平均全角膜屈折力ベースの角膜乱視は、ダウン症患者で1.46から1.66 D、正常群で1.64から1.99 Dに変化した。すべての角膜乱視の指標は両群間で同様であった(すべてp > 0.05)。全ゾーンにおける倒乱視と斜乱視の有病率はダウン症群で高かった(すべてp<0.05)。

結論:ダウン症の青年期および若年非角膜症患者は、角膜がより隆起(prolate)しており、角膜曲率の分布は均一である。この集団では、女性の方が角膜がsteepである。

※コメント
Down症患者の乱視軸については様々な報告があるようです。
今回のように倒乱視と斜乱視が多いというものや、斜乱視が多いという報告。個体差が大きいというのが見解としてあるようですが、乱視軸の方向は、瞼裂の形態、視習慣、遺伝的要因、および屈折率、眼球摩擦による機械的圧力が要因になりうることが示唆されているようです。
また、わずかにsteepな状態を示したのは、ダウン症患者の瞼裂が上方に傾斜しているためと考えられています。

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