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朝に初雪 空気の粒どうし 引っ張られる冷たさが 顔の表情をうばっていく いきなりだった シベリアからの来訪者 凍える紅葉がアカ味を増し 震える黄葉がキイ味を洗う つんと伸びた枝にも 器用にも雪はまとわりついて しだいにシロ味を厚くして しだる 弓のよう 足元不安な朝は 世情惑わすさまが露になる 触れたくない脆さに怯え 無力な憤りに息をつまらせる 風はせわしく 雪を踊らせ 群舞のさまは 見事なままに 視界をさえぎるも 激しい 初の舞台に こころ奪われる 雪に世情の厄が
窓に差した日が消えかかるとき 降りかかる帳に戸惑う私がいる どうしてこんなにも 君のことを考えてしまうのだろう 茜雲が現れる空を見るとき 足元から巻き付いた風が体を昇り 耳元から離れていくとき さびしさを残していくのはなぜだろう 足早に秋が冬に手を伸ばすと 抑えきれない思いが私を責める 行き違い 勘違い 読み違い いつも脚がすくんで遅れてしまう私に 時間は手を差し伸べてくれる 夜も静かに寄り添ってくれる 点したあかりは包み込んでくれる 閉じたまぶたが不安より安堵をくれる
待っていた ずっと待っていた ずっとずっと待っていた この風を待ち続けていた あんなにも胸を締めつけていた あのまま憎んでいたかもしれない そんな時間を放り投げて 秘かに待ち望んでいた 凪がせる風を ただただ待ち望んでいた 待っていた ずっと待っていた ずっとずっと待っていた この日差しを待ち続けていた あんなにも胸に張りつめていた そのままほぐれずにいたかもしれない そんな時間を解き放ち 季節をめくる風とともに
一歩前へ踏み出した右足が 後ろの左足に問うた 大丈夫か 今度は君が一歩前へ出てくれ 左足は遅れてはいないで応えた 平気だ 一歩前へいくぞ そうだ 大丈夫だ そうだ 平気だ このリズムを忘れるな リーダーの右足は 左足をかばいながら問うた まだまだ行けるよな フォロワーの左足は 右足の気遣いに自信強く応えた 当然だまだ行けるさ そうだ 大丈夫だ そうだ 平気だ この呼吸を忘れるな そ