291. 加齢に伴う乱視の変化: 縦断的研究

Changes in ocular astigmatism with age: A longitudinal study

Beesley J, Elliott DB. Ophthalmic Physiol Opt. 2023 Sep 24. doi: 10.1111/opo.13234. Epub ahead of print. PMID: 37743700.


目的:年齢による乱視の変化を調べる。若い年齢における直乱視(With-the-rule:WTR)から高齢の患者における倒乱視(ATR:Against-the-rule)への変化は、斜乱視または球面処方を介して起こるのか、また、これらの変化はどの年齢で起こるのか。

方法:処方データは、英国の大規模な複数のグループに属する1つの眼鏡診療所からレトロスペクティブに収集した。326人の患者(初回処方時の平均年齢46歳、範囲28~69歳)と640人の眼について、記録された処方歴(参加者1人あたりの処方歴データの中央値20年、IQR19~22年、範囲18~29年)を通して乱視の変化を縦断的に評価した。

結果:WTRからATRへの小程度の乱視度数(0.25または0.50DC)の変化は、球面処方よりも斜乱視軸を通過する確率が3倍以上高かった(56対16、
χ21= 22.2, p < 0.0001) 。最初に記録された眼科検査時の年齢が28~40歳の患者では、55%(92/167)の眼が平均44歳(SD 6.2)で乱視の変化が始まり、41%(68/167)の眼は平均54歳(SD 4.6)まで変化がなかった。文献で測定された斜乱視の有病率が11%~19%であるのに対し、本研究では36%(232/640)の眼が屈折歴の中で少なくとも1回は斜乱視を処方されており、これらの斜乱視のうち78%は一過性のものであった。

結論:WTRからATRへの加齢に伴う眼乱視の変化は、球面処方に比べて、斜乱視軸を通過する確率が3倍以上(56対16)であった。斜乱視の変化は、新しい眼鏡を使用した際の不定愁訴に関与しているため、斜乱視軸のこの有病率(232/640、36%)を考えると、これらの斜め変化と以前の処方との調整に関して、専門家の継続的な育成が必要である。

※コメント
introduction抜粋-
加齢に伴うWTRからATRへの有病率の変化はよく知られているが、これらの変化がどのように媒介されるかについては、ほとんど発表されていない。具体的には、直乱視の小さな度数(これは若い年齢で非常に一般的である)が、斜めの軸を通って倒乱視化するのか、あるいはゼロまで減少して倒乱視として再び現れるのかである。

ポイント
・若い年齢における直乱視→斜乱視→高齢者の倒乱視となる(斜乱視を介する可能性が3倍高い(56対16))。
・斜めの乱視は、これまでの普及率から想像されるよりも一般的に処方されており、36%の眼(232/640)が屈折矯正歴の中で少なくとも一度は斜め軸の乱視を使用している。
・乱視の変化は40代半ば以降に起こり(55%)、多くの人(41%)は50代半ば以降まで変化を示さなかった。

*本研究は、イングランドのウェスト・ヨークシャー (West Yorkshire)にある診療所のデータベースの記録


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