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「 箔×箔×箔×箔×箔 でつくる 1952パターンの箔押しシール 」

コスモテックの青木です。

今回ご紹介するのはシールコレクターであり、ご自身がオリジナルシールの制作者でもある AGAWAさんによる豪華絢爛な箔押しシールです。 AGAWAさんはオリジナルシール制作界隈でとても有名な方です。

そんな AGAWAさんから今回コスモテックへお声がけいただいた箔押し加工は私たちの想像をはるかに上回る、とてつもない制作プランのご依頼だったのです。


◉ すべてが1点もの。1952種類の箔押しシール!

AGAWAさんから制作プランをはじめて伺ったのは2023年2月中旬頃になります。「 1000種類を超える箔押しシールを生み出したい! 」( まさか… それが最終的に1952種類まで膨らむことになろうとは… )と AGAWAさんよりお話をいただいた瞬間、コスモテックにて書籍 『 デザインのひきだし46 』( グラフィック社編集部 )の表紙箔押し加工で箔押し表紙を1000パターン製作させていただいた あの時の死闘が一瞬脳裏を過りました。

ただ、一度 『 デザインのひきだし 』 で1000パターンの箔押し表紙の製作経験は私やコスモテックにとって、とてつもなく大きな糧となっており、「 できなくはない… いや、実現できる! 」 と気持ちを奮い立たせて、今回の壮大なプランにも前向きな一歩を踏み出させてくれました。

「 AGAWAさん、ぜひ挑戦させてください! 」 
こうして、1952種類すべてが1枚の一点ものの激レア箔押しシールの製作がスタートしたのです。

◉ 箔押し5回押しによる脅威の位置合わせ

その名も 『 ハッピー天女Ⅳ 』


製作する箔押しシールの名前は 『 ハッピー天女Ⅳ 』 です。
シールの仕上がりサイズは 48×48mm の正方形。 加工の位置調整を丁寧に行い、5回の箔押し加工で5色の箔を重ね合わせて上記のシールをつくります。

『 デザインのひきだし 』 表紙1000種類作成時の箔押し面積は表紙全体にわたっての広い面積の箔押し表現でしたが、今回は 48×48mm という小さな箔押し面積の中に5色もの箔押し加工を詰め込んで 『 ハッピー天女Ⅳ 』 の精密な図案を完成させるというものです。

もちろんコスモテックの箔押し加工は今回もすべての工程が手作業。1枚1枚職人による手加工です。ほんの少しの加工位置のズレでも 『 ハッピー天女Ⅳ 』 の図案が台無しになってしまいます。

加工に使用する金属版5枚と加工のイメージ図
一つの版を拡大するとご覧の通り! 48×48mm の中に細かい図案がみっちり


『 ハッピー天女Ⅳ 』 箔押しシールを製作するための版が上記の写真の5枚の金属版です。そして、今回使用する箔材は国内・国外含め すさまじい種類を使用します。おそらく、一つのプロジェクト / 作品製作で考えると、コスモテック史上最多の箔の種類です!

キラキラまばゆいカラフルな箔押しシール


このように5枚の金属版、すさまじい種類の箔色、そして箔押し5回押しで、1952種類の箔押しパターンの 『 ハッピー天女Ⅳ 』 をつくり出します。精密な箔押しはもちろん、1952種類の箔押しシールがダブりなく、全て1点ものに仕上げるためには徹底した工程管理が必要不可欠です。

◉ AGAWAさんの優しさ 『 AGAWAフォーマット 』

1952種類の箔押しシールにはドキドキ・わくわくが詰まっている


AGAWAさんと一緒に箔色を決める作業が特に印象に残っています。
箔色の選定は、ある程度 「 コスモテックにお任せ 」 であり自由度が高く、「 AGAWAさん、こんなめずらしい箔はどうでしょうか!? 」 などの私からのおすすめ箔なども柔軟に制作プランへ組み込んでくださいました。

一見すると臨機応変でありながらも、AGAWAさんと会話を繰り返していく中で、製作物である 『 ハッピー天女Ⅳ 』 の方向性と着地点は AGAWAさんの中で明確にはっきり見えていたのが感じられました。

私が勝手にそう呼んでいる  『 AGAWAフォーマット 』


AGAWAさんと私(青木)の間で幾度となく対話を行い、最終的に AGAWAさんがなんとエクセルに1952パターンの箔押しリストをバッチリまとめてくださったのです。

上の写真は、 AGAWAさんがまとめてくださった1952パターンの箔押しリストを箔押し加工の現場管理用として、私が少しだけカスタマイズさせていただいたものです。

こうして見てみると 「 なんという途方もない…… ヤバ過ぎる! 」 という雰囲気を放っておりますが、AGAWAさんが制作してくださったこのパターンリストは実はもの凄く精巧に設計されており、加工の現場への優しさに溢れているのです。 『 加工し易いように・困らないように 』 という現場への配慮や気持ちがリストを見た瞬間伝わり、私は本当にうれしくなったのです。

私は勝手ながらこの設計図を 『 AGAWAフォーマット 』 と名付けました。

◉ アナログの境地! 職人技でつくる箔押しシール

加工に携わったコスモテックの現場リーダー前田瑠璃
1点1点手作業で、じっくり、正確に箔押し加工


『 AGAWAフォーマット 』 から 『 ハッピー天女Ⅳ 』 を具現化するのは最後は人の手。コスモテックの現場リーダー前田瑠璃が1点1点、『 AGAWAフォーマット 』 で確認しながら箔押し加工しました。

1版~3版までが重なった状態
少しずつ 『 ハッピー天女Ⅳ 』 の全体像が見えてきた
箔押しの位置合わせはトンボと色玉でチェック
いよいよ4版まで重なった状態


箔押し加工時、金属版は箔押し機の熱で膨張するため、多色箔押しする際、特に精密な位置合わせをすることが難しくなります。また、シールに何度も圧を加える( 今回は5回 )ことで、シール素材もわずかに伸縮しております。

版の膨張とシール素材の伸縮。工程数が多ければ多いほど、トンボや色玉に合わせようとしてもうまく合わなくなってしまう場合もあるのです。

そして、とうとう最終の5版目が重なり……


いよいよ最終の5版目になった時、箔押し加工の位置合わせはトンボや色玉に捉われ過ぎず、『 ハッピー天女Ⅳ 』 の完成図とよく見比べ、目見当( 職人の目で位置合わせ )を意識して加工に臨んでいます。

また、上の写真にある円形の図案部分が多色箔の合わせポイントになっているので、箔押しの回数を重ねる中でこの図案に加工現場が非常に助けられました。

加工しながら実際に目で見て、「 ここの円がぴったり合っているかどうか? 」 と、そのままのビジュアルを目視で確認できるということが本当に大きな助けになったのです。

箔押し5回押しして、とうとう形づくられた 『 ハッピー天女Ⅳ 』
すべてが箔押し表現 まばゆく、そして神々しい
前代未聞の箔押し1952パターン
箔色が1色変わるだけで全体の印象もがらりと変わる


こうして精密な箔押し5回押しからなる、1952種類すべて一点ものの激レアシール 『 ハッピー天女Ⅳ 』 は完成いたしました。

制作者である AGAWAさんのシール制作にかける熱意と加工の現場と一緒になって考えてくださるお人柄が 「 よっしゃ! 1952種類の箔押しパターンを作ろう! 」 という気持ちを大きく後押ししてくださったのは言うまでもありません。

今やデジタル全盛時代ではありながらも、今回のように制作プランを1点1点アナログの手作業という箔押しシールの設計に落とし込んでくださり、こうして加工のチャンスとチャレンジの機会を与えていただけたことは私、そしてコスモテックにとっても大きな励みとなりました。

箔押し表現の可能性の新しい扉をまた一つ開くことができた、そんな感覚があります。 AGAWAさん、お声がけいただき、そして頼ってくださり本当にありがとうございました!

Credit
制作者   : AGAWAさん [ http://bikkuri-man.com/ ] 
箔押し加工 : 有限会社コスモテック

※ オリジナルシールを制作、販売している AGAWAさんのウェブショップは下記をご覧ください! 


【 連絡先 】

ようこそ!行列のできる『箔押し印刷工房』へ
http://blog.livedoor.jp/cosmotech_no1/

有限会社コスモテック 青木政憲
〒174-0041 東京都板橋区舟渡2-3-9
TEL:03-5916-8360 / FAX:03-5916-8362

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