43. 3歳から10歳の間欠性外斜視患児において,3年以上にわたる立体視の悪化や恒常性外斜視への進行はまれであり,外斜位コントロール,立体視,偏位の大きさは維持またはわずかに改善された
Three-Year Observation of Children 3 to 10 Years of Age with Untreated Intermittent Exotropia
Pediatric Eye Disease Investigator Group; Writing Committee; Mohney BG, Cotter SA, Chandler DL, Holmes JM, Wallace DK, Yamada T, Petersen DB, Kraker RT, Morse CL, Melia BM, Wu R. Ophthalmology. 2019 Sep;126(9):1249-1260. doi: 10.1016/j.ophtha.2019.01.015. Epub 2019 Jan 26. PMID: 30690128; PMCID: PMC6660425.
目的:3年間無治療で経過観察した小児の間欠性外斜視(IXT)の経過を説明すること。
デザイン:短期間の遮閉と観察を比較した無作為化試験による観察群。
参加者:3歳から10歳の未治療のIXTで,近見立体視が400秒(arcsec)以上の小児183名。
方法:3ヶ月,6ヶ月,または6ヶ月間隔で行われる3年間の追跡調査において,悪化基準を満たさない限り治療を行わないこととした。
主要評価項目:主要アウトカムは3年後までの悪化とし,運動基準(遠見および近見で一定の外斜視10Δ以上)または近見立体視基準(前回の最高測定値から2オクターブ以上の低下)を満たすことを定義した。一次解析では,いずれの悪化基準も満たさずに治療が行われた場合も悪化したとみなした。
結果:3年後までにプロトコルで規定された悪化の累積確率は15%(95%信頼区間,10%~22%)であったが,これは誤分類のせいもあり,過大評価であった可能性が高い。25人の悪化のうち,2人が運動機能の悪化,11人が立体視機能の悪化を満たし,12人がどちらの基準も満たさずに治療を開始した(社会的懸念のため7人,複視のため1人、その他の理由のため4人)。3年後の受診を完了し,研究期間中に治療を受けなかった132人のうち,3年後に運動機能または立体視機能の悪化基準を満たしたのは1人(1%未満)だけであった。以前に悪化基準を満たし,治療をせず3年後の受診を完了した4名の参加者のうち,依然として悪化基準を満たした者はいなかった。これら132名の患者について,ベースラインから3年後までの間に遠見および近見の立体視(平均改善度,0.14および0.14対数秒,それぞれP ≦0.001 および P ≦0.001 ),遠見外斜視コントロール(平均改善度,0.6ポイント,P ≦0.001 )および遠見外斜偏位の程度(平均改善度,2.2Δ,P = 0.002 )の改善が見られた。
結論:手術が直ちに必要な治療ではないと考えられる3歳から10歳のIXT患児において,3年以上にわたる立体視の悪化や恒常性外斜視への進行はまれであり,外斜位コントロール,立体視,偏位の大きさは維持またはわずかに改善された。
※コメント
斜視の手術をしない場合,悪化することはないがこのままの状態が続きますよと言うために裏付けとなる報告の一つです。
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