156. フレネルプリズムを用いた小角度内斜視と正常以下の立体視を持つ患者への対応(Monofixation syndrome)

Management of patients with small-angle esotropia and subnormal stereopsis using Fresnel prism

Lee HJ, Kim SJ. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2022 Jan;260(1):345-352. doi: 10.1007/s00417-021-05338-2. Epub 2021 Aug 18. PMID: 34406501.


目的:Monofixation syndrome(MFS)は、小さな偏位を伴うもしくは伴わない、特異な正常以下の両眼視状態をもつ。MFSの患者は、安定した眼球アライメントを維持する傾向がある。弱視の治療法として、屈折矯正や遮閉法が考えられていますが、MFSの状態は長期間の経過観察により変化する可能性があります。本研究の目的は、MFSの特徴を呈する正常以下の立体視を有する小角度内斜視において、フレネルプリズムが視力、偏位量、感覚状態に影響を及ぼすかどうかを評価すること。

方法:2010年から2019年の間にsimultaneous prism and cover testで8⊿以内の小角度内斜視の患者を検討した。100秒以上と定義されるサブノーマルな立体視を有し、周辺融像を伴う中心窩抑制のある患者のみを対象とした。フレネルプリズムは優位眼に適用し、プリズム治療後の最低経過観察期間は24か月とした。患者の臨床的特徴、経過、視力、偏位量、立体視を含む治療への反応を評価した。

結果: 平均年齢5.5±1.4歳の20名の患者を対象とした。フレネルプリズムの平均治療期間は15.3±10.3か月であった。50.7±17.2か月の経過観察後、非優位眼のVAは0.26±0.20 logMARから0.07±0.17 logMARに変化した(P < .001)。最初の立体視は3.54 ± 0.27 log arcsecで、6000から400 arcsecの範囲であった。フレネルプリズムによる治療後、最終的な立体視は3.09 ± 0.58 log arcsecで、6000から100 arcsecの範囲にあった(P = .001)。9人(45%)が2オクターブ以上立体視が改善した。偏位量の変化や固視の変化は観察されなかった。

結論:フレネルプリズムの使用により、MFSの特徴を持つ患者において、視力と立体視に若干の改善が見られた。弱視や立体視が正常でない小角度内斜視患者に対して、屈折矯正と遮閉の後、フレネルプリズムを用いた管理を試みることができる。

※コメント
本文を読むと、
・立体視はstereo fly testで評価
・ほとんどの患者が調節性内斜視と診断されている
想像(妄想)ですが、プリズム遮閉をすることによって抑制除去が起こり、stereoの向上がみられたのではないかと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?