313. 若年成人の近視および正視における近見作業中の視線行動と視覚環境の客観的測定

Objective Measures of Gaze Behaviors and the Visual Environment during Near-Work Tasks in Young Adult Myopes and Emmetropes

Read SA, Alonso-Caneiro D, Hoseini-Yazdi H, Lin YK, Pham TTM, Sy RI, Tran A, Xu Y, Zainudin R, Jaiprakash AT, Tran H, Collins MJ. Transl Vis Sci Technol. 2023 Nov 1;12(11):18. doi: 10.1167/tvst.12.11.18. PMID: 37962538.


目的:近視眼者と正視眼者において、屋内外の環境でスマートフォンや紙を読む作業中の近見視線行動と視環境を客観的に定量化すること。

方法:ウェアラブル視線・視距離追跡装置を用いて、一連の読書課題中の近業視線行動(焦点要求)と視環境(20°周辺シーン相対デフォーカス)を定量化した。9名の近視眼者(平均年齢21±1.4歳)と10名の正視眼者(21±0.8歳)のデータを分析した。5分間の読書課題(フォントの種類とサイズを一致させた)を、屋内でのスマートフォン、屋内での紙、屋外でのスマートフォン、屋外での紙の4つの条件下で実施した。

結果:スマートフォンによる読書では、紙による読書(2.67±0.48D)と比較して、有意に大きな焦点要求(より近い視距離)が認められた(平均、3.15±0.74D)(P < 0.001)。また、スマートフォンでの読書は、より大きな周辺シーン相対近視性デフォーカスと関連していた(P < 0.001)。近見作業行動は環境間で類似していたが、紙ベースのタスクの開始時には、屋内と比較して屋外で実施した場合に有意に多くの相対的近視性デフォーカスが認められた(P = 0.02)。

結論:屋内と屋外の環境において、スマートフォンと紙で行う読書作業には、20°の視野内における焦点要求と相対的デフォーカスに有意な差が認められた。

関連性: これらの知見は、近見作業行動と視覚環境との間の複雑な相互作用を浮き彫りにし、近視発症に潜在的に重要な要因が、紙ベースの近見作業とスマートフォンベースの近見作業とで異なることを実証している。

※コメント
スマホと紙では、スマホの方が視距離が近い。
スマホの方が周辺20°視野における近視性デフォーカスが大きかった。
※近視性デフォーカスは近視進行抑制に関連することが示唆されている。

屋外でスマホを離して見ることは(屋外で紙を使用して見るよりも)近視性デフォーカスが生じる可能性があるということになります。

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