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声をあげよう!在宅ワークと育児の大変さ

新型コロナウイルスの感染拡大により、在宅ワークをする人が増えました。それに合わせて育児をしながら在宅ワークをする人が増えたのに、なぜかあまりこの育児をしながら在宅ワークをしている人たちの大変さが、メディアからもSNSからもあまり発信されていません。

なぜだろう?

我が家は息子が小学校3年生で学校が休校になり、親も自宅で仕事するようになった頃から、勉強を教えながら、仕事をするのは至難の技で、途中で勉強を教えることを平日は諦めて、平日の日中は最小限の課題だけしたら、あとは野放しにしていました。この時、図書館だけでもオープンしてくれていたら、図書館から本を借りてきて、本をずっと読めたのにと思っていましたが、図書館もクローズだったので、ほんとすることがなく、ひたすら工作をするかEテレを観ていました。

小学生より、未就学児、特に乳幼児はもっと大変!

乳幼児と一緒に家で在宅ワークをする同僚が何人かいたので、本当に大変だなぁと思ってみていました。でも、職場では一切その大変さを言わないので、「大変だぁ!」と声をあげてみたらと、何度か言ったのですが、「それはできない」という雰囲気で、耐えていた感じです。

この職場で、育児の課題を発信できないということが、根本的な課題だと思っています。

「大変さ」を数値化し、一般論として議論するために

今、いきなり育児の課題を職場で言っても、個人の感想だとか弱音を吐くなと言われそうなので、何らかの客観性があるデータから一般化したテーマとして話せないかと探していたら、ようやく在宅ワークと育児の大変さを説明する数値が出たのでご紹介します。

東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センターの野澤祥子准教授が、就学前児童がいる保護者を対象に、2020年4月30日から5月12日の期間、インターネットを使って調査をしました。アンケートの回答数は2679名で、その内92.9%が女性という内容でした。

ワークライフバランス
・新型コロナによって登園状況が変化した子ども  84.1%
・有職者の中で、母親は新型コロナによる休業・休暇取得者が多く、父親は職場出勤者が多い
・母親の5割、父親の3割が1日の育児時間が平均して「5時間以上増えた」と回答
・育児時間が増えた母親の4割、父親の3割が増えた分の育児時間の100%が普段の勤務時間に行われた
・在宅ワークの保護者は、出勤していた保護者に比べて、子育て環境の変化が仕事の能率や成果に対してネガティブな影響がある回答する傾向が強かった。
養育環境の変化(育児方法の変化、メンタルヘルス)
・新型コロナにより子どもへの接し方や育児方法が「変わった」と回答した保護者は7割
・自分や家族が新型コロナに感染することを「心配している」保護者は9割弱、次いで保護者の心配していたのは、子どもの運動不足・体力低下であった。
・2019年の収入の低い家庭の方が新型コロナ流行以前に比べて収入が減少する割合が高く、減少幅も大きい傾向があった
・半数以上の回答者が、精神的健康度が良好でない状況にあった
・新型コロナ流行以前に比べて子どもへの接し方や育児方法が「かなり変わった」と回答した保護者の7割弱が、精神的健康度が良好でない状態にあった。
子どもの生活環境の変化
・就学前の子どもの7割強で動画の視聴が増加し、読書や創作・表現活動等が増加した子どもが多かった
・就学前の子どもの7割強が屋外での活動時間が減少し、特に4歳以上の子どもで「かなり減った」割合が大きい
・子どもの年齢が上がるほど調査期間中にスクリーン・タイムがより長くなる傾向があり、5歳以上では約半数の子どもが1日あたり2時間以上増加した。
・スクリーン・タイムが大きく増加した家庭の保護者の中には、精神的健康度が良好でない方が多かった
・自宅調理や共食、食育の機会は調査期間中に増加
・調査期間中にお菓子・ジュースの量は増加。特に2歳以上の子どもで増えた割合が大きい
・起床・入眠のタイミングはやや後ろ倒しになっていた
子どもの状態の変化
・「わけもなくいらいらしたり、不機嫌だったりする」ことが増えた子どもは3割以上であり、年長の子どもほど割合が高かった。
・いつもよりも大人にくっついて離れないなど甘える様子は約半数の子どもで増加していた。
・通常通り登園・登校している子どもは、休園や登園自粛を求められた園児よりも、保護者に観察された感情・行動面でのネガティブな変化が少ない傾向があった。


調査結果から感じたこと
「・半数以上の回答者が、精神的健康度が良好でない状況にあった」
→国際的な指標ではうつ病の臨床検査を受けた方が良いレベルという状況であったということです。

「・母親の5割、父親の3割が1日の育児時間が平均して「5時間以上増えた」と回答
・育児時間が増えた母親の4割、父親の3割が増えた分の育児時間の100%が普段の勤務時間に行われた」
→在宅ワーク中に子どもの食事を作ったり、遊び相手などのお世話をしながら、仕事もしている状況であったということです。

次にやらなければならないこと

在宅ワークになって、未就学児と一緒に自宅で仕事をしながら、育児をしていると、精神的な不調がいつ出てもおかしくない状況であり、企業や組織は在宅ワークで特に未就学児がいる家庭の社員をメンタルのケアが必要であり、必要に応じてメンタル以外の育児や家庭内で負担になっていることを取り除くための支援をしていかないと、社員が不健康になるリスクをはらんでいるということが言えます。

今現在、社員から未就学児との在宅ワークの課題は発信されていませんが、現状は上記の通りです。


出典:
東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター
2020 「新型コロナウイルス感染症流行に伴う乳幼児の成育環境の変化に関する緊急調査」速報版(結果の要点)vol.1」
http://www.cedep.p.u-tokyo.ac.jp/projects_ongoing/covid-19study/

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