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「『 K ALL MEMORIES 』 箔押し 」

こんにちは、現場の前田です。

今回お手伝いさせていただいたのは、藤原印刷株式会社さま、有限会社篠原紙工さまからご依頼いただいた、特大ボリューム!1300ページ以上にもなる、アニメ 『 K 』 シリーズの大全 『 K ALL MEMORIES 』 の豪華表紙と、特装版専用のボックスの箔押し加工です。


以前 noteでもご紹介させていただいた、アニメ 『 K 』 1期ノベライズ 『 K THE FIRST STORY 』 のカバー箔押しに続き、光栄なことにコスモテックは今回も加工でお手伝いする機会をいただきました!


◎ 『 K ALL MEMORIES 』 の表紙 加工

『 K ALL MEMORIES 』 の表紙に使用されている材料は 「 ロイヤルセーム 」 というレーヨン100%の素材。 高級感があり、柔らかくしっとりとした肌触りの表紙に細かな装飾文字を箔押し加工しています。

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写真は試作時のもの : GoRA PROJECT


シンプルな箔押し表現ですが、加工する素材や現場の機械、気候などの作業環境によってもグッと加工の難易度が高くなるため、使用する版の種類や加工前の準備・調整、さらには加工後の製品の保管方法にも気を配りながら作業にあたっています。

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上の写真は藤原印刷さまからコスモテックの加工現場へ搬入された 『 K ALL MEMORIES 』 の表紙の山です。 整然と積み上げられた表紙は、柔らかな表紙にキズが付いてしまわないように、表紙の表側の柔らかい面同士が向かい合わせに重ねられています。

「 それにしても、凄まじいボリュームです…。 」

箔押しの金属版を選定する

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パキっと深堀で表現された美しい 『 K 』 
箔押しに使用する金属版


加工は 表紙の素材である 「 ロイヤルセーム 」 がボール紙に表紙貼りされた状態での加工のため、厚みがあり、また、素材の柔らかさも考慮して、版は通常よりも厚みのある 『 3mm厚の深掘り版 』 ( 腐食が深い版 )を使用しています。

なぜ厚みのある版を使用するかというと、薄い版( 腐食が浅い版 )で厚みのある素材に加工すると、箔押しされてはいけない、版の余白部分( デザイン部以外の部分 )まで箔押しされてしまう可能性があるためです。

一点一点 手作業で箔押し

箔押しの機械に金属版をセットし、丁寧に箔押し


箔色に関しては、校正で金箔の艶ありのものとマット調の2種類をテスト加工し、本番では艶ありの4号金と呼ばれる箔が選ばれました。

「 ロイヤルセーム 」 の表紙に4号金の箔を合わせることで、重厚で高級感のある表紙に仕上がっております。

高低差の調整

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表紙の裏側 この高低差が箔押し加工の曲者なのです


本番時、おもて表紙と背の部分に箔押し加工するにあたって、表紙と背の部分とで厚みがやや異なることで苦戦しました。

箔押し加工は高さが均等になっていないと均一に箔がのらないため、今回のように押す場所によって高低差があるものを加工する際は高さを均等に調整するための 『 ひと工夫が必要 』 になってきます。

箔を押し終えた後の 『 ひと手間 』

この 『 ひと手間 』 が美しい製品づくりで大事なポイント!


そして、箔押し加工後には検品作業だけではなく、箔の 「 バリ取り 」 作業も丁寧におこなっています。

「 バリ取り 」 とは、デザインや箔と紙の相性などによって箔押しした部分からはみ出してしまった箔( バリ )を取り除く仕上げの作業のことです。圧力や温度などの調整だけではどうしても避けることが出来なかった余分な箔( バリ )を取るために 「 バリ取り 」 をします。

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一連の作業を終えて、箔押し加工を終えた表紙


バリを除去するための粘着ローラー( いわゆるコロコロのような道具 )などを使用して一枚一枚、正確に丁寧に表紙の 「 バリ取り 」 作業をすることにより、細かな箔押しの絵柄がシャープに見えるようになります。

こうして箔押し加工を終えた表紙の積み方も重要なポイントで、再び表紙の柔らかい面同士を向かい合わせにして積むことで、表紙や箔押し部分に傷などがつかないようにしています。

◎ 『 K ALL MEMORIES 』 のボックス 加工

『 K ALL MEMORIES 』 専用ボックスでも、表面の箔押し加工でお手伝いさせて頂きました。 ボックス表面に使用されている素材は織目エンボスが特徴の紙クロス 「 ネオウーブン 」 。


箔色は本の表紙と連動させ、艶のある金箔 4号金の箔を使用しています。 落ち着いた色合いの 「 ネオウーブン 」 に4号金が華やかさを添えています。

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写真は試作時のもの : GoRA PROJECT


ボックスへの箔押し加工では 「 ネオウーブン 」 が厚紙に貼られた状態での加工のため、また、余白部分が大きいため、加工前の準備として、使用する金属版の余白部分に紙を貼る作業をおこないました。

箔を押し始める前の 『 ひと手間 』

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金属版に表現された図案に合わせて、きれいに紙を貼りつける


これは 『 K ALL MEMORIES 』 の表紙加工の時にもおこなっている作業で、柔らかく厚みのある素材に箔押しする際に余白が大きい場合、デザイン部以外に箔が付いてしまわないように、余白部分の金属板を覆ってしまうのです。

版のサイズが大きいものや複雑なデザインになる程、この金属版に紙を貼る作業にも時間や手間がかかります。

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ボックスの箔押し面積は 約200×345mm と大きく、版の余白に紙を貼る作業や、細かな装飾柄を綺麗に表現できるよう箔を均等にのせるための調整には特に時間をかけて加工にあたりました。

すべては美しい仕上がりのための 『 ひと手間 』 です。

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目には見えない部分

箔押し加工では、箔を押すこと以外にも見えないところで 『 ひと手間 』 『 ひと工夫 』 をしています。

お客様が求める箔押しを実現させるため、金属版の選定や箔の接着剤選び、また、加工するものの仕様によって調整・工夫をし、加工後には丁寧に 「 バリ取り 」 作業をするなど、加工前後の準備や段取りを大切にしています。

お客様からは見えない部分にも 『 ひと手間 』 『 ひと工夫 』 を惜しまず加工している 『 K ALL MEMORIES 』 の表紙と特装版専用ボックスは、その外装はもちろん、内容もボリューム満点!

是非、皆様にお手に取って楽しんでいただければ幸いです。
藤原印刷さま、篠原紙工さまこの度は貴重な加工にお声がけくださいまして、ありがとうございました!

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- Credit -
印刷所 : 藤原印刷株式会社( 藤原章次 )
箱製作 : 有限会社篠原紙工 ( 篠原慶丞 )
箔押し : 有限会社コスモテック ( 前田瑠璃 )

あとがき( コスモテック 営業 青木 )

今回 前田が文章で書いているように、箔押し加工では加工の準備段階、後処理など、 『 加工する前後も非常に大切 』 です。

それは料理とも同じです。
おいしい料理をお客様にお召し上がり頂くためには、食材の選定や仕込み、味付け、盛り付けが必要不可欠なのと同様に、僕らコスモテックも箔押し加工そのものだけでなくその前後の工程までも大切に考えています。

何の素材にどのような図案で何色の箔を押すのか?
加工に使用する金属版は何にしようか?
箔のバリを除去して、箔押しの精度あげるための作業をどう行うか?

など… 加工の裏側の、お客様が目にするところではない部分へ手間暇や時間をじっくりかけ、よりお客様が求める形を実現し、お客様が喜んでくださる姿に想像力を働かせています。


【 箔押し加工 】

有限会社コスモテック 現場リーダー 前田瑠璃
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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