185. 非弱視眼の突然の視力低下後に複視を呈した内斜視患者(成人)における神経可塑性を示す視覚リハビリテーション:症例報告

Visual rehabilitation indicating neuroplasticity in an esotropic adult patient with diplopia after sudden visual acuity loss in the non-amblyopic eye: A case report

Michalski A, Dubas K, Nogaj S, Stopa M. NeuroRehabilitation. 2023 Jul 1. doi: 10.3233/NRE-220303. Epub ahead of print. PMID: 37424479.


背景:この症例報告の目的は、特殊な臨床状況において複視と弱視の両方をうまく管理し、成人患者における視覚系の神経可塑性を示すことである。複視の原因としては、単眼複視では眼病変、両眼複視では虚血性眼球運動神経麻痺、中枢神経系では生命を脅かす突発性疾患や慢性疾患が挙げられる。斜視弱視や非動脈炎性前部虚血性視神経症は、発育期の視力低下や成人期の視神経虚血によって生じることが多い。これらの疾患の併存は、神経系の機能再編成能力を示す珍しい臨床状況を引き起こす可能性がある。

症例の提示:本症例では、非動脈炎性前部虚血性視神経症の過程で、それまで良好であった方の眼の視力が急激に低下した結果、斜視弱視眼の抑制が失われ、複視が誘発された。その結果、日常生活に支障をきたすようになった。

結果:視覚訓練リハビリテーションにより、弱視眼の遠見と近見視力は3か月で改善し、プリズム眼鏡を処方することで日常生活に復帰することができた。

結論:この患者は斜視弱視眼の抑制を失った。弱視の管理は通常小児に行われるが、神経可塑性を考慮し、成人の脳では神経可塑性機能の強度が低いにもかかわらず、この患者の視機能改善を試みることに成功した。

※コメント
71歳 幼少期から左眼の斜視弱視
NAIONの経過中にそれまで良好であった眼の視力(右眼)が著しく低下したために、それまで弱視眼かつ内斜視眼(左眼)の抑制が二次的に切り替わることによって複視が引き起こされた。この現象は、視覚皮質が関与する適応過程から生じたものであると考えられる。複視のため、この患者は視覚訓練に参加する前に右眼にパッチを当てなければならなかった。片眼使用(左眼)にもかかわらず、日常生活のあらゆる動作に問題があった。例えばコップに水を注ぐといった基本的な動作にも問題があった。3か月の単眼および両眼視トレーニングの後、視力の改善が起きた。
(上記本文より抜粋)
興味のある方はぜひ読んでみてください

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