参考文献が好きだ #18

参考文献が好きだ。
本のうしろについている、文献のリスト。リファレンス。

そもそも僕はブックリスト全般が好きで、書店のブックフェアとか、出版社の企画とか、雑誌などで見かける、特定のテーマで集められたリストだとかを、見つけると欲しくなって、手に入れては片っ端から読みたくなる。

読みたくなるだけで、じっさいは読まない。読めない。

遡ること数十年前、受験生だった時分にも、新しい参考書を買ってきては、買ったことで満足してしまって勉強しない、てことがよくあった。
いまでもおなじように、本を手に入れると、それだけで少し頭が良くなったような錯覚に陥る。

ロールプレイングゲームで、装備するだけで知力のアップする武器とか、映画『マトリックス リローデッド』で、トリニティがバイクの乗り方をインストールしてすぐに運転できるようになるとか、そんなふうに、本も買うだけで中身を修得できたらいいのに、とおもう一方で、それだと読むことそのものの愉しみや悦びも失われてしまうのだな、とおもうとずいぶん寂しくもある。

買って満足して読まない。いまでもその悪癖はかわらない。
僕は読書が好きなのではなくて、本を集めることそのものが好きなのかもしれない。

本が読まれずに、積まれていく。
リストだけならまだいいが、物体としての本が、僕の部屋をどんどん占領していく。
ひとりでに増殖しているのでは、とおもわないでもない。いや、買ってしまっている自覚はあるのだけれど。

ともあれ、参考文献である。
面白そうな本はないか、と載っていれば必ず目を通す。
気になる文献は、つづけて読めば知識も深まるのだろうなあ、とわかってはいるものの、他に読みたい本も大量に控えており(何しろ膨大なリスト、どころか分厚い本の、実体としての山が眼前には聳え立っている)、なかなかうまくできない。

かと云って参考文献で見つけた本の存在を、捨ておいた挙句忘れ去ってしまうのは、何とも勿体ない。
別に専門家になりたいわけでもなし、また思い出したときに読めばいいか、と気楽に構えてみるものの、書き残しておくと後で読みたくなったとき、何かと役に立つかもしれない、と云う想いもある。

先日読んだ『偶然とは何か』には参考文献のリストがあった。
短いリストで、専門書も文庫もあって、どれも興味深い。
全部書き出しておいてもいいのだが、手に取りやすい新書だけでも書き残しておくといいかもしれない、と思い立ち、やってみることにする。

手に取りやすい、と云う意味では、文庫も拾っておいてもいいのだが、拡げると際限がなくなりそうで、いまの僕は新書をモリモリ読みたい気分でもあるから、新書だけに絞ることにした。
それならリストもさほど大きくならずに、積読の山に押し潰される心配もないだろう。

さて、以下が『偶然とは何か』の参考文献における新書である。
全部で三冊あった。
これくらいなら無理なく読めそうではある。

コリン・ブルース(和田純夫訳)『量子力学の解釈問題』(講談社ブルーバックス)

ブルーバックスは学生のころ熱心に読んでいたが、しばらく遠ざかっている。そのうちまた読みたいとおもってはいるのだけど。
量子力学の奇妙さは、ハマるとグルグルしてしまうのだが、それだけ妖しい魅力を秘めている、とも云える。
数式を追わないと、ほんとうの納得感はえられず、もっと知りたくてさらにのめり込む、と云う沼も背後にはひかえている。

木田元『偶然性と運命』(岩波新書 新赤版724)

岩波新書。この本は知らなかったなあ。
『偶然とは何か』と近いテーマ、かもしれない。

『歴史とは何か』E.H.カー(清水幾太郎訳)(岩波新書 青版D1)

有名な本で、いつか読みたいとおもっている。
新版もあって、どちらを読もうか、或いはどちらから読もうか、迷うところではある。

「芋づる式!読書MAP」なるものを、いつだったか岩波新書がやっていたけれど、参考文献の新書を拾っていく行為は、その発想に近い。

本を読む度、参考文献の新書を積んでいって、二冊ダブったら読む、みたいなルールを設けると愉しいかもしれない。

『偶然とは何か』の感想は以下👇


この記事が参加している募集

新書が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?