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「 カードへの繊細箔押し 怒涛の10回戦! 」

こんにちは。コスモテックの前田です。
今回、イラストレーター 石原竜也さま・デザイナー 15度さま よりお声がけいただき、タロットカードのシリーズ 5図案への箔押し加工をお手伝いさせていただきました。

1図案の中に贅沢で繊細な全面箔押しが2色!
さらに、なんと全部で5図案もあるため、箔押し加工の工程数は計10工程にもおよび、緊張感あふれる製作・加工となりました。


★ 美しく幻想的なイラストに繊細な箔を合わせる

葉書より小さく、名刺より大きめな仕上がりサイズのカード内に描かれたイラストレーター 石原さまによる幻想的なイラスト。カードの製作に用いられている紙は、デザイナー 15度さまと石原さまが選んでくださったもので、ぱきっと鮮明な発色の印刷ができ、さらには箔押し加工の適性も考慮に入れたものが採用されています。

箔押しはカード内の全面に2色の箔押しをします。
1色はマットゴールド箔。もう1色は5種類のカードのキーカラーに合わせてメタリック調の箔色が4色セレクトされています( 5種類中 2種類のカードは共通の箔色を使用 )

校正( テスト )の指示書の一部より
5種類のイラストの内 1種類のイラストを使用し箔押しテスト

マットゴールドの箔の種類はさまざま( 金の赤みや青みなど )
校正でイメージと合うものを選ぶ


そして、デザイナー 15度さまによるデザインは箔押し加工のストイックさを要求する難易度が非常に高いもの…… 箔押し加工の図案がぎゅっとカード内に凝縮されているような密度のあるものでした。箔押し加工する上で、しっかりとエッジを出し、視認性をキープすることがとても難しいデザインであることがお打ち合わせの段階から想像できました。

5種類のカードの一部分より
特徴的な ★ の部分にカラーメタリック箔
イラストの背景には幾何学的な模様にマットゴールド箔


上は5種類のカードからパーツを抜粋、拡大したものです。
実際のカードサイズが名刺よりも気持ち大きめなくらいと考えると、箔押しの密度が非常に高く、繊細な押しを求められるということが伝わるのではないでしょうか!?

イラストの背景のほぼ全面に幾何学模様をマットゴールド箔で箔押し、さらには星のグラフィックはカラーメタリック箔で加工。 印刷 × 箔 × 箔 の3つのレイヤーが重なる完成形に思いを馳せながら、私は 「 加工に使用する金属版をどうしようか? 」 「 果たして今回 箔押しで使用する接着剤は何を使えば良いのだろうか? 」 とシミュレーションを進めるのでした。

★ コンマの戦い、コンマの微調整

印刷後、カードサイズに断裁( 積みあがった印刷物を一度にざくっとカット )すると、積み上げたカードの一番上と一番下のカット位置に必ずほんのわずかなズレが生じます( 断裁という加工の特性によるもの )

仕上がったカード単体で見た時はほぼ気づかない程度ですが、その後 印刷と箔押しの位置合わせをする際にはそのほんのわずかなズレが原因でカード全体のバランスが崩れてしまうことがあります。

箔押し加工のため製作した金属版は合計10版
金属版を箔押し機の熱板に1版ごとがっちり固定して箔押し加工
1版加工を終えた後に金属版を差し替えていく手間が実はすごい大変な作業


箔押し加工の金属版は箔押し機の熱板( ねつばん )にぴたっと固定し、その後 箔押し加工します。 カードの同じ位置に箔押し加工したとしても、印刷位置にズレが生じていると、位置を合わせたつもりでも箔押し加工がズレて押されているようにも見えてしまうのです。

さらにカード状に仕上がったものに箔押し加工する場合、印刷の位置トンボ( トリムマーク )がない状態で箔押しするため、お客さまから事前に 『 共有いただいた印刷と箔押しが合わさったイメージデータ 』 だけが頼りになります。

一枚一枚のカードを丁寧に手作業で箔押し
加工の位置合わせがとてもシビアなため非常に神経を使う


また、箔押し機に加工で使用する金属版をセットし、金属版に熱が伝わると版がほんの少し膨張します。この版の伸びによっても印刷と箔押し位置をぴったり合わせることが難しくなってしまうこともあるのです。

仕上がりサイズへの断裁で生じたわずかなズレ、熱による金属版の伸び、さらには位置合わせ用のトンボがない状態… 今回 これらのコンディションを踏まえて箔押し加工に臨む必要があります。お客さまから送っていただいた仕上がりイメージ図だけが頼りです。

金属版が箔押し機の熱で若干膨張することで押し位置が微細に変わる
「 ん? ちょっと位置が ほんの気持ちズレている…!? 」
職人は敏感にキャッチし、作業の手を止め、位置を再度微調整


加工中、 「 お? 若干最初に比べて印刷位置と箔押し位置がズレてきたかもしれないぞ? 」 と目視で気づいたら、加工の手を止め、押し位置を少しだけ調整……

とにかく目と神経を使い、慎重に、ほんのわずかなズレにでもすぐに気づけるように努めます。 今回のカードのすごい部分は、印刷 × 箔 × 箔 で1種類のカードを仕上げ、これが5種類 計10工程にもおよぶということです。

繊細な箔押し表現を実現させるには職人の目と腕、そして経験に基づく勘が頼りと言っても過言ではありません。

★ 無事 箔押し加工を終えて

こうして今 全10工程を終え、無事に美しい箔押し表現を実現することができ安堵の気持ちでいっぱいです。お声がけいただいた段階から イラストレーター 石原竜也さま・デザイナー 15度さま が詳細な図案・デザインの情報を共有してくだったおかげです。

カード内に2色の箔押しがバッチリ ハマった
箔の定着がよく、適度な厚みのある紙をお選びいただき、すごい助かったのだった


さらにはお二人が箔押し適性の良い、厚手の紙を選んでくださったため 『 箔押し現場の加工し易いコンディションづくり 』 が実現し、こちらも 「 なんとかして箔押し加工を上手く作品 / 製品に落とし込みたい! 」 と意気込み、難しい加工に果敢に挑戦することができました。

このたびは製作のお手伝いをさせていただき、本当にありがとうございました! ( 作品 / 製品の全貌は下記の X を是非ご覧ください )

クレジット
イラストレーター : 石原竜也 [ https://twitter.com/curry_and_rice4 ] 
デザイナー    : 15度 [ https://twitter.com/ondo15gasuki ]
箔押し      : コスモテック

【 箔押し加工 】
有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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