122. 日中の教室照度が高いと,眼軸長が短い児童の眼軸伸長が減少した。より多くの日光を取り入れて教室の照度を上げることは,近視の発症に対する保護策となりうる

Effect of Classroom Illuminance on the Development and Progression of Myopia in School Children

Suh YW, Ha SG, Kim SH. Korean J Ophthalmol. 2022 Jun;36(3):194-201. doi: 10.3341/kjo.2021.0170. Epub 2022 Jan 24. PMID: 35067020; PMCID: PMC9194730.


目的:教室の照度が小学生の近視の発達と進行に及ぼす影響を評価すること。

方法:小学校50校において,室内外の照度の比率である昼光係数を取得した。昼光ファクターが最も低い(lowest daylight:LD)学校(LD校,145名,0.51%)と昼光ファクターが最も高い(highest daylight:HD)学校(HD校,147名,13.35%)の小学1年生を抽出した。親の近視,近業量,屋外活動量を評価するためのアンケートを実施した。初期と6か月後に屈折異常と眼軸長(axial length:AL)を測定した。等価球面値,AL,調査結果を両校で比較した。正視の小児の平均ALを求め,すべての被験者を平均ALより大きいグループと小さいグループの2つに分けた。また,屈折異常とALの変化をALに応じて比較した。

結果:6か月後の等価球面値およびALの変化量は両校で差がなかった。初期の近視の有病率はHD校で高かった。しかし,6か月後には両校で同程度になった。正視児155名の平均ALは22.7±0.63mmであった。ALが22.7mm以上の185人の小児では,両校のAL変化に差はなかった。しかし,ALが22.7mm未満の小児107人のALの変化は,HD校(0.15mm,p=0.049)よりもLD校(0.19mm)の方が有意に大きかった。保護者の近視の既往,近業,屋外活動については,両校で差はなかった。

結論:日中の教室照度が高いと,ALが短い児童の眼軸伸長が減少した。より多くの日光を取り入れて教室の照度を上げることは,近視の発症に対する保護策となりうる。

※コメント
眼軸長が短い(22.7mmより短い)小児の6か月後の結果において,0.15mm(照度高)と0.19mm(照度低)で有意差ありとの結果です。
差は僅かですが,長期的な結果が気になるところ。屈折でなく眼軸に焦点を当てているところがkeyだと思います。

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