今野書店へ 2024/08/18(p.216)#96



夏休みの一日、妻とお出かけした話のつづきである。前回はこちら。

雷が鳴り暗雲垂れこめ、いまにも雨が降だしそうで、慌てて松庵文庫を出たものの、いざ外へ出て空を見上げれば、陽も射して青空の覗いている処もある。まだしばらくは猶予がありそうで、駅へ向かってプラプラと歩いていく。

駅前の今野書店へ入る。西荻に来たら必ず寄る本屋さんだ。街の本屋さんといった趣の規模感が、ちょうどいい。独立系書店ほど尖っていなくて、品揃えも過不足なく、それでいて棚には独自性が垣間見える。ぷらっと入れて、パラパラ見て、何も買わずに出てもさほど気が咎めない(とは云えたいてい何か一冊は買ってしまうのだけれど)。つまりは気軽に入れる。昔ながらの本屋さん。これぞ書店の在るべき姿、と云うのは少し考えが古いだろうか。

妻といっしょに棚を眺めて、子どもの遊べそうなシールブックを買い(そう云う本と玩具の中間のような知育商品のさりげなく置かれているあたりも好感がもてる)、僕はあれこれ迷ってけっきょくは、いまハマっている川端康成を一冊買って店を出る。

店に居る間にザーッとひと雨降ったらしく、表の路面が濡れている。いまはもう止んでいる。台風みたいにヘンなお天気である。電車へ乗ってつぎの目的地へ移動する(つづく)。


きのう『眠れる美女』を読みおわって、きょうからは(と云うか数日前から交互に読んでいた)坪内祐三『『別れる理由』が気になって』を読む。いやあ愉しい。七〇年代の文学読みたくなるし、また文芸誌を読みたくなってきている。危険である。文芸誌は時間も、(それなりに)お金も掛かるし、ほかの本が読めなくなる分、積読の山は積み重なる一方だし、なるべくなら手は出したくないのだが。

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