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コスモテックという、ある箔押し屋の話

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十数年をコスモテックの営業として過ごした僕(青木)の思い、お客様・職人・コスモテックへの感謝を言葉にしたい。今だからこそ伝えられることがあるのではないだろうかと思い立ち、僕なりの… もっと読む
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#日記

「箔押しのコスモテックを見つける」

コスモテックの青木です。 この記事でご紹介するのは、箔押し印刷会社 コスモテックが取材していただいたり、加工のお手伝いをさせていただいたり、制作過程で何かしらの接点があった書籍、新聞、テレビ番組などです。 今から約20年前、僕は町工場の雰囲気漂うコスモテックの門を叩きました。その頃は取材を含めメディア掲載、書籍のクレジットとして載ることもゼロでした。 20年かけて少しずつ今のコスモテックへと変化し、振り返ればこんなにも沢山の出会いに恵まれ、まるで夢のようです。 個人出版

「箔を押したい衝動」

コスモテックの青木です。 今回は、「 箔を押したい衝動 」 のお話です。この衝動は、もしかしたら私だけのことかもしれませんし、他の箔押し会社でもあることなのかもしれません。 「 押したい衝動に駆られる 」 ということは、私がコスモテックに入社してから数年後、ある程度箔押し加工のいろはが分かってきてからムクムクと湧いてきた不思議な衝動でした。 ◉ 押したい衝動の自覚「 これは押したい衝動なのかもしれない 」 とはっきりと自覚したのは、今(2023年)から約10年前の年末です

「小さな一手が、大きなうねりを呼ぶ」

2019年のある時、コスモテックの現場リーダー前田がふとつぶやいた 「 紙や箔をもっと積極的にご提案してみたいですね。 」 の一言から生まれたのが、現在 コスモテックサンプル直売所( WEB STORE )でご注文いただける 『 紙と箔完全お任せ名刺作成! 』 です。 現場リーダー前田の 「 やってみたい 」 からスタートして、試行錯誤を繰り返し、続けること約3年の月日が経ちますが、この小さな一手は今や大きなうねりを呼ぶまでに至りました。 はじまりはキャンペーンから『 紙

「ライター 古田靖さんとの出会い」

コスモテックの青木です。 書籍 「 アホウドリの糞でできた国 」( アスペクト )の著者である、ライターの古田靖さんが2022年7月逝去されました。僕個人としても、そしてコスモテックとしても、長きにわたり古田さんには大変お世話になりました。心よりご冥福をお祈りいたします。 今のコスモテックを語る上で、古田靖さんとの出会いは欠かせないものでした。 ○ 出会いは突然でした コスモテックが今日のようにメディアや書籍に取り上げていただくようになるずっと前の話です。僕がコスモテッ

「熊手 と いち仕事人として」

今回は縁起物の 「 熊手(くまで) 」 について書きます。 年末が近づくと神社などで催される酉の市で見かける 「 熊手 」 。 商売繁盛の縁起物として、煌びやかで豪華な飾りが施されています。 コスモテックの今は亡き箔押しの匠 佐藤勇 が掲載されている書籍 『 印刷・紙づくりを支えてきた 34人の名工の肖像 』 の箔押し職人 佐藤勇 のページの写真にも、実はチラッと登場しています。 「 熊手 」 と自分書籍に写りこんでいる 「 熊手 」 は、今から十年以上前に僕が酉の市で買

「WEB ストア に託す思い と これから」

今回は、コスモテックのWEBストア『 コスモテックサンプル直売所 』( ※ 以下、『 直売所 』 と略します )の話です。 2021年4月21日に、『 直売所 』 はおかげさまで7周年を迎えることができました。 7年前に僕(青木)が開設した『 直売所 』。 思いもひとしおです。 ◉ 思いつきを形づくる7年前のある日、ふと 「 やってみよう! 」 と、ほぼ思いつきのまま、大きな目標や目的も特に掲げずスタートしたWEBストア。 気づけば7年もの月日が流れ、お客様にお届けし

「コスモテック出版 『 ぎぶ・みぃ・うぃすきぃ 』」

2019年11月に天国へと旅立った、 コスモテックの箔押し職人 佐藤勇。 確かな技術とどんな難題にも立ち向かうチャレンジ精神、そしてお茶目で親しみやすい人柄でたくさんの人達から愛された 「 箔押しの匠 」 でした。 その生前のつぶやき( ツイッター )をまとめ、文庫本化し、コスモテックサンプル直売所( WEB STORE )にて販売します。 書籍名は匠の大好きったお酒、ウイスキーにちなんで 『 ぎぶ・みぃ・うぃすきぃ 』 です。 本の内容は匠のつぶやきが時系列で綴られ、

「一つ一つ積み上げること」

気付けば、僕( 青木 )がコスモテックの箔押しブログを立ち上げてからちょうど15年経ちました( 2005年ブログ開設 )。 おかげさまで、まもなくブログは15周年で総記事数2000という数字が見えて参りました。 記事の一つ、一つはそれぞれの瞬間では小さな出来事かもしれません。 ただ、年数をかけてコツコツと積み上げていくことを繰り返し、繰り返し行うことで、次第にそこに何か意味のようなものがひょっこり顔を出すような気がしています。 【 15周年 】 2005年 [ 開設 ]

「2019年12月の青木前田」

2019年を振り返れば、本当に色々ありました。 11月には僕( 青木 )が入社以来、ずっと苦楽を共に二人三脚で歩んできた箔押しの匠 佐藤勇が天国に旅立ってしまい、翌12月にはその佐藤が掲載されている 「 印刷・紙づくりを支えてきた34人の名工の肖像 」 の書籍が出版されました。 箔押し職人 佐藤勇 として掲載 書籍「 印刷・紙づくりを支えてきた34人の名工の肖像 」 2019年4月に現場のリーダーに就任した前田と、年末最後に話した際、ぴったり同じ意見だったのが、「 色々

「名工の肖像」

令和元年( 2019年 )は、色々な出来事があった年でした。 大きな出来事としては、2019年4月にコスモテックの現場が箔押しの匠 佐藤勇から現場リーダー 前田瑠璃に引き継がれたということ。 11月には匠 佐藤勇が天国へと旅立ってしまったということ。 そして、来たる12月。 僕が楽しみにしていた書籍 『 印刷・紙づくりを支えてきた 34人の名工の肖像 』( 著者 雪朱里さん、写真 池田晶紀さん・川瀬一絵さん )が発売します。この書籍は、『 デザインのひきだし 』に長年連

「阿吽の呼吸」

コスモテックでは、僕が入社した2005年よりずっと前から一貫して、職人が一枚一枚の素材(紙)を手作業で機械に通して箔押ししております( 手差しの手動箔押し機「 アップダウン 」を用いて ) 便利な自動の箔押し機が導入されてからも、「 アップダウン 」は変わらず活躍し続けています。 紙の寸法や印刷物自体が大きい場合は、素材を機械にセットして箔押しする人、その隣で箔押しされた素材を機械から引っ張り出す人の二人組で箔押しすることが昔の主流でした。 二人の呼吸を合わせて一つの箔

「箔押しの匠 佐藤勇 旅立ちました」

2019年11月2日(土)、箔押しの匠 佐藤勇 が天国へと旅立ちました。 73歳でした。 皆さんには感謝しかございません。皆さんが佐藤を「 箔押しの匠 」として親しみ、仕事を任せて下さったこと、本当に感謝しております。時には、匠が大好きなウイスキーなどを手土産に会いに来てくださるお客様もいらっしゃいました。 皆さんからいただいた言葉や、優しさ、ものづくりに対する姿勢。 佐藤は本当に良いお客様・頼ってきて下さる方に恵まれておりました。 いつも匠の周りは、たくさんの笑顔が溢

「『 見えない壁 』をくずせ!」

ここ数年のコスモテックには、大きな変化がありました。 それは、デザイナーでもなければ、印刷屋さんでもない、印刷加工業界や箔押しとは無縁の、ごく一般の方々が広くコスモテックを知って下さり、応援して下さるようになったこと。 2018年1月19日(金) テレビ東京のWBS( ワールドビジネスサテライト )内、 『 The行列 』 のコーナーでコスモテックが取り上げられました。 大変嬉しいことではありますが、大きな謎があります。 どうやって一般個人の方がコスモテックを知り、な

「日本一をめざすこと」

僕がコスモテックに入社したての時、さかのぼること15年ほど前ですが、箔押しの匠 佐藤勇と会社帰りにお酒を呑む機会があり、僕も匠もほろ酔い気分で過ごしていた時の一言が今でも忘れられません。 箔押しの匠 佐藤は決まって呑みの席ではウイスキー。大好物! 「 青木、日本一をめざせよ。 」 僕はその時酔っていたし、話の前後ははっきり覚えておりませんが、その強烈な一言が今も胸に突き刺さってます。 入社当時は人も少なく、機械は老朽化し、経営的にも下向きのまずい状況でした。毎日を乗り