「『 紙象嵌 』と箔押しの合わせ技」
こんにちは、現場の前田です。
今回お手伝いさせていただいたのは、グロフィールド株式会社さまの2021年グリーティングカードです。
◎ デザインコンセプト
こちらのデザインは BULLET Inc. の小玉文さまによるものです。
◎ 東北紙業社さま 『 紙象嵌 』
一見して 「 一体どのような加工がされているの!? 」 と戸惑ってしまうようなグリーティングカード。
特に目を引くのが、濃いめの渋いグリーンの紙、 NTラシャ(新橋)4/6判<100kg> が、紙に埋め込まれたように表現されている部分です。
これは小玉さまのコンセプトにもあるように、紙に紙を埋め込む加工 『 紙象嵌(かみぞうがん) 』 という加工方法です。
紙が何層にも貼り合わせられている この状態を作り出すまで、紙象嵌の加工・抜き加工も含めて計4工程。 高度な技術が必要となる紙象嵌加工・抜き加工を東北紙業社さまでおこない、その後コスモテックで箔押し加工をしています。
◎ 繊細な箔押し表現
日本の伝統的な意匠 「 ねじり梅 」 の形に型抜きされたカードの NTラシャ(新橋)の面に、5つの同心円状に広がる繊細な細い線で描かれた円を金消しNo.108の箔を使用して箔押ししています。
シンプルな形状だからこそ目立ってしまう箔のバリ( デザインや箔と紙の相性などによって、箔押しした部分からはみ出してしまった箔のこと )が出ないよう注意しながら加工しておます。
変形で型抜きされた状態で1枚1枚箔押し加工
箔押しの図案はシンプルですが、超繊細な図案
コスモテックでは加工する紙に位置合わせの基準となる 「 アテ 」 を土台に付けて紙を1枚1枚 「 アテ 」 に当てて加工しています。
そのため加工する紙は 「 アテ 」 に平行に当たる部分がある紙の方が加工がしやすいのですが、今回の梅型のカードはどの面も円状になっており、平行の部分がありません。箔押しする5つの円を中心に合わせることが非常に難しいポイントでした。
◎ 最後の一手間で更に化ける
箔押しの後は最後の工程、剥がし作業です。
箔押し後、ここからもう一手間をかけ、
必要のない部分のムシリ・除去する作業をします
上の写真をご覧ください。
「 ねじり梅 」 を構成する5つの円のフチは全て緑色なのが分かります。 このように箔押し時は紙の端まで貼り合わせてある NTラシャ(新橋) 。
その端の部分をそっと剥がすと、下から紙象嵌で重ね貼りされた下地の NTラシャ(銀鼠) が顔を出します。
剥がし作業もキズが付いてしまわないよう一枚ずつ手作業で丁寧に剥がさなくてはなりません。とても集中力と根気のいる作業でした。
◎ 実は印刷もコダワリ満載
紙象嵌による立体感、グリーンの紙に映えるマット調の繊細な金箔押し、細部までこだわり抜かれた設計と加工により、グロフィールドさまの新たなフィールドで掲げる5つの決意が見事に表現されたグリーティングカードとなりました。
小玉さま、この度は貴重な加工をお手伝いさせていただき、ありがとうございました! また、すばらしい製作チーム( 株式会社サンコーさま・東北紙業社さま )にご一緒させて頂けたこと、大変光栄でした!
【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362
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