96. レーザー治療した未熟児網膜症眼では,眼軸長,角膜屈折,水晶体パワーが近視の程度と関連しており,照射したショット数も近視の程度に影響した。また,水晶体パワーのみがレーザー照射回数と関連があった

Investigating the factors affecting myopia in retinopathy of prematurity after laser treatment

Asano S, Inoue T, Kure K, Kitano M, Fujita A, Nagahara M, Asaoka R, Obata R. Int J Retina Vitreous. 2023 Apr 12;9(1):27. doi: 10.1186/s40942-023-00456-x. PMID: 37046346; PMCID: PMC10091611.


背景:レーザー治療を行った未熟児網膜症(retinopathy of prematurity:ROP)眼の近視発症メカニズムを解明するため,レーザー照射ショット数が近視変数に与える影響を調査した。

方法:レーザー治療を受けたROPの乳児17人の計33眼を解析対象とした。調節麻痺下屈折検査を実施し,等価球面値(SE)を算出した。SEと様々な変数(レーザーの照射回数を含む)との関係を検討した。さらに,年齢を合わせたROPのない対照群を用意し,眼球の構造パラメータを比較した。

結果:眼軸長(AL)には2群間で統計的な差はなかったが(p=0.88),SEはROP群で有意に近視度が高かった(p<0.001)。SEは,ROP群ではAL,角膜屈折(corneal refraction:CR),水晶体パワー(crystalline lens power:CLP)と関連していた。これら3つの因子(AL,CR,CLP)のうち,CLPとレーザー照射回数には有意な相関が見られたが(p = 0.003),レーザー照射回数とALまたはCRとの間には相関は見られなかった(それぞれp = 0.15, 0.10)。各小児の右眼と左眼の差の解析でも,非常に似た傾向が見られた。

結論:レーザー治療したROP眼では,AL,CR,CLPが近視の程度と関連していた。さらに,レーザー治療したROP眼では,照射したショット数も近視の程度に影響した。AL,CR,CLPのうち,CLPのみがレーザー照射回数と関連があった。

※コメント
未熟児網膜症に対するレーザー照射が屈折性近視を助長し,ショットの数と近視の程度が関連するとの報告です。

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