68. 近視発症時の座位での読書は成人期までの近視進行を最も大きく予測し,仰向けで顔を上げての読書は最も近視進行が小さい

Associations of reading posture, gaze angle and reading distance with myopia and myopic progression

Pärssinen O, Kauppinen M. Acta Ophthalmol. 2016 Dec;94(8):775-779. doi: 10.1111/aos.13148. Epub 2016 Jul 1. PMID: 27369316.

目的:近視児の習慣的な読書姿勢,読書時の視線角度,読書距離と近視の関連性について検討すること。

方法:1983年から1984年にかけて,眼鏡をかけたことのない近視の小学生240名(平均年齢10.9歳)が,近視に対する遠近両用眼鏡治療の無作為化臨床試験(3年間)に採用された。237-238名の被験者に対して,自覚的な調節麻痺下屈折を含む年3回の検査が実施された。178名の被験者には平均年齢23.2歳のときにさらなる検査が実施された。調査開始時にアンケートで習慣的な読書姿勢を聴取した。読書距離はClement Clark accommodometer,視線角度は角度計にて,ベースライン時と3回の年次フォローアップ時に測定した。身長は学校保健医が測定した。変数間の関連は、標準的な統計手法で調査した。

結果:近視が強い状態は読書距離が短くなることと,フォローアップ2および3における女子で認められたが,他の検査では認められなかった。等価球面値と身長の相関はそれぞれの追跡調査において有意ではなかった。追跡調査期間中の近視の進行は,ベースライン時に座って読んでいた人(-3.58 ± 1.75 D)で最も高く,横になって顔を上げて読んでいた人(-2.35 ± 1.53 D)で最も低かった(p = 0.021)。より下を向いて読むことは大きな近視進行とわずかに関連していた(r = -0.166, p = 0.028)。

結論:近視発症時の座位での読書は,成人期までの近視進行を最も大きく予測し,仰向けで顔を上げての読書は最も小さかった。目をより下に向けて読むことは近視の進行の大きさとわずかに関連していた。

※コメント
姿勢による近視進行を調査した報告です。
座位で下向きが多い小児は近視がより進行し,仰向けでみる小児は進行が少なかったということです。
理由については特に述べられていませんが,個人的な見解では,仰向けでの読書は時間的に短い可能性があり,座って読書や勉学をしている場合は時間が長いという,近業の時間に引っ張られているのでないかと思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?